Henni@Henni147さんの3月14日のツイッターを読んで、とても興奮したので翻訳させて頂くことにしました(了解いただきました)。

 

実は、以前フモフモさんが、4Aの基礎点の妥当性について書いておられたのを読んで、では何点が妥当なのだろうと自分でも各ジャンプの基礎点を表にしたり、グラフを描いたり色々頑張ったことがあったのですが、すっきり答が出ないまま放りだしてしまっていたのです。

なので、今回Henniさんのツイートを見て「あ、やられた!」と思い、かつ何てすっきりして分かり易いのだろうと感嘆したのです。

 

 

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Ladies and gentlemen. I made the impossible possible and figured out how the ISU determined the base values for figure skating jumps and also why the BV table has so many anomalies.

 

皆さん。私は不可能を可能にすることができました。ISUがフィギュアスケートのジャンプの基礎点をどのように決定したのか、またBV表になぜ多くの変則(異常)があるのかを突き止めたのです。

 

I try to break it down here as simple as possible:

 

ここでは、できるだけシンプルに分析することを心がけています。

 

The table on the left shows the current base values of all jumps by the number of revolutions (black fully rotated, red UR-ed).

 

左の表は、全ジャンプの現在の基礎点を、回転数との関係で表したものです(黒字が回転不足無し、赤字が回転不足)。

 

The graph on the right contains a regression parabola with its corresponding mathematical function, calculated from the BVs of the 1T, 2T, 3T and 4T.

 

右のグラフは、1T、2T、3T、4Tの基礎点から算出した回帰放物線とその数式を表しています。

 

The ISU made the following three assumptions:

 

1. The difficulty of figure skating jumps grows quadratically.

2. A fully rotated toe loop or Salchow has a natural pre-rotation of a 1/4 turn.

3. The loop is easier and the Lutz harder to execute than the flip.

 

ISUは以下の3つのことを前提としました。

 

1. フィギュアスケートのジャンプの難易度は2次関数的に上昇する。

2. 回転不足無しと認定されるトウループやサルコーは、普通、1/4 回転のプレローテーションを含む。

3. ループはフリップより簡単で、ルッツはフリップより難しい。

 

Observations:

1. The base value of the quad Axel is a grotesque outlier and it makes 0 sense that the BV of a 4A< is lower than a rotated 4Lo.

 

2. An underrotated flip or Lutz shouldn't have a higher BV than a rotated toe loop or Salchow with the same number of revolutions.

 

3. An underrotated toe loop or Salchow shouldn't have a higher BV than a rotated Axel with a 1/2 revolution less.

 

【If the rotation is the same, the cleanly executed jump should be preferred over the one with an error.】(inside【】、added by Henni.)

 

観察(と考察)・・・矛盾点、異常な基礎点

1. 4回転アクセルの基礎点が2次曲線からグロテスクに(異様に)外れている。

(この図は上の右図と同じです。見やすさのため大きくしました)

 

回転不足の4A (4.25回転)の基礎点(10.00)が、回転不足無し4Lo(4.00回転)の基礎点(10.50)より低いのは馬鹿げている。

 

(この表は上の左表と一緒です。見易くするため大きくしました)

 

2. 回転不足のフリップやルッツの基礎点が、同じ回転数の回転不足無しのトーループやサルコーの基礎点より高くなるべきではない

(3F<: 4.24、3Lz<: 4.72。3T: 4.20、3S: 4.30、どれもみな2.75回転)

(2Lo<: 1.36、2F<: 1.44、2Lz<: 1.68。2T: 1.30、2S: 1.30、どれも1.75回転)

 

3. 回転不足のトウ・ループやサルコーの 基礎点が、(1/2 回転の少ない)きれいに回転したアクセルより高くなるべきではない。

(3T<: 3.36、3S<: 3.44・・・2.5回転。 2A:3.30・・・2.5回転)

 

【もし回転数が同じなら、クリーンに実施されたジャンプの方が、エラーのあるジャンプより高い評価が得られるべきである。】


 

 

Why do we have these anomalies in the BV table?

 

The ISU calculated the BV of an UR-ed jump by deducting 20% of the original base value.

 

The problem is:

Such factorings only work smoothly with exponential functions.

If you use quadratic functions like the ISU did here, such factorings blow the consistency of your table.

 

Footnote: this quadratic function doesn't work at all for jumps with less than 0.75 rotations.

 

なぜ、基礎点表にこのような異常があるのでしょうか?

 

ISUは、回転不足ジャンプの基礎点を、本来の基準値から20%差し引くことで計算しています。

 

問題は、そこです。

このような係数掛けは、指数関数でのみスムーズに機能します。

ISUが行ったように2次関数を使用する場合、そのような係数掛けは表の一貫性を破壊することになります。

 

脚注:この2次関数は0.75回転以下のジャンプでは全く機能しません。

 

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なお、本筋とは外れてしまうのですが(二次関数と回転不足80%掛けの矛盾に対する批判ではないので)、Henniさんの作った表を見ていて私が気づいた点として、

トウ・ループやサルコーの基礎点が、1/2 回転不足のアクセルより高くなるべきではない。というのも思いました。3.75回転しか回っていない4T、4Sより、1/2回転不足でDGになっても4.00回転している4Aの方が1.50以上点が低いなんておかしいと思います。

(4T: 9.50、4S: 9.70・・・3.50回転。4A<<:8.00・・・4.00回転)

 

Henniさんは、二次関数的にジャンプの基礎点を決めることと、回転不足の係数を0.8とすることの矛盾をまずは指摘しています。

 

ただ、仮に二次関数的にジャンプの基礎点を決めることをよしとした場合、本来この曲線に乗るべき4Aの基礎点は何点になるかというと、

 

y = 1.1 x^2 - 1.93 x +1.2487 にx=4.50を代入すると、

y=14.84。

 

つまり、ISUが二次関数的にジャンプの基礎点を決めるなら、4回転アクセルの基礎点は14.80点であったはずなのです。12.50点ではなくて。

何にせよ、一貫性がないのです。

これは、ISUがやることに一貫性が無いことの、1つの指摘にすぎません。