羽生結弦は別格である。
フィギュアスケートに一切興味のない夫もそう言う。
全日本男子FSの最終グループの演技を一緒に観た。
非常に上から目線で
「なかなかいいじゃないか」
「上体が固いな、動いてない」
「着地が下手だな」「スピードがない」「ジャンプが低い」
などと、演技を観ながらずっと批評をたれていたのに、
羽生さんの「天と地と」が始まると何も言わなくなり、終わると怒ったように、
「全然別格じゃないか」
と一言言って、席を立ってしまった。
羽生結弦は、惑星ハニューのただ一人の住人と言ったのはマッシミリアーノさん。
他の方達からも、数え切れないほど、
羽生さんがノーミスの演技をしたときは、
異次元だ、別次元だ、別格だ、という言葉が飛び交う。
で、私は思った。
多分、ジャッジたちもそう思っているんだよね。
フィギュアスケートには、「ジュニア」「シニア」「ハニュー」という3つのカテゴリーがある、と言ったのは誰だったか。
ジャッジやテクニカルパネルもそう思っているに違いない。
だから、「ハニュー」カテゴリーに出場する羽生さんには、「ハニュー」仕様の別格の採点をする。
「疑わしきは、選手の有利になるように採点する」というルールは、羽生さんには適用されない。
従って、マッシミリアーノさんが50回見直して、レベル3悪くてもレベル2に該当すると判断したスピンはノーカンになる。
GOEも、PCSも、羽生選手がマックスの、これ以上ない演技をしたであろう時と比較しての減点制になる。
そして、そういう採点によって、羽生さんはどんどん成長する。
ジャッジ達も、ランダムに意地悪な点を付けているわけではない。
少しでも羽生さんに伸びしろがあると思われる場合に低い点を付けてくるから。
別ルールで。
低い点が付いたことで気づいた伸びしろを、羽生さんは、必ず伸ばしてくる。
そう言う意味では、意地悪なジャッジたちも、羽生さんがどんどん磨かれて唯一無二の高みへと昇って行ったことに、寄与しているのかな、と思ったりするのである。
この数年間、羽生さんの演技には、どんどん崇高さが増している。
技術が磨き抜かれたゆえの、芸術の輝きというか。
ネイサンにはそういう、難癖をつけてくれる存在がない。
私は最近の彼の演技には、全く興味が持てなくて、観ていないのだが、
漏れ聞こえる所によると、ジャンプも大分崩れているようだ。
自分でもまずいな、と思うエレメンツにGOEで5が並べば、彼も困惑するだろう。
ある意味、可哀想だなと思う。