全日本の羽生さんの演技を観て、感動して、圧倒されて、何か書きたいと思いながら書けなくて。

子供のころ、あまりにも名作を選んでしまって、読書感想文が書けなくなってしまったときのことを思い出しました。

色んな人の感想、意見、コメント、動画(ヤマカイさんとか)を読んだり観たりして、そうだよなあ、みんなすごいなあと思う毎日です。

Number1019の記事も少しずつ読んでいます。

海音寺潮五郎の『天と地と』も少しずつ読んでいます。

感動したことを書くのは、その感動が深ければ深いほど言葉にするのは難しい。

なので、しばしあきらめて(先延ばしにして)、ちょっと怒りを覚えたことについて書きます。

怒りというのは、行動に移しやすいと言われますが、本当にそうですね。

 

病床数のことです。

もっと言えば日本の医療についてです。

 

ニュースで「医療が逼迫している、このままでは医療崩壊になる」と伝えていて、私が心を痛めていると、夫が「医療崩壊なんて嘘っぱちだ」と言いました。

私は思わずかっとなって、

「医療現場の人、必死に頑張っていて、本当に大変そうだよ。大変すぎて退職する人も出て来てるって。病床数だって足りてない!」と言い返しました。

すると夫は、

「医療現場の人が大変なのはその通りだ。でも日本は世界で一番、人口当たりの病床数が多い国なんだ。イギリスが医療崩壊する瀬戸際だと言うのはわかるよ。でも、日本のコロナの患者数はイギリスと桁違いに少ないよね。それでなんで医療崩壊が起こるんだ?」

私はむっとして、コロナ対策ベッド数の使用状況がわかるサイトを夫に見せて、全国病床数53,000に対して68,000人の感染者がいるんだと説明しました。東京なんて6,400床に対し20,000人で入院出来ない人がどんどん増えていると。

 

すると、病床数53,000が嘘っぱちだと。

 

むっかー!!!として、私は夫をデータで論破しようとネットをあちこち探しました。そうすると知らなかったことが見えてきました。

 

まず病床数。

 

2012年のデータですが、日本の病床数は、人口1000人当たり13.6。対してイギリスは3.0。

つまり日本には、全国で160万床のベッドがある。(日本の人口1.2億人)

イギリスには、全国で20万床のベッドがある。(イギリスの人口0.67億人)

 

2021.1.20現在の新型コロナ感染者数(Active Case)は、

(Active Case=全感染者数から陰性になった方と亡くなった方の人数を引いた数)

日本は7万人。https://www.worldometers.info/coronavirus/country/japan/

イギリスは184万人。https://www.worldometers.info/coronavirus/country/uk/

 

つまり、もし全ての病床をコロナ患者に使えるとしたら、

日本は、7万人に対し160万床、使用率は4%である。

イギリスは、184万人に対し20万床、使用率は920%である。

 

これは・・・、イギリスで、コロナの為に医療崩壊が起こるのは、よくわかる。。。確かに。

コロナ感染者9人のうち8人は入院出来ないのだ。実際は全てのベッドがコロナに使えるわけではないから、もっとずっと悲惨だろう。

 

対して日本は、コロナ患者全員を入院させたとしても全病床の4%しか必要ではない。

これでどうして医療崩壊が起こるのだ、という理屈である。

 

びっくりしてしまった。

 

つまり、日本では160万床のうち、5.3万床(3%)しかコロナ対策に供していないのだ。

それをコントロールしているのは誰か。

 

医者達である。

医者と言っても、現場で必死に働いている医師たちではない。上の方でふんぞり返っている人たちのことである。(これについては「関係者」から耳で聞いたことなので示せるデータはありません)

そういう人たちのことをここからは「医者達」と呼びます。

 

そういう「医者達」のトップである日本医師会の会長が「医療崩壊すでに進行、手遅れ感否めない」として、政府の対応の遅れを批判しているのです。

https://www.asahi.com/articles/ASP1F5WY6P1FUTFL00V.html

 

私は中川会長の発言を聴いて、「日本も医療崩壊か」と、とても不安になりました。

一方夫は、彼の発言を聴いて、「医療崩壊など嘘っぱちだ」と確信したそうです。

 

トップであれば、困難に対し、やるだけのことをやり、それでも他の誰かのせいにせず、活路を見いだすべく努力していくのが、あるべき姿なのに、自分たちは何もせず、政府のせいにするなんて盗人たけだけしいと。

 

現在、コロナ患者を受け入れている病院はとても少ない。ほとんどが公立の病院。

「民間は中小病院が多く、相対的に医師が少なく、コロナ専門病棟をつくるのは難しい。」

という中川会長の言葉は、嘘ではないだろう。現時点では。

 

だけど、彼らにはそれを変える力があるのだ。

そして、それをしないのは、「医者達」のエゴイズムだ。

 

医師会会長が全国の医師達に及ぼす力は、大会社の会長兼社長が社員に及ぼす権力に相当する。

「医者達」の組織はピラミッドである。封建社会である。

医者のトップは人事の采配をふるうことが出来るので民間医療機関に対しても絶大な権力を持つ。

 

彼らが、本気でコロナ対策を、国民が安心できるような対策をしようと思ったら、出来るのだ。

でも、彼らは患者の立場には立たない。

前線で働く医療従事者の立場にも立たない。

自分たちの組織、権益を守ることが大事。

 

健全な企業は、環境の変化に応じて、自分たちの組織を変えていく。

顧客のニーズに応えられるように。そうしないと自分たちの存立が危うくなる。

でも、「医者達」はそんなことをする気はない。

何も変化しなくても、自分たちは安穏としていられる。

最前線で戦う兵士達が疲弊しても、斃れても、援軍を送ろうともせず、戦略も変える気のない愚鈍な大将のようなものだ。

(何故、安穏としていられるかについては、別の記事で書くかもしれません。)

 

数年前、都道府県知事が、医療体制に対して口をはさむことが出来るように、法律が改正されたらしい。つまり、それまでは口出しできなかった。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000711355.pdf p.44

『病院・有床診療所の開設・増床等の許可の際に、不足している病床の機能区分に係る医療の提供という条件を付することができる』

という文言がある。

 

いかにもまどろっこしい。

今小池都知事は、これを使って、医者達にコロナ対策医療体制の変化を要請し、せっついているのだと思う。

全国の知事たちが、この法律があるのに気づいて、頑張ってほしいと思う。

 

羽生さんが、新型コロナ医療最前線で働く医療従事者の方達の苦しい状況に心を痛め、感染者がどんどん増える状況を憂えて、スポニチにメッセージを書いた。

私は、苦しい人、疲れ果てている人に共鳴してしまう羽生さんに、心を痛めてしまう。

あのメッセージは、届く人には、砂漠で飲む水のように染み渡ったことと思う。

羽生さんは、届かない人がいることは百も承知であのメッセージを送ったのだと思う。

「優等生」と言って、嘲笑する人たちがいることは百も承知で。

 

尊敬する。

 

日本の「医療崩壊」に疑問を投げかける記事をいくつか見つけました。