私は栃木県在住で、以前は那須塩原市に住んでいたことがあります。「今度のNHKの朝ドラの舞台が那須町になる」と以前から聞き、栃木県民としては親近感を持っていましたが、さらに、そのヒロインがクリスチャンで、矯風会で熱心に活動されていたことを矯風会の雑誌*より知り(以下、矯風会資料を参照)、感銘受けました。大関知さんは、明治時代の家老の娘でしたが、看護師の草分けとして日本にてその職業の確立に尽力をされた人で、彼女に看護婦養成所へ入学を進めたのは、植村正久牧師だそうです。最初、彼女はそれを断りましたが、植村牧師よりナイチンゲールの話を聞いて「看護し、天父の慈愛を顕すは之に勝る伝道なし」(婦人新報178号、1912年)と、つまり神様の愛を顕わすため、伝道の手段としてこんな仕事は他にないと、信仰のゆえに決意したそうです。彼女は帝国医科大学付属第一医院の婦長になりましたが、そこの教授に提出した「看病婦養成法に関する建議書」の提出と熱心すぎる伝道のため、婦長を辞めざるをえなかったとのことです。その後、新潟の高田女学校で舎監兼伝道師として赴任、その頃すでに矯風会の会員として、公娼制度廃止運動のための活動、看護婦人矯風会の組織の建設、慈愛館(現・女性自立支援施設「慈愛」)の理事を務められたそうです。
大関さんは、当時の世の逆風とどれだけ戦い、苦労されたことでしょう。きっと、彼女の強い意思、志は神様から与えられ、信仰により苦境に打ち勝ち、当時の弱い立場の人々のために尽力を尽くすことができのだと察します。このことは、神様の大きな力が彼女を通して働かれた証しであると言えます。神様の力について聖書にこう記しています。
「また、わたしたち信仰者に対して絶大な働きをなさる神の力が、どれほど大きなものであるか、悟らせてくださるように。 神は、この力をキリストに働かせて、キリストを死者の中から復活させ、天において御自分の右の座に着かせ、 すべての支配、権威、勢力、主権の上に置き、今の世ばかりでなく、来るべき世にも唱えられるあらゆる名の上に置かれました。」
エフェソの信徒への手紙1章19-21節
神様の力がどれ程であるのかを、イエス様を死者の中から復活させた力、そして天で神様の右の座につかせて、すべての支配・権威・勢力・主権の上に置き、すべてのものをキリストの足元に従わせる程であるとし、ここはキリストの使徒パウロが「わたしたち信仰者に対して絶大な働きをなさる神の力がどれほど大きなものであるか、悟らせてくださるように。」(同1・19)とエフェソの教会の人々のために執り成しの祈りをしている箇所であります。対抗するこの世の勢力がどんなに強くとも、私たちに力がなくとも、キリストを信じる者はキリストを頭とするキリストの体の一部であります。わたしたちはキリストに結ばれているゆえに、キリストを通して神様の絶体な力に預かれるという恵みを、パウロは個々人として、教会という共同体として悟ることができるようにと祈っていたのではないでしょうか。その祈りは現代に生きる私たちにも適用されます。
大関さん自身の信仰も素晴らしいと思いますが、私はこのようなクリスチャンの愛の働きを、神様に感謝したいと思います(同1・15-16参照)。そして、わたしの様に小さい、働きがない者であっても、今おかれている場所において、具体的な出来事と通して、私たちの常識的な考え方では起こり得ないような、不思議な形で物事が解決したり、展開したりすることを自らが体験し、そのことで、神様の力が働かれていると知り神様に栄光を帰すことができるように、祈り求めたいと思います。
(新共同訳聖書引用)
参照: 「発見!矯風会の資料室から その2」、『K-peace』(旧・婦人新報)、第47号、公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会編集兼発行、2026年4月