胎児スクリーニング1の続きです

 

 

状況がよく呑み込めないまま、

他の検診に来ている方をよそに部屋に通されました。

 

丸椅子に腰をかけると、カルテを神妙な面持ちで眺める

医師の姿がありました。

 

すぐにスクリーニング検査の結果について、

「異常なしとは診断しにくい箇所が見つかりました」

と、説明が始まりました。

 

何となくですが、その空間がピンと張り詰めた様な空気で

その空気を更に硬直させる言葉。

 

「心臓に問題がある可能性があります」

 

一瞬、心臓って何だっけ?と思ってしまう程

少しだけ遠い場所に流された様な気持ちになりました。

 

 

医師は紙の上に心臓の絵を書き始めました。

 

心の中で、

右心房・右心室・左心房・左心室、静脈、動脈・・・と、

学生時代に習ったようなことが頭をよぎり、

何故か分からないけど、少し冷静な自分がいました。

 

心の中で唱えていた単語が、医師の口からポロポロと

こぼれ始めました。

“うん、それくらい知ってるよ”

聞きたいような、聞きたくないような、不思議な時間が流れました。

 

とにかく、説明する医師の口が臭くて、

話が全然入ってきませんでした。(これホントに)

心臓の構造について説明している間、

“この臭いは、間違いなく胃からきてるな”

“同僚の人たちは、教えてあげないのかな?病院なのに”

とか、ホントにどうでも良い事ばかり考えていたのでした。

 

今思えば、一種の逃避だったのかもしれません。

 

結構長く感じられた心臓の構造についての話が終わると

どこに問題があるのかについて話が始まりました。

 

胎児スクリーニングでは、前回の記事に書いた通り、

赤と青で心臓の中の血液の流れを映し出すことができ、

弁の異常や壁に穴があいているかどうかなどの異常を

見ていきます。

その際に、肺静脈だか動脈だかが確認できず、

生まれて来た時に、赤ちゃんが自分の力で肺呼吸が

できなくなる可能性があるとのことでした。

 

お腹の中にいるうちは、私の力で生きることができるけど

肺呼吸になった瞬間に、生命の危機にさらされるかもしれない。

そういった説明でした。

 

医師は「最悪の場合」と言いますが、

最悪の場合と言う割に、かなりこわばった表情で説明するので

きっと、ほぼほぼ確定なのだろうと、漠然と思っていました。

 

普通の人は、この時点で泣き出すのかな?

健康に産んであげられなくてゴメンねとか思うのかな?

愛煙家だったからなのかな?

 

など、怖いくらい冷静な自分に驚く自分がいました。

 

本当に不思議だけど、今思い出してみても

「無」という感情だった様な気がします。

 

医師に対して、説明されたことと

自分が咀嚼したことに間違いがないか、

自分の言葉で説明し直し、今後の問題点についても

具体的に整理して確認しました。

 

「はい、そういう事です」

「分かりました」

 

私の話が終わると、再検査についての説明があり、

医師は申し訳なさそうに

「費用が¥30,000自己負担となります」と言いました。

 

ホントお金とかどうでも良いし、

逆にここでやらない奴いるのかよ。と、少し苛立ちました。

 

「はい、結構ですよ」

とお答えし、説明が終わったので、部屋を後にしました。

 

医師の後ろにいた複数のナースにも

何となく可哀想な人を見る目で見送られた様に感じたのでした。