中竹竜二×高濱正伸―「子どもを伸ばす親の6カ条」中編
ラグビーをはじめとするスポーツ界ではコーチのコーチとして、またビジネスの分野ではリーダー育成でも定評のある中竹竜二さん。エッセンシャル出版社より、育児についての見解をまとめた、『どんな個性も活きるスポーツ ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』を上梓しました。
中竹竜二さんと、本書に対談やコメントで登場する花まる学習会代表・高濱正伸さんの対談です。テーマは、「子どもを伸ばす親の6カ条」。この対談の内容を3回にわたって、お伝えします。
中編です!
■中竹さんが重視する力―「観察と傾聴」
―質問をいただきました。「中竹さんが大学時代に発揮された、ファシリテーション能力はどのように養われたのでしょうか。」
中竹さん:僕、質問には結構こだわるのですが、これはいい質問ですね。
「観察と傾聴」だと思います。言いたいことを言えない人はたくさんいると思いますが、大事なものを持っているかもしれないのですよね。大学のラグビーにも、子どもの世界にもヒエラルキーがあるものですし、体育会系ですと、レギュラーの人間のほうが声が大きかったりします。そういう人たちが他の人の意見に対して「それ、違うよね」という雰囲気を作りだすのです。
そこを僕は、フラットに「聞く」ということをすごくしました。一人一人に意見を聞くというより、皆が話している内容をうまくまとめて「こういう意見があるよね」と提示する。すると、意見を言えなかった人でも「俺もそう思っていた」というようなことになります。
高濱さん:これは仮説ですけれど、中竹さんが小さいころ読字障害であったことが、人一倍「聞くこと」に対する集中力を上げたのかもしれないですね。
中竹さん:これはいい仮説ですね。
高濱さん:中竹さんの全てが、ちょっと普通のこととは思えないですね。周りに認められるくらい、人をまとめる力に長けていたのもすごいことです。
中竹さん:自分のこれまでの経験から、「自分は疎外されているな」と感じる人を作りたくないという根本的な思いがあるのだと思います。大学のラグビーの同期、30、40人規模のミーティングでも内容がすごく濃かったですし、他の学年に聞くと「そんないい話し合いはできない」と言います。聞く体制というか、聞いてもらえているという感覚が割とあった、特殊な代だったようです。
■本当のコミュニケーションのために―人間関係をフラットにする
高濱さん:先ほどの小学校の話ですけど、読めないのを笑うクラスメイトは、遊びのつもりかもしれなくても、本人にとってはきついですよね。
中竹さん:そうですね。バカにされて気持ちのいいものではないですよね。
高濱さん:これは怒られるかもしれませんが、美人が年齢を重ねるとあまり苦労せずにきたが故に薄いな…と思うこともありますね。
中年以降輝いている人には、何かしら内面を耕すきっかけとなる負の体験というか、何かそういうものがありますよね。内省して自分を深める時間を持っていたというか。中竹さんも結果「負」を良い方にもっていったのですね。
中竹さん:そうですね。体も弱くてポテンシャルもあまりなかったから、その分、人の何倍も考えることをしていました。
高濱さん:中竹さんは、人一倍考えていますし、社会の力学というか色々なことが見えていますよね。はぐれた人を作りたくないという博愛の気持ちからくる行動は自然なものだったのだ、とも思います。ということは、皆と仲が良かったんでしょうね。
中竹さん:仲良かったですね。
高濱さん:人に好かれるというか。何のためにスポーツをやるかというのは、『どんな個性も活きるスポーツ ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』にも書かれていますが、スポーツには、社会人になったときに人として信頼され、活躍することができるようになるための訓練という側面もありあすよね。
僕は、マネージャ―経験のある人は優秀だなと思います。だから僕はマネージャ―経験のある人を採用したりします。こういう人たちは、人のために活きている時間が長いから「自分が」という風にならないです。
― 質問をいただきました。スポーツ界にいると、「言いたいことを言えない人もいる」という考えよりも「言いたいことがあるならはっきり言え」という考えの大人、傾聴することの大事さに気づいていない大人もいると思います。こういう環境を改善するには、何からやっていけば良いのでしょうか。
高濱さん:これは、まさに中竹さんがやろうとしていることではないですか。いい質問ですね。本業ど真ん中の質問ですね。
中竹さん:この場合、「言いたいことは言え」という力関係があること事体が良くないですよね。「言えない人は弱い人だ」という考えが根底に流れていますから。これは強い弱いの文化ですから、壊したほうがいいです。「言いたいことを言えない」という状況を生んでいるのは何か? これは、皆が考える必要があります。
また、自分の価値を保つために「言われたくない」という人たちも沢山います。例えば、スポーツの試合で成果を出せば、その人はずっとそのポジションにいることができます。ところが、「試合の結果や技術は関係ありませんよ。うまく考えることを大事にしますよ」という新しい意見が入ってきたら、急に自分の価値が下がるわけです。ですから、自己保全のためにヒエラルキーを利用する人がいるということです。でも、見方がもっとフラットになったら、このような人の学びにもなるのですから、「自分以外の意見がある」ということを知って、それを受け入れるという土壌を作っていくことが重要だと思います。
僕が大学でラグビーをやっているときも、議論はたくさんしてもらいました。これはうちの代くらいだと思いますが、レギュラーの1軍の選手に2軍の選手が「もっと練習しろよ」と言ったりしていました。それで「お前に言われたくない」などと喧嘩になったりするのですが、これが健全な姿ですよ。要するに「言っていい」し「喧嘩してもいい」のです。このぶつかり合いでフラットになることが重要だと思います。
高濱さん:普通は、フラットになるというのは怖いですからね。ニーチェではないですが、人間には「権力への志向」というものがありますし、マウント取っていないと安心できないものですからね。フラットになるというのは、本当の強さを持っていないとできないですよね。スポーツ界のここ数年の問題にも、まさにこの壁があったのでしょうね。
中竹さん:スポーツの世界では、技術のうまい下手ではなく、そのスポーツについてどれだけ知っているかという点でもヒエラルキーを作りたがります。例えば、「あいつラグビー分かっていないな」というのは、まさに僕が早稲田大学の監督になったときに言われた言葉です。「言いたいことがあれば、ラグビーを勉強して言えよ」。これで散々いじめられました。
この時点では、このチームで一番偉いのは「最新の内容含め、ラグビーを一番知っている人」だったわけです。
しかし、「人がコミュニケーションをとるときに何が大事なのか」という点が考えるべきポイントです。でもこの問いの答えは意外と分からなかったりするものです。
僕は練習や試合でもビデオを撮ります。これを元に監督風に解説をすることは、僕は得意としなかったのですが、コミュニケーションについての指摘はできました。
例えば、試合中にボールが落ちたとき、ボールをパスした方と受け取った方、どちらかが「こいつ…」みたいな顔をしていることがあります。すると、同じミスがまた起こるのです。お互いのせいにしているからですよね。こういう時、どちらが悪いかは分からないにせよ、「ごめん!ごめん!」と言うことができれば、ミスの原因を修正することができますから、この次はうまくいきます。
コミュニケーションによる解決ができないと人は成長しないですし、チームも強くなりません。
僕は、たった一つの軸でエラくなったつもりになるのは、もったいないよね、という考えを選手たちに伝えています。
高濱さん:それはすごい新しいですよね。誰もやっていないのではないですか。あちこちの社会組織でそういうこと起こりますよね。マウントをとりたくて…という。夫婦でも「だから言っただろ。そのやり方でやれって」と妻に言う愚かさ然りですね。人のせいにし合う夫婦がうまくいかない問題とも繋がりますね。親子も会社もそうですし、コミュニケーション論の究極というか、面白い課題ですね。これをどうもっていくかですね…相当、強い人間でないと「俺が悪かった」と言いにくいですよね。
中竹さん:上下関係の戦いをしている時点で、この課題は解決しないですよね。それを超えていく何かがないと…。人間関係においては、競争自体がないと思うことが結構重要かと思ったりしますけどね。人間関係に勝ち負けがないということになれば、本当のコミュニケーションが始まると思います。
高濱さん:人はこれで長らくきましたから、変えるのはなかなかに大変だと思いますが、本質をついていると思います。「人のせいにしてはだめだ」と思っても真の底では勝ちたいものだと思いますし、人より上に行って安心するというのがどうしてもあると思います。
■試合の勝敗の前に、いかに自分に勝つか ― オフザフィールド
― 今のお話は中竹さんが大事にする「オフザフィールド」に繋がる話だと思います。この言葉についてお話いただけますか。
中竹さん:段階を追ってお話しますと、スポーツには、 “オンザボール” のプレーと “オフザボール” のプレーがあります。前者は、ボールを持って走る・打つなどのことで、これが今までスポーツで一番注目されてきたことで、これがすごいのはもちろんのことです。後者はそれ以外です。
スポーツをよく見ると、ボールのそばで活躍する人がいる一方、ボールとは離れた場所、つまりこの “オフザボール” で、必要な動きをする人がいるのです。名将といわれる人は昔からこの重要性が分かっていましたし、スポーツが進化するにつれて、一般的にもこれが大事だということがだんだん分かってきました。
さらに、“オンザフィールド”(=競技するフィールド)だけでなく“オフザフィールド”(=競技以外)の重要性も見えてきました。
スポーツの試合数が少なかった昔は、「野球のプレーがひたすらすごい」というような人が沢山いて注目されました。でも、今は「プレーがすごい」だけでは無理なのです。リーグなどで試合数も増えてきましたし、しっかりコンディションを整えて、球団ともしっかり向き合わなければなりません。また、地方遠征などがありますから選手同士での集団生活の必要性も出てきます。このような「プレー以外」のことが時代の変遷とともに重要になってきたのですね。
そして、実際、競技以外の生活がしっかりできている人が勝つということが分かってきました。スポーツ選手が試合や練習などでフィールドに立っている時間は意外と少ないです。このフィールドで一生懸命練習したりすることはもちろん大事ですが、それ以外の生活がとても大事だということです。「人の話を傾聴することができるか」「マウントを取りたいところを我慢して対話ができるか」「嫌なフィードバックをしっかり受け止めることができるか」なども、この “オフザフィールド” に含まれます。人が成長する軸のほとんどは、ここにあります。
高濱さん:これはすごく分かりますね。例えば、「トイレ掃除が大事」というのと共通していますよね。でもこれは、なかなか若い人には伝わりにくくて、「社長が新人に嫌な事をさせようとしている」と見られたりもします。僕はこの27年間、同じトイレの掃除を続けているのですが、これは「こういうことは、巡り巡ってくるんだぞ」ということを示すためです。簡単に言えば、例えば僕が悪く言われたとしても、トイレ掃除をしているというだけで、「いや、高濱さんは悪い人ではないよ」と思ってもらえたりするとも思います。
優勝などのオンザフィールドばかりが注目されがちですが、「“オフザフィールド” を磨くためにスポーツをしている」などといった風潮になるといいですよね。
人格がちょっと…と、プロスポーツ選手に破綻した部分があっても、これはこれで面白いですし、ありだと思うのですが、「子どもに何故スポーツをさせるのか?」と言う点では、「皆に認められて、一緒に仕事をしたいと思われるような、中竹さんのような立派な社会人になるため」であって、そのためには「 “オフザフィールド” が重要」ということが親として分かっていると、全然違ってくると思います。
「ピアノのコンテストに勝てばいい」といったような結果勝負で、「それでいいの?!」と言いたくなるような育て方もありますからね。ピアノの練習が終わった後の態度や、先生への口の利き方、また、全く関係ないように見えるかもしれませんが、八百屋さんで買い物をするときの態度などが大事なのですよね。
これは社長軍団にも表れますよね。ウェイターさんやウェイトレスさんに対する態度が急に変わる人がいたりして。エラそうにしたいのですね。
中竹さん:タクシーの運転手さんへの態度などでもその人が分かったりします。
高濱さん:そうですよね。これはっきり出ますよね。「そのあなたの意識こそがダサいんだけど」と思いますけどね。本質的には全然エラくないのですから。このような人は、弱いからこそ、「こっちが上なんだ」と示したくなるのでしょうね。
中竹さん:そうですよね。オフザフィールドのいいところは、相手ありきのオンザフィールドと違って、全部自分でコントロールすることができることです。トイレ掃除、挨拶、人に対する態度にしてもそうです。自分が存在する意義を自分で作っていけるという超いい機会なのです。
また、スポーツで言うと、オンザフィールドでの勝者は、ほんの一握りになってしまいますが、勝ち負けのないオフザフィールドでは「いかに “自分で” 実績を積むか」ということですから、僕は、安心・安全でラクだと思います。試合の勝敗の前に、いかに自分に勝つかですね。
高濱さん:そうですよね。オンザフィールドは「相手がどう走ってくるかわからない」といったような、不確定要素ばかりですからね。
オフザフィールドの重要性が社会に浸透すれば、社会はすごく良くなると思います。子育てにしても「オフザフィールドのためにやっているんだ」となれば、負けようがなんだろうが「負けちゃったのね。頑張って。でも努力の足りなかったところはあるんじゃない?」と言えたりすると思います。「負けちゃったの?!」ではなくですね。
中竹さん:最近の話題でいうと、大坂なおみさんは、一段上のオフザフィールドを体現していると思います。
高濱さん:すごいですよね。
中竹さん:彼女は黒人差別に抗議して、差別を受けた7人の方の名前の書かれた黒いマスクをしました。一昔前だったら、「スポーツ選手は社会活動家でないのだから、スポーツに集中しろ」と言われたと思いますし、負けたら「そんなことしているから負けたんだ」と言われるリスクもあったわけですよね。でも、テニスと、テニスと関係のないメッセージを伝えることを両立させました。
高濱さん:本当にスポーツ界の画期的場面だったと思います。人として大事にしている「価値観」を前面に出すことができた。本当にかっこいいですし、これを認められないスポンサーはアウトですよね。それで離れるファンはそれまででいいのです。勝っても、そういう差別をしている世界では意味ないということですよね。
■意思決定は自分で ― 親はいかにして見守るべきか
― 質問をいただいています。2人の小学生の娘を持つ母親です。「オフザフィールドは負けがない世界」というお話は目からウロコでした。オフザフィールドのために、家庭ではどのようなことができるのかを知りたいです。
中竹さん:お子さんが決めたことなら、何でもさせてあげるのがいいと思います。
日本では、「不言実行」の美徳がありますが、これはマネジメントやリーダーシップの世界では、あまり機能していません。むしろ「自分で決めて宣言して実行し、実行したと伝える」。このことが自分を承認することに繋がり、自己肯定感を高めていくのです。「何時に起きてご飯を食べる」や「片付けをする」といったちょっとしたことでもいいので、このサイクルを持たせてあげられるといいかなと思います。
高濱さん:大人を見てても問題だなと思うのは「やらされている」人たちです。「自分の意志で選んだり決めたりする」という主体性のある人間を育てていきたいですよね。「決められない」大人が多すぎると思います。
中竹さん:そうですね。「自分で決めた」という決定感を早いうちから持たせてあげたほうがいいと思います。
高濱さん:転職も自分で決められず、「何したらいいんですかね」という人もいますからね。今まで選択してきていないから、単に「正解を求める」ことしかできなかったりするんですよね。こういう人たちは、「自分に合うのは何でしょう?」と周囲に問うのではなく、「自分で決意するべきこと」だというのが、分かっていないのですね。
中竹さん:これをテクニカルな面から言いますと、質問の仕方が大事というのもあります。小学生に何かを聞くときも、まずその子のレベルにあわせてあげます。今まで何も決めたことがない子に「何をする?」と獏然と聞くのはハードルが高いので、いくつかの選択肢を提示してあげるのがいいです。
高濱さん:それが、親が子どもに「こっちの薄い問題集とこっちの厚い問題集どっちがいいの」と一応聞いてはいるものの、子どもとしては「こっち…」と厚いほうを指さすしかないみたいなことってありますよね。子どもとしては親の気持ちを忖度するしかないような。それで「これあなたが決めたのに、何言っているの!」となったりね。
中竹さん:誘導質問ですね。皆さん、それは一番だめなパターンですよ。
高濱さん:小さいころは親が全てだし、特に母親が笑っていて友達と遊べたら、それで充分。世界が輝いて見えるものです。貧しさだって軽く乗り越えることができますよ。小さいころは、親という太陽が一番重要です。
これが中学生や高校生になると、親以外のいい師匠を持つことが大事です。生活についてもそうです。何故、掃除や挨拶が大事なのか? ということについても、「こうだ!」「それが人間にとって大事なんだよ」と理屈ぬきに言い切れる存在ですね。人生長く生きているから、このようなオフザフィールドの重要な点が言い切れるという。子どもは、このような指針を求めているものです。
中竹さん:言い切る力は大事ですよね。
高濱さん:そうですよね。大人がフラフラしていると子どもは不安になります。
中竹さん:コーチングの世界でも、原則、圧倒的に言い切る力を持っていないとだめですね。そうしないと人はフラフラします。
高濱さん:自分の哲学というか…これが今失われつつあることだと思いますね。究極には、自分の人生感を持つことがとても大事です。持ち切れていない大人があまりにも多いと感じています。「年収がいい」などの借り物の数値に寄りかかってしまうというか。
美人で、お金もあって、いいところに住んで…これで幸せなのはずなのにな…と。
中竹さん:「はず」というのはアテになりませんからね。
高濱さん:自分で選んだものには自信が持てますが、世間的な他者評価に寄りかかっていては幸せになれませんよ。自分のことは騙せないですからね。「やりたいことを自分の基準で決めてやりきる」とうのが基本です。
先程の話に戻りますが、中学生・高校生くらいの思春期というのは、放っておけば眠っていたり、悪いことが楽しかったりするので、がつん!と言える人がいることが大事です。
中竹さん:怒られる経験も大事ですよね。ただ、人を利用して「あのおじさんに怒られるよ」というのは良くないですよね。
高濱さん:そうですね。それはだめですね。思春期は、親に言われると何故か「うるさい!」となりますが、大好きな監督などナナメの関係の人から直接言われたことなら鵜呑みにできるものです。
― 質問がきています。子どもが「決める」ことで大事な要素は、ビジネスで言うところの「目標設定」と一緒ですか?
中竹さん:そうですね、イコールですが、そこまで具体的にロジカルに考えなくてもいいいかなと思いますね。それより、それが自発的に湧いたものかどうかが大事ですね。突発的に「これやりたい!」ということもあると思いますし、それを見守ってあげるべきだと思います。
高濱さん:子どもは大人にとって価値のないことに熱中するものですからね。小さいころは特にそうですよね。石を集めたり、虫を集めたり…。ただ、本人にとっては、それが心奪われることなのです。「関心」がキーワドですね。ただ、大人から見て必要と思う枠組みの提示もしなければなりませんから、そのバランスが難しいですね。僕はよく「家訓を作ったほうがいい」と言うのですが、「これだけは絶対守らせる」ということを決めて、あとは自由にさせるのがいいと思いますね。
つづく
お二人の対談は、後編に続きます!
―中竹竜二( Nakatake Ryuji )
株式会社チームボックス代表取締役
日本ラグビーフットボール協会理事
1973年福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年、日本ラグビーフットボール協会「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。2014年、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックス設立。2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。
ほかに、一般社団法人日本ウィルチェアーラグビー連盟 副理事長 など。
著書に『新版リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』(CCCメディアハウス)など多数。
2020年、初の育児書『どんな個性も活きるスポーツ ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』を執筆。
◆『オフ・ザ・フィールドの子育て』の紹介◆
本書では、「多様性」というキーワードに着目し、それを独自に育んできたラグビーに学ぶことで、子どもたちに多様性を身につけてもらえる、子育てをよりよくできるのではないかと考えました。教えてくれるのは、「コーチのコーチ」をしてきた“教え方のプロ"である中竹竜二氏。
さらに、花まる学習会を主宰する高濱正伸先生から、著者の考えに対して、
「子育て」や「学び」の観点から、適宜コメントを入れていただきました。
また、巻末にはお二人の対談を掲載し、ラグビーに学ぶことの意義についてご紹介しています。改めて「ワンチーム」という言葉の意味や、ラグビーが大事にしてきた「オフ・ザ・フィールド」という考え方を知ることで、わが子の個性をどのように活かしたらよいかを考えるきっかけとし、わが子が実際に輝ける場所を親子で一緒に見つけてほしいと思います。
“サンドウィッチマン推薦! "
ラグビーがなかったら、いまの俺たちはいなかったと思う。
「中竹さん、ラグビーから学んだことは、今に活きています! 」
―高濱正伸( Takahama Masanobu )
花まる学習会代表
NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長
算数オリンピック作問委員。日本棋院理事
1959年熊本県人吉市生まれ。
県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。
東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、年間約10000人を引率。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。
障がい児の学習指導や青年期の引きこもりなどの相談も一貫して受け続け、現在は独立した専門のNPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」として運営している。
公立学校向けに、10年間さまざまな形での協力をしてきて、2015年4月からは、佐賀県武雄市で官民一体型学校「武雄花まる学園」の運営にかかわり、市内の公立小学校全11校に拡大されることが決定した。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』など、著書多数。関連書籍は200冊、総発行部数は約300万部。
「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」など、数多くのメディアに紹介されて大反響。週刊ダイヤモンドの連載を始め、朝日新聞土曜版「be」や雑誌「AERA with Kids」などに多数登場している。
ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー、NHKラジオ第一「らじるラボ」の【どうしたの?~木曜相談室~】コーナーで第2木曜日の相談員を務める。