たぶん、私が物心ついたときから一緒にいたのはユキだったんだと思う。
彼女は私より2つ年上で、色白、小柄な身体。一重でちょっと古風な顔立ちのかわいい子だった。

彼女が高校1年の時、クラスメートの彼氏が出来た。
毎日学校から帰ってくると、隣の私を呼びに来て、彼氏の話をたくさんしてくれた。私は一度も彼に会ったことがなかったが、いつの間にか彼女の彼氏に対しての甘い気持ちを抱くようになっていた。
彼女の話は、14歳の私には少女マンガの世界のようで、たぶん、マンガの世界の男の子に恋をするような、そんな感じだったんだろう。

その彼とも何ヶ月後に破局。
ユキは高校に入ってから、かなり魅力的になり積極的になったから、彼氏は次から次へと変わっていった。
その度に彼女の彼にアコガレを抱いていたような気がする。
まったくおかしい話だけど・・。

お互いに大人になった今も、たまに話をしたりするが、今は家庭と子供の話が中心になってしまった。

だけど、彼女の顔を見ていると、あの頃の濡れた唇と潤んだ瞳が蘇ってくる。
私は彼女が羨ましかったんだ。



著者: くすもと みちこ, スネル 博子, うえだ いずみ
タイトル: やさしさの木の下で―ぼくとびょうきとファミリーハウス