どこかの市長が、卒業証書を偽造した疑いで在宅起訴された、というニュースを見ました。
動機は正直よく分かりません。
学歴にこだわったのか、それとも「学歴がないと当選できない」と思ったのか。
ただ、報道の内容が事実だとすると、自分で学長印まで用意して偽造したというのは、あまりにも稚拙で悪質ですよね。
市長としての能力以前に、「それをやるか」というレベルの話に見えてしまう。
ただ、この話を「個人の資質」で片付けてしまうのは、少し違う気もしています。
なぜなら、この問題は制度の穴がそのまま放置されていることにも原因があるからです。
一般企業であれば、新卒入社時に卒業証明書や成績証明書の提出は当たり前です。
企業側は「本当にその学歴なのか」を当然確認する。
一方で、政治の世界はどうか。
実は、国会議員の立候補において、卒業証明書の提出は義務付けられていないようです。選挙公報やポスターに掲載される学歴は、基本的に自己申告。区議会議員、市議会議員、町議会議員も恐らく同様でしょう。
つまり、極端な話をすれば、「言ったもん勝ち」が成立する構造になっている。
もちろん虚偽が発覚すれば問題(公職選挙法違反)になりますが、「最初から確認しない」という前提自体が不思議です。
国会議員の立候補者が提出する書類はそれなりにあるようです。
・候補者届出書
・供託証明書
・宣誓書
・戸籍謄本
年齢や資格はしっかり確認する一方で、自己申告の「学歴」はノーチェック。このバランスの悪さに、違和感を覚えます。
中には、「卒業証明書の提出を義務化すると候補者の負担が増える」という意見もあるようですが、正直なところ、それはかなり無理がある。
最近、自分で大学院の証明書を発行したことがありますが、機械で数分、窓口でも10分程度。郵送も可能で、代理申請すらできる。まったく負担ではありません。(海外の大学は時間が掛かるかもしれません。)
むしろ、「それすら確認しない制度」の方がリスクではないでしょうか。
もちろん、大卒である必要はまったくありません。高卒でも、中卒でも、それはそれで堂々と示せばいい。
問題はそこではなく、「事実かどうか」です。
特に、税金から給与を受け取る立場である以上、「透明性」は必要だと思います。
今回の件は、確かに個人の問題ではあります。
ただ同時に、「確認しない仕組み」があれば、いつか誰かがそこを突く。
制度は、善意ではなく、前提として疑うことで成り立つものです。
それを怠った結果が今回だとすれば、問題は一人の市長だけではない。
「自己申告で問題ない」としてきた側にも、同じだけの責任があるのだと思います。
そして一番皮肉なのは、
普通の会社員の方が、政治家よりも厳密に
「経歴を証明させられている(負担を強いられている?)」という、この構図かもしれません。