本日、少し気になるニュースを見ました。
東京医科歯科大(現・東京科学大学)出身で、研修医を終えたばかりのYouTuberが、当初志望していた内科系ではなく、美容外科に進むと発信した、というものです。
理由はシンプルでした。
「どの科に行っても高齢者医療が中心」
「一つ治しても、また別の病気が出てくる。気持ちが追いつかなかった」
正直に言えば、「それは最初から分かっていたのでは?」という感想はあります。
今の日本の医療が高齢者中心であることは、もはや前提です。
ドラマのような世界とは違う。
そのうえで、いわゆる「直美」という選択をする。
ただ、その合理性をそのまま許容してしまうと、社会としては歪みが大きくなる。
極端な話をすれば、美容医療は医師免許を前提としなくても成立する領域です。自由診療である以上、制度設計次第でいくらでも線引きはできると思います。
どこまでを医療とし、どこからをサービスとするのか。
その整理をしないまま、「医師免許を取った人の自由」に委ね続けるのは、少し無責任にも見えます。
もちろん、現場の大変さは理解できますし、個人の自由なので否定はしません。
実際、医師免許を取りつつ別の道に進む人も一定数いますし、河野玄斗さんのような例もあります。
ただ、問題はここからです。
この選択が「合理的になってしまっている構造」がある。
きつい現場、報われにくい領域から人が離れ、比較的収益性が高く、負担のコントロールがしやすい分野に流れる。個人として見れば極めて合理的です。でも、それが積み重なると医療そのものが歪む。
医師の偏在や診療科の偏りは長年の課題ですが、本質的な解決は進んでいない。制度である程度コントロールできる領域を、事実上国は放置している状態です。
だから、直美が増えるのも自然な流れです。
そしてもう一つ、現場のリアルがあります。
私の娘も一時期、小児科を志望していたようです。
ただ現場や周りの話を聞くと、医療そのものよりも別の難しさがあるようです。
いわゆるモンスターペアレンツの存在です。
医学的に説明しても、ネットの情報を優先して受け入れない。子どもの症状以上に、親への対応で消耗する場面も少なくない。
もちろん一部ではありますが、それが積み重なると「やりたい医療」と「続けられる環境」がズレていく。
結果として、いまは小児科は選択肢から外れつつあるようです。
これも個人の問題というより、構造の問題です。
今回のYouTuberの発言は、ある意味で正直です。
そして、おそらく一部の若手医師の本音でもある。ただ、それを「仕方ない」で終わらせていいのか。
人を診ない医師が増えていく社会は、やはりどこかおかしい。
もしそれが合理的な選択になっているのだとしたら、問題は個人ではなく、その選択を生み出している側にあるのだと思います。