以前から何度か書いていますが、私は”楽しむ登山”は好きです。
でも、命を削るような玄人登山には、かなり否定的です。
特に冬山。
そして閉山中の富士山。
最近も、軽装備での登山や外国人観光客の遭難がたびたびニュースになっています。
富士山は、もはや「日本最高峰」というより、「世界的観光アトラクション」に近い存在。
SNS映えもする。
アクセスもいい。
新幹線を降りれば、わりと気軽に来られる。
その結果、「思ったより山だった」という遭難が増えている。
いや、富士山は普通に山です。
しかも本気を出すとかなり危険です。
加えて、最近は熊の問題もあります。
本州で熊の心配がほぼないのは千葉県くらいとも言われていますが、逆に言えば、それ以外はどこで遭遇してもおかしくない時代です。昔の“なんとなく自然を楽しむ”感覚のまま山へ入るには、リスクが高くなりすぎています。
もちろん、「自己責任」で片付ける考え方もあるでしょう。
ただ、現実には遭難すれば、責任感が強い人たちがたくさん動きます。
救助隊、消防、警察、自治体。
場合によっては民間ヘリまで出動する。
そして、そのコスト感覚が、日本は少し曖昧です。
ヒマラヤ級に何百万円とは言いませんが、例えば閉山期間中の登山には高額な預け金を設定する。
遭難救助費用の自己負担ルールを明確化する。外国人観光客には登山保険加入を義務化する。
そのくらいは、もう議論していい段階だと思います。
登山料についても同じです。
外国人向けに料金を高く設定することに、私は特に違和感はありません。
パリのルーブル美術館をはじめ、世界の観光地では普通に行われています。
むしろ、日本だけが「みんな平等」を過剰に貫き、結果として管理コストを抱え込んでいる印象すらあります。
ただ、富士山の難しいところは、登山道の管理主体が県をまたいでいたり、国・自治体・関係機関に分かれていたりすることです。
要するに、「誰が最終責任者なのか見えにくい。」
そして日本は、この手の問題になると毎回動きが遅い。
事故が起きる。
議論する。
検討する。
翌年また事故が起きる。
毎回、このループです。
日本社会は長く性善説で回ってきました。
でも、世界中から観光客が集まり、SNSで「気軽な冒険」が拡散される時代に、その前提だけで山を管理するのは少し危うい。
富士山は美しい山です。だからこそ、“誰でも気軽に行ける山”として扱うのではなく、「準備をした人だけが安全に楽しめる山」
として、そろそろ本気で設計し直す時期だと思います。