わかりやすい「いづれの御時にか。。。」絵巻物☆彡Part6 | ☆えすぎ・あみ~ごのつづりもの☆

☆えすぎ・あみ~ごのつづりもの☆

歴史小説や現代ミステリー小説を主に綴っています☆
音楽や映画のreview/外国語・英会話の話題/
HANDMADEやCOOKING /
保護猫ちゃんや地域猫ちゃんとの暮らし/
などなど。

Part6

 

第1章第5帖

  若紫(わかむらさき)

【あらすじ】

 光源氏18歳3月から冬10月の話。

 瘧(おこり、マラリア)を病んで加持(かじ)のために北山を訪れた源氏は、通りかかった家で密かに恋焦がれる藤壺(23歳)の面影を持つ少女(後の紫の上。10歳ほど)を垣間見た。

 少女の大伯父の僧都によると彼女は藤壺の兄兵部卿宮の娘で、父の正妻による圧力を気に病んだ母が早くに亡くなった後、祖母の北山の尼君(40歳ほど)の元で育てられ10余年たったという。源氏は少女の後見を申し出たが、結婚相手とするにはあまりに少女が幼いため、尼君は本気にしなかった。

 

 4月、病で藤壺(23歳)が里下がり。源氏は藤壺の侍女王命婦の手引きで再会を果たした。その後藤壺は源氏の文も拒み続けたが、既に藤壺は源氏の子を妊娠していた。

 一方、北山の尼君はその後少女と共に都に戻っていた。晩秋源氏は見舞いに訪れるが、尼君はそれから間もなく亡くなってしまう。身寄りのなくなった少女を、源氏は父兵部卿宮に先んじて自らの邸二条院に連れ帰り、恋しい藤壺の身代わりに理想的な女性に育てようと考えるのだった。

 

 

 

 

若紫(幼少期の紫の上)

 

 

 

【原文 抜粋】
5.3 源氏、若紫の君を発見す    
 清げなる大人二人ばかり、さては童女ぞ出で入り遊ぶ。

 中に十ばかりやあらむと見えて、白き衣、山吹などの萎なえたる着て、走り来たる女子、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生ひさき見えて、うつくしげなる容貌かたちなり。髪は扇を広げたるやうにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなして立てり。
「何ごとぞや。童女わらべと腹立ちたまへるか」

とて、尼君の見上げたるに、すこしおぼえたるところあれば、「子なめり」と見たまふ。
「雀の子を犬君いぬきが逃がしつる。伏籠(ふせご)のうちに籠めたりつるものを」
とて、いと口惜しと思へり。このゐたる大人、
「例の、心なしの、かかるわざをして、さいなまるるこそ、いと心づきなけれ。いづ方へかまかりぬる。いとをかしう、やうやうなりつるものを。烏などもこそ見つくれ」
とて、立ちて行く。髪ゆるるかにいと長く、めやすき人なめり。

 

 少納言の乳母とこそ人言ふめるは、この子の後見うしろみなるべし。尼君、
「いで、あな幼や。言ふかひなうものしたまふかな。おのが、かく、今日明日におぼゆる命をば、何とも思したらで、雀慕ひたまふほどよ。罪得ることぞと、常に聞こゆるを、心憂く」

とて、「こちや」と言へば、ついゐたり。

 

 つらつきいとらうたげにて、眉のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額つき、髪ざし、いみじううつくし。

「ねびゆかむさま ゆかしき人かな」

と、目とまりたまふ。さるは、

「限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれるが、まもらるるなりけり」

と、思ふにも涙ぞ落つる。尼君、髪をかき撫でつつ、
「梳けづることをうるさがりたまへど、をかしの御髪や。

 いとはかなうものしたまふこそ、あはれにうしろめたけれ。

 かばかりになれば、いとかからぬ人もあるものを。

 故姫君は、十ばかりにて殿に後れたまひしほど、いみじうものは思ひ知りたまへりしぞかし。

 ただ今、おのれ見捨てたてまつらば、いかで世におはせむとすらむ」
とて、いみじく泣くを見たまふも、すずろに悲し。

 幼心地にも、さすがにうちまもりて、伏目になりてうつぶしたるに、こぼれかかりたる髪、つやつやとめでたう見ゆ。


『生ひ立たむ ありかも知らぬ 若草を
おくらす露ぞ 消えむそらなき』


またゐたる大人、「げに」と、うち泣きて、


『初草の 生ひ行く末も 知らぬまに
いかでか露の 消えむとすらむ』


と聞こゆるほどに、僧都、あなたより来て、
「こなたはあらはにやはべらむ。

 今日しも、端におはしましけるかな。この上の聖の方に、源氏の中将の瘧病わらはやみまじなひにものしたまひけるを、ただ今なむ、聞きつけはべる。

 いみじう忍びたまひければ、知りはべらで、ここにはべりながら、御とぶらひにもまでざりける」

とのたまへば、
「あないみじや。いとあやしきさまを、人や見つらむ」

とて、簾下ろしつ。
「この世に、ののしりたまふ光る源氏、かかるついでに見たてまつりたまはむや。世を捨てたる法師の心地にも、いみじう世の憂へ忘れ、齢延ぶる人の御ありさまなり。

 いで、御消息聞こえむ」
とて、立つ音すれば、帰りたまひぬ。

 

 

 

 

 

 

 

おまたせいたしました飛び出すハート

「源氏物語」で一番人気の「紫の上」の登場ですルンルン

 

幼い「若紫」を、人さらいのように連れ帰って

自分の好みの素敵な女性に育てようと

決めた、第5帖です。

 

「紫の上」というのは、氏名ではないのです。

「明石の上」が明石というエリアで見初めた女性だから

その名がついたように。

 

紫の上は、光源氏の初恋のヒトの親戚。

家系の没落で、尼の叔母に預けられて育つんですが、

その叔母の亡き後、別の引き取り先に連れてかれる前に、

強引に連れて帰りました。

 

その後も源氏は色恋沙汰続けるけど、

そばにはずっと「若紫」が居ます。

 

でも、正室でもなく、子供も授からず、

出家もさせてもらえず、、、

一番に寵愛されながらも、苦悩と葛藤の日々。

 

それがまた、紫の上の人間性の深みとして

彩られていくのです。

 

話は替わるけど、

この部分って、教科書に出てました。

ちょうど「若紫」をみつけたシーンが

光村書院の古典教科書にも

出典されてたのを覚えているんです。

 

「犬君(いぬき)がスズメを逃がしたの。

籠を伏せて捕まえておいたのに」

という原文のシーンが印象的だったのです。

 

犬君は、乳母の実子。

つまり没落家系とはいえ、公家さまは

メイドさんを雇えるんだ。。。

というトリビアが心に残っていたから。

 

ちなみに。

京都市は、今でも縦横碁盤の目に道が通っていて、

長年住んでる人は、分かりやすいのに、

旅行者や移住者には、目印がないと親切でない街づくり。

 

これは、坂東武者や西国の荒くれ者から、

お公家さん達の生活を守り、

職人さんたちのエリア(主に西陣)も

暮らしやし易くできてるのです。

 

そういう整備をしたのは、実は

安土桃山時代の織田信長の指揮監修なのです。

 

それ以前は、御所を中心に考えるので、

平安時代に栄えてるおうちは、

みな、五条通より上(北側)なのでした。

 

下京区より南や、碁盤の目より西の右京区には、

生活が庶民的な家族しか、住んでいなかった。。。

 

逆に、宇治地区は、大和の仏事エリアに近いので

女官の家族や僧侶系、神官系も増えていく。

 

作者紫式部の住まいも、宇治に移住してます。

そこで後半の「宇治十帖」も綴られました。

 

 

 

 

 

若紫のおうちも五条通りより下(南側)の下京区。

なので、北山の叔母(修学院のあたりか(・・?)

養われるんです。

「末摘花」「花散里」「空蝉」「夕顔」

も、すべて下京区に元の住まいが在りました。

 

「六条御息所」だけは、家系が位高いので、

独身時代は二条より上ですが、

上長者町あたり(現在のKBS京都のあたり)かと。

ただし、婚姻後は側室なんで、

「通い婚」の逢瀬は六条なんですよ汗うさぎ

プライドの高さだけでなく、

源氏の足が遠のく原因かも。。。泣

 

正室の「葵の上」よりも家格は上。

そこらへんで何度かひと悶着。女同士でアセアセ

 

けど、そんなことはおかまいなく、

若紫(紫の上)とは、ずっと仲良しラブラブ

 

だいたい、桐壺の更衣(実母)に似た藤壺の女御そっくりビックリマーク

その親戚の娘、むらさきちゃんを誘拐するなんて、

 

めっちゃ、マザコンひきずっとるやん!?

 

一見するとロリコンか!?って気もするけど、

 

初恋の人も母似で、そのまたそっくりを

叶わぬ恋の代替えに好みに育てる。。。

 

18歳のやることなんびっくりマークはてなマーク

とんだ海千山千やんけ滝汗

 

と、ライバル頭の中将でなくとも

悪口いうて、いじめしそうや。

 

 

 

 

 

 

 

藤壺の女御には、幼い時から帝の傍で育っているので、

いつも、寵愛を受けているのを眺めて青年期を迎えます。

 

元服して、今でいうお役所勤めを始めると、

滅多なことで逢えなくなります。

 

けれど、この章の間に、

藤壺の女御は光源氏の実子を身籠ってしまうんです。

 

つまり、帝の息子「冷泉帝」は、光源氏の実の息子なんです。

実際に嫡男として育つのは、「夕霧」ですが、

正室「葵の上」の一粒種。

 

「夕霧」は父に似てなくって

めっちゃ堅実で、浮気もせずに実直そのもの。

でも、ひっどい引っ掻き廻しの本気

やっちまうんです。。。

 

まあ、この話はいずれ後で出てくるんで、

今回はTHROUGH自転車

 

とにかく、いつか!?ってったら

藤壺の女御が病気でお宿下がりした時しか

ないよね。。。?

 

ほんまに油断もスキもないんやからぁ。。。

 

けど、相変わらず仲良しな「若紫」には、

まだ、添い寝もしていないみたいです( *´艸`)

 

この時若紫は10歳くらい。

 

「桃栗三年柿八年、紫の上はあと五年」

 

 

では、次回第6帖「末摘花」です。

お楽しみに流れ星流れ星

 

 

 

 

 

黒猫しっぽ黒猫からだ黒猫あたま猫しっぽ猫からだ猫あたま熊しっぽ熊からだ熊あたま