九州城郭特徴壁海鼠壁 | 根多帖別冊 by おしろまん

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海鼠(なまこ)壁 

雪や寒冷から壁を守るため、漆喰を接着剤にして瓦を張り付け補強した壁

ひび割れ防止など実用面のほか、美観もアップしている。下画像:加賀国金沢城二の丸菱櫓

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上の金沢をはじめとして越中国富山城や越後国新発田城で使われていたとされる。

 

ところが雪や寒冷といった害とはあまり縁のない九州地方の城郭建築にも使われることが多い。

古写真では、五島福江の石田城や肥後国人吉城でみられ、古写真から復元された薩摩国鹿児島城の御楼門では往時の海鼠壁がみられるようになった。

また肥前国島原城では、雲仙の噴火時「島原大変」の被害を記した中に 「二階門屋根腰瓦落」 とあるので、これも海鼠壁だった可能性が高い。(小松和博 探訪ブックス〔城〕9 1981)

 

何故雪害の少ないこの地域で海鼠壁が北陸と同じくらいの頻度で海鼠壁があらわれるのであろうか?

結論から言えば、海風による塩害や、大雨台風の水害から壁を守るためのものであるらしい。

 

そういえば石田・島原・鹿児島は海に近いし、人吉は球磨川が石垣を洗っている。

人吉城は下見張板塀との併用があることから、元々下見張だったものが劣化が激しかったので、劣化した部分だけナマコ壁に仕直したのではないか。

堀切凡夫さんのドローン空撮にも映っています。

 

上記金沢城や新発田城の現存・復元建物のイメージで、海鼠壁=雪 と考えがちであるが、もっと柔軟に考えたほうが良いようである。