「音を出すことが怖い」恐怖反応からカラダとココロを解放する。 | 音楽家のためのアレクサンダー・テクニークレッスン〜フルート奏者嶋村順子

音楽家のためのアレクサンダー・テクニークレッスン〜フルート奏者嶋村順子

♪アレクサンダー・テクニークを演奏に生かすレッスン♪
~ココロを自由に、カラダも自由に、自分らしく生き、演奏する~
アレクサンダー・テクニーク教師&フルート奏者の嶋村順子です。
演奏者の心理的・身体的問題を解決する方法を探求しています。

本番や人前での演奏には緊張やちょっとした恐怖はつきものですが、
達成感とともにめでたく洗い流されることも多いと思います。
しかし、かなり深刻な恐怖心に囚われてしまっていた方は、
楽器そのものを続けられなくなるような状況になってしまうこともあります。
以前あったレッスンの様子をご紹介します。

 


【音を出すことが恐怖】

 

二十数年ぶりに吹奏楽を再開したフルート愛好家の生徒さん。
悩みはズバリ「恐怖」でした。
 

学生時代に吹いていた時はそれほど意識しなくても楽しく吹いていたはず。
大人になって吹奏楽団に入って演奏し始めたら、何もかもうまくいかない。
音程、音量、音色、音の出だし、すべてに指導者からの指摘の言葉がかかり、音を出すことが怖くなってしまったそうです。

 

失敗に対する恐れ、周りの人からの評価への不安、迷惑をかけたくないと言う気持ち。
でも何をどうすれば昔のように楽しく吹けるのかもうわからない。

フルートを楽しみたくて再開したはずなのに。。。


【人間の持つ恐怖に対するシステム】 

怖い時、人は身体で何をやっているのでしょうか。
反対に、安全だと思えた時に、人は身体で何をやっている、いえ、やっていないのでしょうか。

人間には、恐怖を感じた時(安全ではないと認識した時)
身を守る防衛のための反射のシステムを持っています。
これは、命を守るために備わった大切な機能ではあるのですが。。。

身を守る筋肉で身体じゅうを備えてしまうと、自由には演奏できないのです。

演奏は、考えや意識と身体の動きが自由かつマッチすることでようやく実現します。
演奏だけでなく、人間のやることは全てそうですね。
でも防衛のための大きく強い動きを持続していたら、これはうまくいきません。


【恐怖に伴う身体の反応と向き合う】
 

キーワードは「自分を主語にする」です。

身体が固まってしまう。→ 私は身体を固め続けるのを自分でやめよう。
怖くて音が出ない。→ 私は音を出す動きを自分でやってみよう。
 

身体を固めているのも自分、解放するのも自分です。

「音を出す」ではなく、「音が出る動き」を自ら選ぶのです。


この生徒さんと、
考えと動きを使って、身体の使い方を選択し直すワークを丁寧にやってみました。

怖くて息が止まるたびに「息を吐く」ことを思い、やってみる。

音出しの瞬間にカラダが固くなったら、
「どこを緩めたらホッとするかな」と考えて、またやってみる。

出した音に自信がなくてすぐやめそうになったら、
「ただ息を流すこと」に注目して、一呼吸置いてからやってみる。

自分の音を聞くのが怖くなったら、
「すでに出てしまった音を判定するのではなく、これから生み出される音をただ目で追うように聞く」ことをやってみる。

アレクサンダーの先生に「やってもらう」のではなく、ご自分自身で選択していくワークです。
私は共にいるだけ、恐怖への反応から離れて、自分で選んだやり方を実験していくことを見守ります。
こうやっていると、自分の変化を自分で起こせることに気づいていただけます。

 

 

【自分がやれる事実を積み重ねる】 

次はフルートの音が鳴るしくみに注目しました。
きっと初心者の頃に難なく吹くことができた方、フルートを吹く適正のある方なのです。
何も考えずにある程度上達できてしまったので、音を出すことを改めて意識することが少なかったのかもしれません。

そこで、フルートが発音する息の流れ方などを、まっさらなところから確認しました。

身体を使って楽器を演奏するので、身体のことに意識的になることは大切です。
でも、楽器という道具を扱うことにも、改めて意識的になるといいですよね。

息を出す方向を改めて意識し直して吹くと、とても楽そうに豊かな響きの音が出てきました。
この時の驚きと嬉しさの混じった笑顔が素晴らしくて、レッスンする私もシアワセ。

しかし、これまで良いと思っていたやり方を変化させるのは、なかなかてこするものです。

新しいやり方への取り組みのコツは「少しずつ」「自分に時間と許可を与えながら」

新しいやり方は、難しいのではなく慣れていないだけです。
だから、「少しずつ」「自分に時間と許可を与えながら」
身体全体、自分全体が連動するように意識して、新しいやり方を練習してみてください。

どうぞこれからもっと音楽を楽しめますように。

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私はフルート奏者ですが、管楽器全般のアンブシュアを含めた演奏法の検証、
ピアノや弦楽器演奏に関する身体の動き、声楽の発声に関する探求も続けています。
全ての音楽家のみなさまのサポートになるレッスンを目指しています。

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