脊椎は、こんなふうになっています
頭を乗せている首のいちばん上、つまり脊椎のてっぺんには環椎、軸椎があります。
環椎=頸椎1番(C1)、軸椎=頸椎2番(C2)
<頭と首>http://ameblo.jp/espressivo1214/entry-11260444400.html
の時に出てきた「後頭下筋群」がここにつながっています。
頸椎(首の骨)は7個、胸椎は12個、腰椎は5個、これで椎骨は合わせて24個です。
その下に、仙骨と尾骨がつづいています。
解剖学上、仙骨は脊椎の一部とされていますが、動きにおいては骨盤と連動する骨です。
私たちの上半身は、首の始まりからこの仙骨までが上半身と考えてください。
次の図は、脊椎を横から見たものです。
ここで是非注目していただきたいのが、「背骨はカーブしている」ということです。
頸部と胸部と腰部、3か所で緩やかにカーブしていますね。
このカーブは身体の動きにしたがって曲線の度合いが大きくなったり小さくなったりします。
ただ静かに呼吸しているときでさえ背骨が伸びたり縮んだりして、長さが変化しているのです。
椎骨のひとつひとつの間にあるクッション(椎間板)のおかげで
脊椎は小さなたくさんの関節があるように動け、
可能な範囲で自由に曲がることができるように作られています。
これらの骨たちがいつも自由に動けるように、どこかで不必要に固めないことが理想です。
アレクサンダー・テクニークを使って頭の押し下げをやめることで、
プライマリー・コントロールがうまく働けるようになると、
脊椎の伸び縮みが楽にできるようになります。
逆に頭を下方向へ押し下げていると、背骨の間がそれぞれ窮屈になるばかりで、
伸びたり自由に曲がったりできません。
頭がふわっと乗っていることで、脊椎の自由さが確保されるわけです。
また、「気をつけの姿勢」「背筋をまっすぐ」
という教育を受けてきた私たちが良くやりがちなのが、
不自然に脊椎をまっすぐにしようとすることです。
しかも、そのまっすぐのイメージをどこでやっているかというと、
おそらく背中の皮膚の上から触ることが出来る、
骨が縦に並んだところではないでしょうか。
脊椎の中心部は椎間板の挟まっている丸く太いところで、
身体の前後の幅のほぼ真ん中にあります。
背中の皮膚の上から触れる骨はそこから伸びたとげのような部分、棘突起たちです。
ですから、棘突起を縦まっすぐに並べようと思って「背筋を伸ばす」と、
実際の構造に逆らっている為に無理があるのです。
いずれ腰痛などの原因になるでしょう。
脊椎は曲がっているのがふつうです。不自然にまっすぐにするのはよくありません。
次に椎骨の図です。脊椎のひとつの骨の形を見てみましょう。
これは代表的な形で、実際には頸椎から胸椎、腰椎まで、
ひとつひとつ微妙に形が変わります。
(BODY CHANCEのBody Thinkingの授業で、骨格模型をバラバラにして組み立てなおす、
という楽しい勉強をしました。その時、椎骨一つ一つの形の連続性の素晴らしさと、
一個一個の棘突起の長さや向きにさえも骨の可動範囲を決める意味があることが分かり、
人間がいかに完璧に設計された構造を持っているかを知って感激しました。)
ここで注目したいのが、
脊椎の中心部である丸い形の「前」の部分と、棘突起のある「後」の部分です。
ほぼ半分で分かれている「前」と「後」。
私たちが「背骨」と勘違いしがちなのが棘突起だということは先ほど書きました。
図の「上から見た図」で下方向へとんがっているのが棘突起です。
上部の丸い部分(椎体)の中心から棘突起の先まで、長いものでは10㎝ほどもあります。
ここを背骨と思うということは、
本来体重を乗せるべきところから何㎝も後ろ側にある骨の突き出た部分に
体の重心を預けてしまおう、ということになります。
う~ん、あきらかに何か良くないことが起きそうですよね。
私たちが体重を預けても大丈夫なのは、脊椎の「前」の方、太くて丸い部分の椎体です。
そしてこの「前」の部分があるのは背中ではなくて、身体の中心あたりです。
「良い姿勢」「きをつけ」「背筋を伸ばす」
こういう言葉と共に身に着けてきた間違った脊椎の場所、ミス・マッピングを直し、
自分の体重を「ほんとう背骨」の上にのましょう。
要点をまとめます。
・脊椎の長さは首の始まりから仙骨まで。そしてこれが上半身の長さということ。
・脊椎には自然な曲線がある。まっすぐでなくてもいいのです。
・頭の押し下げがなくなって頭が脊椎の上にふんわり乗っていることで、
脊椎は伸びたり縮んだり自由に動くことが出来ます。
・身体の重さを支えるのは、椎骨の前の方。背中側に背骨はありません。