Duesenbergを代表するモデルといえば、まず名前が挙がるのが「Starplayer TV」。
セミアコースティックならではの豊かな響きと、Duesenberg独自のデザイン。そして、P-90とハムバッカーを組み合わせた個性的なサウンド。
そんなStarplayer TVの魅力をさらに突き詰め、独自のアイデアを盛り込んだモデルが、今回ご紹介するStarplayer TV Phonicです。
一見するとゴールドパーツを多用した華やかなStarplayer TVに見えますが、実際にはピックアップやコントロール、トレモロシステムなど、細かな部分まで専用設計が施されています。
今回は、そんなPhonicの魅力を、その背景にあるStarplayerの歴史とともに紐解いていきます。
Duesenbergの象徴「Starplayer」
現在のDuesenbergへとつながるブランドの歴史は1980年代に始まり、1990年代には独自のデザインとサウンドを持つギターを次々と生み出していきました。
その中でも大きな転換点となったのが、1995年に登場したStarplayerです。
当時からStarplayerには、一般的なギターとは一味違うDuesenberg独自の美学が込められていました。
ヴィンテージのアメリカンギターを思わせる雰囲気を持ちながら、現代のステージで使うことを前提とした実用性も備える。
この「クラシックとモダンの融合」という考え方は、現在のDuesenbergにも受け継がれています。
そして1998年には、現在まで続くStarplayer TVが登場。
セミアコースティック構造と独自のハードウェア、そしてP-90とハムバッカーという組み合わせによって、Starplayer TVはDuesenbergを代表するモデルへと成長していきます。
「P-90+ハムバッカー」というDuesenbergの個性
Starplayer TVの大きな特徴のひとつが、ネック側にP-90タイプ、ブリッジ側にハムバッカーを搭載するレイアウトです。
Phonicでは、
Neck:Phonico Domino P90
Bridge:Phonico GrandVintage Humbucker
という組み合わせを採用しています。
P-90ならではの力強い中域と歯切れの良いアタック。
そしてブリッジ側のハムバッカーが持つ、太くパワフルでありながら輪郭のあるサウンド。
この2種類の異なるキャラクターを1本のギターに収めることで、クリーンからロックまで幅広いサウンドメイクに対応します。
Phonic最大の特徴「4-Way Rotary Switch」
そしてPhonicを通常のStarplayer TVと大きく差別化しているのが、4-Way Rotary Switchです。
一般的な3wayセレクターではなく、ロータリースイッチによって4種類のサウンドを選択できます。
基本的には、
1:Neck P-90
2:Neck + Bridge
3:Neck + Bridge Low-Cut Filter
4:Bridge Humbucker
という構成。
特に注目したいのが3番目の「Low-Cut Filter」ポジションです。
単純に2つのピックアップを同時に鳴らすだけではなく、フィルター回路を組み合わせることで、ハムバッカーの音量感でありながらより明瞭で整理されたサウンドを作り出せます。
ここには、Phonicというモデルが単に「太い音」「大きな音」を目指したギターではないことが表れています。
「バンドの中で抜ける音」という考え方
ギター単体で弾いたときに「太くて気持ちいい音」と、バンドで演奏したときに「存在感のある音」は、必ずしも同じではありません。
ギターの低域が出すぎればベースとぶつかり、中域が強すぎればボーカルや他の楽器と重なってしまう。
Phonicが面白いのは、こうしたバンド全体の中でのギターの役割まで意識して設計されているところです。
DuesenbergはPhonicについて、オープンで明るく、輪郭のはっきりしたサウンドを追求しています。
つまり、
「ギター単体で良い音」だけではなく、「バンドの中で良い音」
を狙ったモデルなのです。
4wayロータリースイッチに搭載されたローカットフィルターも、こうした考え方を象徴する機能と言えるでしょう。
セミアコースティック構造
もちろん、Phonicのサウンドを語るうえでボディ構造も欠かせません。
Starplayer TV Phonicは、センターブロックを持つセミアコースティック構造を採用。
完全なフルアコースティックとは異なり、ボディ中央にセンターブロックを設けることで、セミアコならではの空気感を残しながら、ステージ上でも扱いやすい設計になっています。
クリーンではボディの響きを感じられる開放感があり、歪ませればセンターブロックとハムバッカーによる芯のあるサウンドへ。
この「アコースティックな響き」と「エレクトリックギターとしての力強さ」のバランスも、Starplayerシリーズが長く支持されている理由のひとつです。
Duesenbergらしさを象徴する「Radiator Tremolo」
Phonicには、Duesenberg独自のRadiator Tremoloを搭載。
これは従来のDuesenberg製トレモロシステムの設計思想を発展させたものです。
滑らかなアーム操作だけでなく、アーム位置の調整や弦交換のしやすさなど、実際の演奏現場での使いやすさも考えられています。
ゴールドのハードウェアと組み合わせることで、機能性だけでなく、Duesenbergらしい存在感のあるルックスにも一役買っています。
見た目の美しさもPhonicの大きな魅力
Duesenbergのギターといえば、音だけでなく、その美しいルックスも大きな魅力。
Phonicでは、ピックアップカバーをはじめ、ブリッジやトレモロ、ペグなどのハードウェアをゴールドで統一。
さらにパール系のバインディングなどを組み合わせ、クラシカルでありながら非常に華やかなデザインに仕上げられています。
特にセミアコースティックの大きなボディとゴールドパーツの組み合わせは、ステージ上でも抜群の存在感。
「楽器そのものがステージ衣装の一部になる」
そんなDuesenbergらしさを強く感じられる一本です。
Plekによる仕上げ
そして、見た目だけではありません。
PhonicにはPlekによるフレット処理が施されています。
フレットや指板を高精度に測定・加工し、その後さらに手作業で仕上げることで、高い演奏性を追求。
Duesenbergは、こうした製造工程にも非常にこだわっています。
華やかな外観からは少し意外に感じるかもしれませんが、Phonicは「見せるためのギター」ではなく、実際にステージで弾き込むためのギターなのです。
Phonicは「Starplayerの完成形」なのか?
では、PhonicはStarplayer TVの単なる上位モデルなのでしょうか。
個人的には、少し違うように感じます。
むしろPhonicは、
「長年進化してきたStarplayerというアイデアを、別の方向から突き詰めたモデル」
と考えると、その存在がより分かりやすくなります。
長い年月をかけて培われてきたStarplayerの基本スペックをベースに、4wayロータリースイッチ、Phonicoピックアップ、Radiator Tremoloなどの要素を加えています。
つまりPhonicは、Starplayerの伝統をそのまま守るのではなく、Duesenberg自身が持っているアイデアをもう一歩先へ進めたモデルなのです。
まとめ
Duesenberg Starplayer TV Phonicを一言で表すなら、
「伝統的なセミアコの魅力と、現代のステージで求められる実用性を融合した、Duesenberg独自の進化形」
と言えるでしょう。
華やかなルックスに、P-90とハムバッカーによる幅広いサウンド。さらに4wayロータリースイッチによって、バンドの中でギターを適切な位置に置くための細かな音作りにも対応しています。
単なる「豪華なStarplayer」ではなく、長年培われてきたDuesenbergの設計思想を、より現代的かつ個性的に進化させた一本。
それがStarplayer TV Phonicなのではないでしょうか。
Duesenbergらしいルックスに惹かれた方は勿論、セミアコの響きを楽しみながら、更に幅広いサウンドを求める方にも、ぜひ一度手に取っていただきたいモデルです![]()










