ベース初心者の疑問!どうすればスラップしやすいベースになる!? | GWSスタッフの日々ブログ

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楽器の街・東京 御茶ノ水の中心部に位置する 「ESP Guitar Workshop」は、ESPのクラフトマンシップのすべてが体感できる工房と楽器店の融合したコンセプトショップです。

テーマ:

おはこんばんちは晴れ星空

 

私、常日頃思っているのですが

 

テクニカルベーシストはどうやってあんなに速くスラップをしているんですか!?

 

まるで早送りしているかのような動き・・・

 

これは何か秘密があるに違いない!!

 

ということで、今回は凄い人物に質問してきましたクラッカークラッカークラッカー

 

日本を代表するテクニカルベーシストIKUO氏のベースをセッティングしているギター

 

当店のチーフリペアマン

林 宏樹

 

 

知る人ぞ知るESPの名物クラフトマンです筋肉

 

IKUOさんの楽器を調整しているのだからどうすれば弾き易くなるのかもわかるはずびっくりマーク

 

早速聞いてみましょうウインク

 

教えて林さ~んラブ

 

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Q、そもそもどういうことをすればいいの?

 

林 「まずは”弦高を下げるための努力”をしよう」

 

星 「弦高を下げるための努力?」

 

林 「よくそのまま弦高を下げてほしいスラップし易い様に調整してほしい。そう依頼を受けるけど結構難しいんだよね。

というのも、楽器が”スラップ出来る準備”と"弦高を下げる準備"出来ていないのがほとんど。

準備っていうのは何か所かあるんだけど、まずはネックやフレットの歪み。

楽器っていうのは使ってるうちに木材が歪んだりフレットがすり減ったり浮いて来たりするよね。これはどんな楽器でも当然の事。

それが歪んでいる状態で弦高を下げても当然弦高なんて下げられないし、音が詰まるポジションも出てくる。

それを修正するのに、フレットすり合わせや打ち直しをする。

そして次にナットが適正な高さなのかをチェックする。

ナットはメーカーによって開放弦でビビらない様に予め高くなっていることが多い。

それじゃぁ良いセッティングは出来ない。

フレットが歪んでる状態でナットの調整をしても意味がない。

だから、フレットとナットを調整して全体調整をする。

そこまでやって、やっと”スラップ出来る準備”が整うわけだね。」

 

星 「なるほど。やみくもに弦高を下げりゃいいってわけじゃないんですね。」

 

林 「そうだね。それをしないで調整をしても、弦高がまだ高いとか音が詰まるとか。ちゃんと説明してもなかなか理解していただけない部分がある。

だから、弦高を下げるための準備をしましょう。ということ」

 

 

Q、弦高を下げる準備が出来たら次は何をする?

 

林 「そしたらやっとブリッジで弦高を下げて、まず”サムピッキング”のセッティングを出す。」

 

星 「サムピッキングだけですか?」

 

林 「まずはサムピッキングだけ。

サムピッキングの為に弦高はもちろん低くするんだけど、低くした分もちろん弦はビビる。そもそもサムピッキングはビビってる音だから、ほとんどのアーティストは多少のビビりは気にしてない。

気にするのは、そのビビりの音が押さえてるところの隣の音になっていないかという所。

そうならない様に、プレイヤーの癖や弾く強さ押さえる強さをくみ取って最適なセッティングを出すのが大変なんだよ。」

 

星 「僕なんかへたくそだから弾く強さも押さえる強さもバラバラですよ・・・」

 

林 「まぁ、当然だよね。それが出来るから”プロ”なんだよ。彼たちはとんでもない努力をしているからね。本当に尊敬する。」

 

 

Q、サムピッキングの準備が出来たら?

 

林 「そしたら次は”プル”のセッティングを出すよ。

これは人によって違うけど、多くの人は弦からボディまたはピックガードまでの距離を狭くする。

その方法はいっぱいあるんだけど、簡単なのはピックガードを厚くすること。3.5mm厚とかのピックガード材で作ったりするね。

大体これで、弦からピックガードまでの距離を広くても10mm

理想は7mmくらいIKUO君のベースは7mmくらいでセッティング出してるよ。」

 

星 「おおっと!貴重なお話がいきなり・・・」

 

林 「それでもなかなか狭くならない時はネックポケットを掘って、ネックのジョイントを下げる。

ただ掘るのではなくて、楽器の状態を見つつ若干角度が付くように掘るのが大事。

まぁ、ピックガードの厚みとネックポケットは両方セットで作業するのがほとんどだけどね。

やっぱりピックガードだけじゃ限界がある。」

 

星 「なるほど」

 

 

Q、スロープって必要?

 

林 「スロープっていうのはロータリー奏法するときに使うよね。

前は指板エンドを使ってロータリーしていたけど、それじゃヒットポイントが少なすぎる。

そのポイントを増やすために生まれたのがスロープ

さっきピックガードやネックポケットで弦からピックガードまでの距離を狭くしたけど、ロータリーに適した高さはもっと狭くないとダメ。ダメってことは無いけど、親指が入りすぎちゃって難しい。

ただ、ぶっちゃけて言うとスロープっていうのは初期のもの。

スロープを付けただけじゃ指板エンドは高いままだし、スロープの所は低いしで演奏にばらつきが出る。

だから、最近自分とアーティストで開発したのは、スロープじゃなくて”ロータリーランプ”っていう新しいシステム」

 

星 「ロータリーランプ!?なんですかそれ!!」

 

林 「ロータリーランプっていうのは、指板エンドに取り付けるのは一緒なんだけどプルするときに邪魔にならない位置までしかなくて、指板エンドもえぐって加工して取り付ける。実物が無いとなんとも説明しにくいけど。

IKUO君のESP AMAZEについてるから見てみて」

 

星 「画像用意しました!」

 

 

星 「本当に指板エンドからえぐれてますね」

 

林 「IKUO君は指板Rとか弦高の高さとか大体のセッティングが決まっているからネックごと長くしてそれごと加工してるけど、後付けの場合指板エンドをえぐって、ちゃんとつながるように加工したものを取り付ける。

ただ、フェンダーの様に指板Rがきつすぎるベース1弦側3弦側高さが結構変わっちゃうから加工するのが難しいんだよね。

スロープと違うのは、スロープは指板エンドからなだらかに斜めになっている。

ロータリーランプはフレットエンドからいきなり低くなっているから、ヒットポイントも広く、高さが一緒だから演奏もバラバラにならない。

だから安定した演奏ができるってわけだよね」

 

 

Q、禁断の質問!IKUOさんのセッティングを教えてください!

 

林 「教えられるところだけね。特別に」

 

星 「ありがとうございます!!」

 

林 「まずさっき言ったように、弦からピックガードまでの距離は7mmくらい。

弦高はもちろん低いから弦はビビる。でもビビり過ぎてミョーンってならない様にギリギリで下げてるって感じかな。

よく、IKUOさんみたいにビビらないけど弦高が低い感じにしてください!って言われるんだけど、IKUO君も生音はビビるからね。アンプから通した音がビビってないだけで。

ロータリーランプのセッティングは他のアーティストの兼ね合いもあるから秘密。

ご依頼いただいた方だけが体感できる部分だね。

IKUO君の凄い所は、指でしっかり弾くフレーズは丁寧に弾くところ。

そこはプロとアマチュアの差じゃないかなぁ。

スラップし易い様にセッティングをしてるから、当然普通の人が指弾きすると力が入り過ぎてビビるんだけど、IKUO君は凄く丁寧に弾くからビビらない。

楽器の鳴らし方、弾き方がわかるんだよね」

 

星 「それが出来るからプロミュージシャンなんですね」

 

林 「一見派手に見える演奏でも実は繊細。ただがむしゃらに弾いているわけじゃないからね。

とにかく、演奏がうまくなりたいならまず”楽器をちゃんと調整する”ところから始めましょう。それが根本にあってこそのプレイ上達です。

変な言い方するけど、弾けないのは楽器のせいにしちゃおう。

もちろん弾けないのは楽器のセッティングが出せてない場合もあるんだけど、じゃあ楽器を調整する。楽器は最高の状態にしても弾けなかったらもう楽器のせいには出来ないよね。

そしたらひたすら練習しなくちゃいけない。

上手くならないのは楽器のせいという逃げ道を無くしてあげれば自分の問題なのでいっぱい練習するようになるでしょう。

とにかく、上手くなるための準備というのを怠らない様に楽器の調整はしっかりすること!これ大事!

 

星 「ありがとうございました!」

 

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今回は林さんの貴重なお話を聞く事が出来ました!!

 

是非、気になるプレイヤーさんは当店で調整してみてはいかがでしょうか!?

 

全体調整工賃¥4,400税込

+弦交換工賃¥1,100税込

ピックガード製作工賃¥8,800税込~(要見積り)

ネックポケット加工工賃¥10,000税込

ネックポケット加工角度付き工賃¥12,000税込

 

ロータリーランプ加工につきましては、機種や指板Rによってセッティング、お値段が大きく変動致しますので、現物を拝見させて頂いてからのお見積りとなります。

お電話やメールでのお問い合わせでは暫定金額もお出しできません。

予めご了承下さいませ。

 

リペア料金表

 

林宏樹のリペアよもやまリポート

 

 

それではまた次回お会いいたしましょう~星

 

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