ミステリーの女王、アガサ・クリスティの作品の中でも傑作として名高い「オリエント急行殺人事件」。今回の映画化も話題を集めているが、1934年に発表され、現在までこの物語が多くの人を惹きつけて止まない理由は何か? (引用)
そのひとつが、ほとんどすべての登場人物が同等レベルで殺人の容疑者として疑われる点だろう。深夜、大雪で立ち往生した列車内で一人の乗客が殺され、他の乗客全員と車掌に対し、名探偵エルキュール・ポアロが「灰色の小さな脳細胞」をフル稼働させ、真実を引き出していく。ほぼ全キャラに見せ場があるので、これほどオールスターキャストがふさわしい作品も珍しい。今回の映画化でも、自ら監督と主人公のポアロ役を兼ねたケネス・ブラナーを中心に、原作の表現と各スターの持ち味が巧みにブレンドされ、新たに魅力的なキャラクターが創造された。物語を知っている人も、この点は心から楽しめるはずだ。(引用)