「コンシェルジュインペリアル」という漫画から。まず漫画紹介を。

伝説のホテルコンシェルジュを父に持つ18歳の娘が介護士として働き出す話。様々な家庭模様・人間模様が渦巻く環境で「人の生死を看取り」「人生の最後を幸福に飾る」という最も慎重な思いやりが求められるプレッシャー。最上クラスのおもてなしとは?
(Amazon漫画紹介文改変)

第9話「幸福度」で主人公の優奈は、良い介護サービスの基準となるような、「幸福度を示す数値」について考えます。HPI(注1.The Happy Planet Index)ではなく、血圧や体温のようなもっと単純な数字。しかし上司は、「幸福の尺度なんて人それぞれ違うものだし難しい」と言います。
そんな中、重い認知症を持った男性利用者の話がでてきます。家族のこともわからなくなってしまった「風間さん」は、自宅では暴れてしまいますが、優奈の働く介護施設でデイサービスを利用している間は笑顔です。優奈の同僚の小渕さんのことを自分の母親と思い込み、「お母しゃん」と呼びます。優奈は「幸福な人間は常に笑顔だ!1日に笑顔でいる時間を調べれば幸福を数値化できる!」と考えます。しかし風間さんの認知症は進み、家族に暴力を振るいかねないまでに至ります。家族も自宅でみることに限界を感じます。これ以上家族で一緒に暮らすほうが不幸かもしれない、長野に認知症に関してベテランの職員のいる施設がある、その施設へ入所することが皆の幸せではないか…?
家族や職員で相談の結果、長野の施設への入所が決まります。
長野へ行くことを伝えると、風間さんは「お母しゃんと一緒がいい!離れるのはイヤです!」と泣いてすがります。職員もつらい気持ちになる。ここで、「お母しゃん」である小渕さんは涙をこらえて、「甘えるのもいいかげんにしな!いつまでお母さんにべったりして生きて行くつもりなの!?そんなんじゃねぇ、そんなんじゃ…お母さん心配でしょ!いつまで経っても安心できないでしょ!男なんだから…立派に一人でやってみせな!」と叱ります。風間さんはすくっと立ち上がって、「行ってきます。お母さん」と笑顔で言います。涙を流しながら。小渕さんも、涙の笑顔で答えます。
優奈は、「笑顔でいる時間が増えれば幸福度も上がったっていうアイデア、いい考えだと思ったけどだめだった」言います。上司の「何がダメなの?」の問いに、優奈は答えます。
「悲しい時にも人は笑うから」と。




ちょっと泣いた笑。説明下手で伝わらないかもしれないんですが、この回だけでも読んでもらいたいです。
私は人の笑顔が大好きで、単純に笑顔をみると嬉しくなりますが、人は時に複雑な生き物ですから、笑ってる人がいつも楽しいわけではないし、もしかしたら悲しんでいるかもしれないし、怒っているかもしれない。(泣かなければ薄情なのかで書いたことにも通じる。)

人の幸福度を数値化するっていうのは、難しいですね。
自分だったら何をどう計算するだろう。悲しい時にも人は笑うけど、でも、笑顔や笑い声はやっぱり、変数の一つに入るかなあ。

笑顔や笑い声は、幸福の、一つの結果だと思うのです。
お金や名誉、恋人、家族、友達、趣味、仕事、それらや、もしくはそれ以外の生きがいとなる何か、など、人によって「どれくらいの」、「何が」、その人によって幸福をもたらすかは、それぞれ。
飴玉ひとつでも笑顔になる人もいれば、10億円の家に住んでても幸せじゃない人もいる。
人間というブラックボックスにどんな素材をどれだけ入れれば幸福がでてくるかは、人間によっても違えば、その一瞬一瞬によってブラックボックス自体も変化するため、容易に計算できるものではありません。
しかし、笑顔や笑い声は、ブラックボックスから出てきた「結果」であり、「なんか良さそうなもの(時に例外はあるかもしれないけど)」。だからこれを数値化するというのは、少なくとも素材から計算するよりは誤差が少ないと思うわけです。参考値にはなるでしょう。


幸福度の数値化。
「コンシェルジュインペリアル」の次の回で、その手がかりになるようなものが見つかります。次回また紹介します。



あとHPIについて、知らなかったので、勉強になりました。


注1.HPI(地球幸福度指数)とは、
イギリスの環境保護団体であるFriends of the Earthが2006年に発表した、国民の生活満足度や環境への負荷などから「国の幸福度」を計る指標。GDP(国内総生産)などで測るのではなく、

① life expectancy :平均余命
② experienced well-being : 生活満足度
③ Ecological Footprint : 環境への負荷

から計算される。HPI=①×②÷③、つまり、環境への負荷を少なく、効率良く利用し、長く、満足に生きているかどうか、ということを数値化したものである。
①は2011年の国連の資料をもとに計算。②はGallup world pollの調査アンケート(調査対象に選ばれた人が10点満点で回答する)を利用、③はGlobal Footprint Networkの調査を利用している。

(Wiki、公式HPなど参照)




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