私が以前住んでいたサンディエゴは、市内の中心にほど近い丘陵にバルボア・パークという大きな公園があります。有名なサンディエゴ動物園も、このパークのなかの一部です。
美しい中庭のある建物の中に、料理もとても美味しい素敵なカフェがあります。先週、4年ぶりの再訪でそこにランチを食べに行きました。
かつて万博が開かれたパーク内の建物は、そのほとんどが博物館になっています。
とても面白い博物館も多いのですが、子どもの遠足でいつか足を運ぶだろうと未見のままになってしまったものもたくさん。なにしろ数がかずですからね。
その博物館群のなかでも時を告げる鐘楼がひときわ美しいのが、Museum of Manです。
今回、行ってきました。詳しくは、ここの通常展示ではなく、期間限定の特別展。
ひょっとしたら、ものすごい悪趣味だと思われるのかもしれませんが。
誤解を恐れず書きます。拷問とその器具の展示です。
人が人を痛めつけるということ。
恐ろしいのはもちろんなのですが、見学してきました。
私はもともと、大学時代は会計を専攻したため、ゼミでのトピックはとてもプラグマティック。
その後モンテッソーリ教育という教育を勉強したときにびっくりしたのが、「人はいかにして人になるのか。」を知るための教育でした。人を作るのが私たちの仕事であれば「いかに人は人になるのか。」を知る必要があるのは当たり前のことですが、フランスに実在した「アバロンの野生児」にまつわる映画などを見て、それはそれはブルーになったことも。
でも、教育に関係する人間としては、もちろん好奇心もあってのことですが、この機会に見ておきたくなったのは事実です。場所柄、興味本位のレベルの低い展示ではなく、きちんと考証のなされた展示物であるに違いないことも分かっていましたし。
とはいえ。
実際に「人が人を痛めつけるために考え出した器機」の迫力はさすがにすさまじいもの。
みな顔をしかめ、マジメな顔で展示物を見ています。
そこで私が驚いたこと。
展示されたものに渦巻く悪意に当てられ、展示場に入って5分とたたないうちに私は、気温のせいではなく恐怖と不快感で本当に体が寒く感じ始めました。
私は怪談はもともと好きではありませんし、夏が近くなるとTVや映画で怪談が流される日本の風習を、若干はすに構えて見ていたクチです。怪談で涼しくなる、なんて、そんなこと「あるわけないじゃん!」
ですが、このときの私は本当に恐怖で寒気がしました。
周りをみてみると、少なくとも明らかに私のように寒がっている人はいません。
アメリカ人だって怖い時にはGoosebumps、とりはだが立つという表現があるのですから、やはり恐怖と寒気は多少は関係がありそう。
でも、日本人の私ほどではないのかしら。
恐怖と日本人の関係という意外なテーマに、興味がふくらんでいったのでした。