私もアメリカに住むまで全く知識が無かった、日系アメリカ人の横顔。
史上最強のアメリカ陸軍部隊422のお話しからの連想で、続きです。
アメリカのことを「移民の国」とはよく言いますが、日本人のイメージでは建国時、今から200年以上前に「移民」があって、その人たちが興したのがアメリカの国、という認識が強いと思います。
しかし、今現在も「移民」がやってきているのがアメリカの国。もちろん移民法の改正で、ビザを取るのも永住権をとるのも、一般人にはとても難しい国のひとつにはなりました。でも、家族のつながりや、優秀さが認められてアメリカの国に移住する人は今も絶え間なく。移民の国、というのはかつて移民が来たという歴史のお話しばかりでなく、今のアメリカという国の姿でもあります。
そのようなアメリカで、世界中から集まった多種多様な民族のルーツを子どもにもきちんと教えたいと思うのは洋の東西を問わない人情というもの。自分が子どもの時に聞いたお話しや、自分の家族の歴史など、自分を愛おしむため、自分に誇りを持つためにすぐれた絵本を書いている方が、アメリカにはたくさんいらっしゃいます。
私がまずご紹介したい一冊目は
TSUNAMI!
Story by Kimiko Kajikawa
Illustration by Ed Young
ISBN978-0-399-25006-4
これは先ごろ日本語訳が出版され、反響を呼んだ本です。
むかしむかしのこと。
村一番の長者で賢い「おじいさん」が、村人を津波から救った、という言い伝えのお話しです。
そう。これは日本の言い伝えを採話したお話し。息をのむ重厚なアートの、力強い作品です。
出版されたのは2009年。日本人の母を持つという作者も、まさかそのすぐ2年後に、1000年に一度というような大津波に日本が見舞われるとは思っていらっしゃらなかったことでしょう。
ですが、あるべき日本ではなく海を渡ったアメリカの国で、この絵本は奇跡のように存在しました。
日本を離れていても、日本を離れているからこそ湧き上がってくる自分のルーツへの愛情。私たち日本人は、その思いに少しでも応えてきたでしょうか。
内向きの時代と言われて久しい日本の国で、今こそ、私たちは外にいる「私たちの、本当の仲間」との関係を見つめなおすべき時がきていると私は思うのです。
日本に関わりが深い日系アメリカ人の書いたもう一つの作品。続きます。