中国の小学校英語の教科書をゲットしたことから、その総覧のお話し。続きです。
3年生が終わって、ということろで、おっと、日本の小学校6年生対象の「小学校必修英会話」のテキストブック「英語ノート2」についても見ておきましょう。
6年生最初の授業、トピックは「アルファベットで遊ぼう」。見開きいっぱいのイラストのページです。絵の中からアルファベットAからZの文字を見つけよう。というもの。
うーん。もうあと一年で中学校に入る子どもたち。しかも学校の中ではことあるごとに「最上級学年として」しっかりやれと言われている子どもたちへのこのカリキュラム。このままアレンジ無く教えるべしという制約があるなら、私は正直、盛り上がる授業が出来る自信がありません。自分でやって「楽しい」と感じられるものでなければ、楽しいよ、と教えることは出来ないからです。
幸いなことに、この英語ノートは「必ずこれを用いて履修させるべき教科書」ではなく、あくまで副教材。ですからトピックと単元の趣旨を押さえれば、この通りに授業を進める必要はありません。ですから、その子どもたちの年代に合った題材を使って授業が進められるのです。
酷評しているようで恐縮なのですが、先にも申し上げたとおり、私は英語ノート擁護派です。廃止というのは、年間35時間という「英語」の時間を、カリキュラムも渡さずに現場に丸投げということ。それはあまりにも無責任なことだからです。
ところで、私がこの英語ノート2の最初のトピックに強い違和感を感じるのには理由があります。英語の表記にはまだ初めて触れるに等しいという想定の子どもたちですが、(実生活では何らかの知識があるほうが多数ですが)国語の授業の中で、日本語の表記にアルファベットを使ういわゆる「ローマ字」は、4年生でとっくに履修済みです。ローマ字と英語の表記はルールが違うので、例えばかんたんな挨拶の[Hi!]ですら、習ったローマ字と違うじゃないか、と不信をあらわにする生徒さんも、過去にはいらっしゃいました。そうでなくても、説明されないままで「なんかわけわかんない!」となり、「英語はむずかしい・・・」となってしまうお子さんも、残念ながら。でも、その子たちの疑問に答えることって、時間の制約もあり、読ませないという原則を提示された中ではとても難しいのです。
読ませるためではなく、ゲームなどで順番を表すためなどに英語を書いているのですが、そこでいくらなんでもローマ字やカタカナ表記は出来ません。異文化理解という趣旨も、小学校英語には大切なポイントだからです。
外国語教育となると、急に高揚したりするのは日本人の弱点。弱点は、本当は克服してこその弱点で、ピンチはチャンス、なのだと、「日本一英語がキライ(笑)」な英語講師の私は思うのですが・・・。
続きます。