【本】『パロール•ジュレと魔法の冒険』吉田篤弘 著。 | 蒼の深さを見上げてみたり。

蒼の深さを見上げてみたり。

認知症の母との日々や日常の些細なこと、読書の記録などを綴ります。


キノフという国では

言葉が凍りついて結晶となる。


その結晶は

“パロール•ジュレ”と呼ばれ

なぜキノフでだけ

そのような現象が起きるのかは

謎であった。


その謎を解き明かすために

十一番目のフィッシュが

某国の諜報員として

送り込まれる。







••••••というところまで

読むと

ファンタジーちっくでは

あるものの

諜報員が

跳躍跋扈して

ついに

パロール•ジュレの謎を

解き明かした!


というような

冒険譚を想像するのですが

(実際

タイトルも

“魔法の冒険”ですし)


途中から

雲行きが怪しくなります。


敵役の辣腕刑事、ロイドの

登場もまだいいでしょう。


結晶となった

パロール•ジュレを解凍し

言葉を拾う解凍士が

出てくるあたりから


十一番目のフィッシュとは

関係がなくなってきます。


俗世間的な

解凍士たちの暮らしと


言葉が凍る


あるいは


紙魚という形態をとった

諜報員


というファンタジーが

絡み合って


あらすじというものが

だんだん

見えなくなります。


どこか

読み飛ばしたから

こうなっているのではないかと

最初から

目次を見直したりしますが


どこも

読み飛ばしてはいません。


地道に読み続けてきたのに

分からなくなるのです。


そして最後は

冒険譚ではなくなっていました。


どちらかというと

これから

“魔法の冒険”が

始まるように

思えました。


たぶん

謎は全て解き明かされたと

思うのですけど


もう何回か読まないと

世界観が取り込めないような

気がします。


理解しようと思うから

ダメなのかもしれません。


私的には

とても好きな物語でしたが


はまらない人には

はまらない本です。


迷路のような物語を

求めている人には是非。