青空と逃げる | 闇を愛するアラフィフニート主婦の日常

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旦那と2010年生まれの息子と暮らしてます。
2013年にパート勤めを辞めて以来
「さして働かず、さして家事せず、さして子育てせず」をモットーに
不謹慎でネガティブな日々を送っています。

 

 

辻村さんの本は、ハケンアニメとゼロハチナナゼロがめちゃくちゃ面白くて

これも分厚い作品だけど、めっちゃ期待してたんだよ~~~~

分厚ければ分厚いほど、読みごたえもあって、彼女の世界観に浸ってられるから

とっても楽しみに読んだのですが・・・・・

 

・・・・・・・・あかんかった(;´Д`)

 

調べこまれてる感じの、あらゆるディテールは

臨場感があってこれまで通りまったく外してないんだけど

物語の根幹となるところの、動機とか理由とかが

わしにとってはまったく意味不明のまま終わってしまい

「ここまで逃げる必要性が全然感じられないオチ」

という残念な作品でした。

 

以下ネタバレ含みます。

 

ざっくりあらすじは

 

小5男子の主人公、38歳の母、年齢知らんけど役者の父。

役者の父が、有名女優と同乗してた車で事故に巻き込まれ

女優は直後に自殺。

役者の父にあらぬ疑いがかかり、不倫疑惑なんかも沸いて

マスコミは主人公と母のもとに殺到。父は家族に何も説明せぬまま失踪。

女優の事務所は執拗に母子を追う。

そこから逃れるために、母子は日本中を逃げ回る。

 

みたいな話で

ストーリーの9割くらい、母子の逃避行なんだが

 

逃げる理由がさ?

「死んだ女優の事務所が追っかけてくる」というだけで

特にこの母子や父が、何らか女優の秘密を握ってるわけでも、自死に関係してるわけでもないのです(;´Д`)

 

そして、母は父からの連絡をずっと待ち望んでるのだが

実は主人公が、逃避行の最初っから、父とこっそり連絡をとっていた!!

父に「お母さんには言うな」と口止めされてたわけでもない、むしろ「困ったらお母さんにこの携帯の番号を教えろ」って言われてる!!

なのになぜ母に言わない主人公! その言わない理由が最後まで全然分からん!

 

さらには、逃避行の最中、母が発熱して

宿泊先のホテルで、風邪薬を求めて主人公困り果て

父に電話したら「お父さんは今遠くにいるから助けられない、誰かに助けてもらえ! きっと誰か助けてくれる!」

とかゆーて、たまたまNPOの人か何かと知り合って、息子助けてもらえるのだが

 

・・・・ホテルのフロントに風邪薬くらいあると思う(;´Д`)

ホテルのフロントマンと、息子何度も会話してる(;´Д`)

でも薬あるかどうか聞かないで、ドラッグストアの場所ばかり聞いてる(;´Д`)

フロントマンも子供がそんなこと言い出したら、普通事情を聞くと思う(;´Д`)

父も、「誰かに助けてもらえ!」とか適当なこと言わんと、ホテルのフロントマンに何やら指示を飛ばすくらいはできると思う(;´Д`)

 

割と子供にとっては一大事でクライマックスなシーンなので

ちょっとこの浅い感じは脳が砕け散った・・・

 

実は父が逃げてたのは、死んだ女優の息子が逆恨みして自分を刺しに来て

ケガは深手ではなかったのだが、その子を犯罪者にしないために

ケガが治るまで身を隠す、というのもあったのだが・・・

 

よその子守るために

自分の家族ここまでないがしろにする??

主人公、小5やけど、夏休みの途中から逃避行して

結局二学期、どこの学校にも通えてないねんで(;´Д`)

 

(本人がちょっとしたイジメにあってて、元の学校に戻りたくなさそうではあったが

本人の意思で学校に戻らないのと、親が連れまわしてるから戻らないのではわけが違う)

 

で、わしは脳にもよぎらなかったのだが

レビューを見てると「八日目の蝉」に似てるという意見もあった。

 

しかし、八日目の蝉とは、逃げる理由の切実さも、リアリティも全然違う。

 

八日目の蝉は、他人の子を誘拐してるのだ。

警察に捕まるのだ、犯罪者になるのだ、そりゃ必死こいて逃げるがな。

 

青空と逃げるは、単に芸能事務所に、よー分からん理由で追われてるのだw

「ここまで追うか?!」っていうくらい、FBIの手先みたいに、毎回逃亡先に事務所関係者が現れるw

その時の母の狼狽度合いとか、命がけで逃げるさまとかが

なんでそこまでしないといけないかの説得力がなさすぎて全然分からん。

しかも最後の種明かしの時点で「結局説得力がなかった」と分かるから

長編読んできて損した感が半端ない。

 

逃げる切実さだけは八日目の蝉とええ勝負やのに

逃げる理由に説得力がない。

 

そして、八日目の蝉で誘拐された子は、未就学だった。

逃亡先で親切な人は多々居たけど、未就学だからこそ、常に子を連れ歩いていても何も言われなかった。

 

青空と逃げるは、小5で学校に行ってないのである。

旅先で親切な人はたくさん居るが、学校に行ってないことをとがめる人はいない。

「みんな事情があるからね」と、世話だけ焼いて詮索しない。妙に優しさが都合よすぎて納得できない。

 

1週間くらいの滞在とかならまだしも、1カ月とか2カ月とか、普通に滞在してるのだ。

学校に行ってない見慣れない子が、田舎町でウロウロしてるというのは

それだけでかなり目立つし、こんだけ世話焼きな人が多いなら、逆のベクトルでのお節介も居て

親子がもっと窮地に立たされてもおかしくないんじゃ?と思う。

 

そんなこんなで残念感が強い話だったが

唯一面白かったのは、小5という思春期手前男子の成長度合いとかだ。

うちの9歳息子Y氏も、あとちょっとでこんな風になるのか?いやいやとてもそうは思えん・・・

などと推測しながら読むのは楽しかった。

 

それだけだった(;´Д`)

 

でも辻村さんの本は基本好きなので

これが徹底的に外れだったんだろうなーと認定して、またこれからも読んでみたい。