5月16日撮影
気がつけば、5月も半ばを過ぎていました。
父が退院後に戻ったホームでの暮らしが始まっています。
ホームでの記憶は殆どなく、すべてのことが初めての状態にリセットされています。
「いつまでここで暮らすの?」
「あんな狭いところに?」
何度も何度も、父の問いに応えながら胸が痛む
母屋の庭にクレマチスの蕾が3つ
その中のひとつが節から折れてしまった
折れた蕾を持っていって父の部屋のテーブルに活ける
父が昔、使っていた白磁の徳利が丁度良い花入れになった
散歩の折に摘んだ詰草もいっしょに挿した
庭の蕾はふたつ見事に花を開いた
父の部屋のクレマチスは蕾のままだ
午後に介護タクシーが迎えに来て、父と母に会いに行く
ナースステーションに、母の好きだったパウンドケーキを届ける
看護士介護士の方たち、担当医師も出てきてくださる
穏やかな顔で眠っている母の耳もとでささやく
「お誕生日おめでとう!」
母は病院のベッドで5月の誕生日を迎えた
ゆっくりと眼をあけて口元が動いた
小さな声で「はい」と返事をしたような気がした
父のほうへ視線を移す母
力の限り生きて
テーブルの上のクレマチスがひらいている
夕食が済んで、寝る支度をする父の様子を見届けてから
「また明日」
エレベーターで地上に降り、ホームの外へ
暮れかかる陽の名残を見ながら歩く
ビルの谷間に沈みゆく
5月の夕暮れ
5月18日撮影
気がつけば、5月も半ばを過ぎていました。
父が退院後に戻ったホームでの暮らしが始まっています。
ホームでの記憶は殆どなく、すべてのことが初めての状態にリセットされています。
「いつまでここで暮らすの?」
「あんな狭いところに?」
何度も何度も、父の問いに応えながら胸が痛む
母屋の庭にクレマチスの蕾が3つ
その中のひとつが節から折れてしまった
折れた蕾を持っていって父の部屋のテーブルに活ける
父が昔、使っていた白磁の徳利が丁度良い花入れになった
散歩の折に摘んだ詰草もいっしょに挿した
庭の蕾はふたつ見事に花を開いた
父の部屋のクレマチスは蕾のままだ
午後に介護タクシーが迎えに来て、父と母に会いに行く
ナースステーションに、母の好きだったパウンドケーキを届ける
看護士介護士の方たち、担当医師も出てきてくださる
穏やかな顔で眠っている母の耳もとでささやく
「お誕生日おめでとう!」
母は病院のベッドで5月の誕生日を迎えた
ゆっくりと眼をあけて口元が動いた
小さな声で「はい」と返事をしたような気がした
父のほうへ視線を移す母
力の限り生きて
テーブルの上のクレマチスがひらいている
夕食が済んで、寝る支度をする父の様子を見届けてから
「また明日」
エレベーターで地上に降り、ホームの外へ
暮れかかる陽の名残を見ながら歩く
ビルの谷間に沈みゆく
5月の夕暮れ
5月18日撮影