郷里にて2 | emaの気ままにブログ

emaの気ままにブログ

心がふんわりほんわか穏やかに一日を送れたら…
さて、何をしてすごしましょうか


{CEE076A5-037C-45CF-8148-B27A4FD57822}
5月16日撮影

気がつけば、5月も半ばを過ぎていました。
父が退院後に戻ったホームでの暮らしが始まっています。
ホームでの記憶は殆どなく、すべてのことが初めての状態にリセットされています。

「いつまでここで暮らすの?」
「あんな狭いところに?」

何度も何度も、父の問いに応えながら胸が痛む

{001D1586-A356-4A26-8C90-EFCEF26AB710}

母屋の庭にクレマチスの蕾が3つ
その中のひとつが節から折れてしまった
折れた蕾を持っていって父の部屋のテーブルに活ける
父が昔、使っていた白磁の徳利が丁度良い花入れになった
散歩の折に摘んだ詰草もいっしょに挿した

庭の蕾はふたつ見事に花を開いた
父の部屋のクレマチスは蕾のままだ



午後に介護タクシーが迎えに来て、父と母に会いに行く
ナースステーションに、母の好きだったパウンドケーキを届ける
看護士介護士の方たち、担当医師も出てきてくださる

穏やかな顔で眠っている母の耳もとでささやく

「お誕生日おめでとう!」
母は病院のベッドで5月の誕生日を迎えた
ゆっくりと眼をあけて口元が動いた
小さな声で「はい」と返事をしたような気がした
父のほうへ視線を移す母
力の限り生きて



テーブルの上のクレマチスがひらいている

夕食が済んで、寝る支度をする父の様子を見届けてから
「また明日」
エレベーターで地上に降り、ホームの外へ
暮れかかる陽の名残を見ながら歩く
ビルの谷間に沈みゆく
5月の夕暮れ


{6D6D8C79-DF2F-4812-9B05-A0008A9FD429}
5月18日撮影

ペタしてね