母の具合が思わしくなく、再入院することになったと父から連絡があった。
数年前より、母は乳癌と弁膜症のため、手術と検査入院をくりかえしている。
月に一度2,3日泊まって、父と母に会うのをお互いに楽しみにしてきた。
今回は、母の心臓機能が低下して自力で歩くことができなくなってきていた。
もう手術はせずに…生きられるだけ自然に過ごしていたい…
両親が二人で決めた答えにだまって頷く。
退院後は車椅子生活になると、覚悟をきめた父はこれまで支援を受けることを避けてきた人とは思えないほど
素直に前向きに動きだした。
老いていくことは仕方のないことではあるけれど、寂しい、悲しい…と嘆いていてはいられないよ
駅で降りた私を見て、バスの中から父がゆっくりと左手を左右に振っていた。
新幹線の窓側席に座り、走り出す車窓からひとり空を見上げる…