契約書などの法律文書で出てくる「担保」に関連する英語をまとめておきたいと思います。
主に『英米法辞典』(東京大学出版会)、『ハンドブックアメリカ・ビジネス法』(Lexis Nexis)を参照しましたが、自分が付け加えた箇所もあります。
※あくまでも私が自分で理解しやすいようにまとめたものですので、ご利用される際はご自身でご確認ください。
encumbrance:負担
〔動詞〕encumber
encumbranceは、所有権を制限する一切の権利、義務ないし財産の価値を低下させるもの。
mortgage (譲渡抵当権)、lien (リーエン)、 easement (地役権)等がその例。
charge: 担保権
(広義)動産・不動産の担保権で、mortgage、lienを含む
security: 担保
mortgage、pledge、possessory lien (留置権)などの各種の物的担保のほか、guarantee (保証)などの債権的なものを含む広い概念。
mortgage: 譲渡抵当(権)
本来は債務の担保として抵当権を債権者に移転することをいい、債務の履行があれば財産は債務者に返還される。不動産、動産について設定できる。
譲渡抵当権設定者(mortgagor)は、請戻権(right of redemption)を有し、これによって、約定の返済期限が過ぎた後でも、抵当債権者が受戻権喪失手続(foreclosure)をとることにより抵当物を完全に自分のものにするまでは、いつでも債務元本、利息および費用を支払い、抵当物を取り戻す事ができる。
「不動産担保ローン」「住宅ローン」というときによく使われる。
e.g.) take out a mortgage / pay off a mortgage 住宅ローンを設定する(の返済を終える)
pledge :(動産)質、質物
債務履行の担保として債務者がその所有する動産や有価証券を債権者に提供すること。
質権者が質物を留置することになるので、留置することが難しい不動産にはあまり用いられない。よく質権の対象となるのは有価証券、債券の他、比較的高価な動産。
履行期日までに履行がなされなかった場合、担保権者は質物の財産を売却してその債務の弁済に充当することができる。
〔動詞〕抵当に入れる
e.g.) pledge one’s house ( as security) for a loan 家を借金の抵当に入れる。
cf) hypothecation:非占有質権
〔動詞〕hypothecate 非占有質権を設定する
通常、債務者は担保に入れた財産を占有しておくことができ、その権原(title)が債権者に移転することもないが、債務不履行の際には債権者はその財産を売却することができる。
security interest:約定担保権、担保権
債権の履行や金銭の支払いを受けるための担保として債権者が担保物に対して有する権益
lien :リーエン(英和辞書には「先取特権」「留置権」と載せられることが多いが、ぴったり意味が同じではない。)
広義には、担保物権を意味する。
狭義には、法定担保物権を意味し、
commo law lien / possessory lien (コモン・ロー上のリーエン)-留置権的な性質
equitable lien / charging liens(エクイティ上のリーエン)-先取特権的な性質
statutory lien (制定法上のリーエン)
に分類される。
banker’s lien、execution lien、judicial lien、tax lienなど各種のリーエンがある。