ダブルアイリッシュ・ダッチサンドウィッチ | 言葉の海を漂う

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フリーランス在宅翻訳業12年目の主婦。翻訳や生活のこと。

って、何???

先日、仕事の原稿の中で、表題の表現を初めて目にしました。言葉自体は聞いたことがあるように思うのに、「アイルランド2つにオランダのサンドウィッチ?何?」と貧相な発想しかできなかったのです。いろいろ調べて自分なりにまとめてみました。





要は、米国GoogleAppleなど多国籍企業のすごく手の込んだ節税スキームです。




以下、かなり簡略化した説明です。


後日、一部加筆しています。 


一般に企業はその設立地が税務上の居住地国とみなされます。

Appleなどの企業は、法人税率の低いアイルランドにペーパーカンパニー(登記上の会社)(以下、「ペーパー社」)を設立、


ペーパー社を管理運営する本拠は法人税率ゼロの英領バミューダ諸島に置き、ペーパー社はバミューダのほうで課税するように頼む(アイルランドでは税法上そのような措置がしやすい)。



ペーパー社にライセンスなどのIP(知的財産)を移す。


しかし、バミューダが本拠地では各国のタックスヘイブン対策規制などがありビジネスしにくいため、アイルランドにもう1つ、実際に取引を行う会社(「実態社」)を設立。

ペーパー社は実態社にIPをサブライセンスする。実態社はIP製品を製造、販売して利益を上げる。



実態社からペーパー社に利益を移すとき課税されてしまうので、アイルランドとの取り決めで非課税になるオランダに会社を設立。



オランダを経由しやりとりすることで、ライセンス収入などが課税されず、最終的にペーパー社に戻る利益に対する税額は、ペーパー社の本拠地がバミューダなので、限りなくゼロに近づく。



何とも巧みな合法的節税スキームです。


Googleの主張は「アイルランドに雇用を生み出し、オンライン企業の成長を助けており、アイルランド経済に大きく貢献している」だそう。



IT企業がこのような策をとるのは、ライセンスなどのIPとそれに伴う利益は他の国に移しやすいという理由からのようです。



もっとも、国際的に大企業の税逃れが批判されるようになってきたため、アイルランドも、新規に設立される会社には税制優遇措置を適用しない、というような対応をすすめているようです。


それにしても、このようなスキームを考え出す頭脳もなく、実行する時間とお金もなく、また実行したとてそれで節税できる金額は雀の涙ほどの私のような零細個人事業主は、青色申告を頑張ってせいぜい真面目に納税するしかありません(涙)。