株式は equity ? | 言葉の海を漂う

言葉の海を漂う

フリーランス在宅翻訳業12年目の主婦。翻訳や生活のこと。



前の記事ではエクイティ上の救済について書きましたが、今日はエクイティについて書いてみます。

「株式」は英語ではいろいろな呼び方がされますね。

stock

share

equity

など・・


stock はひとかたまりの株式、share はstock の中の一つ一つの取り分(portion) というイメージでしょうか。

とはいえ、stock と shareは区別して使われることはあまりありません。アメリカでは主にstock といい、英国では主にshare というくらいの区別です。

例えば「普通株式」はアメリカ式では common stock、 英国式では ordinary share といいます。


では、株式あるいは株主持分を equity というのはなぜでしょう??


これは信託の考え方に由来します。

信託では、委託者(受益者)と 受託者 がいます。

信託を会社経営に応用すると、経営者は受託者(株主から資産を預かり、会社を運営する法律上の所有者)であり、株主は受益者(beneficiary、会社経営から上がる収益の受益者)となります。


信託では、1つの資産に、コモン・ロ-上の所有権(legal ownership) と、 エクイティ上の所有権(equitable ownership)という2つの権利を認めます。 このような二重所有権の考え方は英米法固有のものです。


したがって、会社という資産の上に、受託者(=>経営者)はコモンロー上の所有権(legal ownership)を有しており、受益者(=>株主)は、エクイティ上の所有権(equitable ownership)を有しているということです。

株主から委託を受けた経営者である取締役が、株主の利益より自分の利益を追求してしまうと利益相反(conflict of interest)が起こるというわけです。

ちなみに、株主と経営者の関係は、信託の受託者と受益者の関係であるfiduciary relationship(信認関係)です。この信認関係には、医者と患者、弁護士と依頼人、司祭と痛悔者との関係などがあります。


ともかくこのようなわけで、近年では、株式そのものがエクイティと呼ばれるようになりました。


legal title (trustee) ⇔ beneficial title(beneficiary)

beneficial interest =equitable inetest  です。