
前回から続く
体力を温存しながら次々からくる波を軽めのドルフィンでやり過ごすといよいよインパクトゾーンに入ってくる。
このサイズのインパクトでドルフィンは効かないのは周知の事実。
強烈な白いバケモノをかわすには勢力の弱まる手前で一発パーフェクトドルフィンを決めて猛烈にパドル・・・そしてギリギリで懐に潜り込むしかない。
それがうまくいけばあとは特大セットが来ないのを祈るばかりだ
私とYOICHIは自分たちの上陸作戦がうまく行き、激しいOFFSHOREも手伝って息を切らしながらも沖に行くことができた。
あとの二人は間一髪で閻魔様のモーニングプレゼントを喰らい遥か遠くへ戻されていた。
こうなると砂場のスコップのように永遠とドルフィンをし続けるしかない。
先客のSURFERより15Mほど手前で5分ほどワイドセットをやり過ごすと自分のところへ中堅どころのスーパーライトがジャストでジャブを入れてきた。
これを逃すとあとのSURFINGに響くことは経験でわかっていたのでOFFSHOREシャワーを喰らいながらもPERFECT FREEFALL DROPを決め込んだ。
こうなるとあとはレイルを合わせるだけ・・・
一本目から100mオーバーの高速ショルダーのファーストクラスロングトリップを楽しむことができた。
一度乗ると岸へ上がり200mほど散歩してまた振り出しに戻る。
今回はそれでいくことにした。
2本目のGETTING OUTで程よくハマり沖についたころには3年目の携帯のようにすぐにバッテリが点滅した状態になっていた。
後から考えると今日のコンディションではその時間が一番のBIG CONDITIONになっていたようだ。
4~5ftのセットが間髪入れずにやってきていたがそのほとんどがワイドダンパーで乗れる波はだいぶ手前のショルダーという難しいSITUATION。
バッテリーエンプティーの私は沖に来る特大セットも対応できず数発喰らう羽目に。
多分もう数回しかチャレンジできないだろう。
私が狙うのは切れてるセットのピーク端からDROPしてTUBEを被りそのままLONG VACATIONでSAYONARA GOOD BYEというパターン。
10分ほど待つとそんな波が目の前にやってきた。
全力でPADDLEするも強烈なOFFSHOREで板が走り出さない・・・
最後の一振りでBREAKと同時にDROPすることができた。
バッテリー切れということもあり少し遅れたのが原因かSHOULDERから少し離れるとその分膨らんでしまいBOTTOM TURNでSHOULDERの高い位置まで戻ることができなかった。
懐に上手く入れす失速した私に無情にも先のRIPは私をボトムに残しマシンのように崩れ続けていく。
この日のSESSION、私にとってこの一本が分かれ目だった。
岸に打ち上げられると少しの間、皆のSURFINGを見ていた。
YOICHIとBYSはセットの波を狙いすぎてるのか私と同じようにショルダーにたどり着けないでEDDIEのように耐えるSURFINGになっていた。
その中TMRは程よいセットをつかむと2~3発リップやらカーブやらで楽しんでいる。
更に乗っても浜を歩かずそのままゲットしていた。
彼が凄いのか私が老いただけなのか?とにかく脱帽である。
15分ほど見たが皆乗ったのは一本のみだった。
セットだらけで沖に行けるかはすでに運しだいの様子。
サイズは更に大きくなって海の中は真っ白だった。
北風の影響なのか若干寒かったので心の中の野望に鍵をかけ私は車に戻ることにした。
年のせいにするのは良くないが一度は沖に出れるだろうが残った体力でセットを上手くDROPできるイメージがない。
敗北感から鏡に映る自分は役目を終えた老犬のように見えた。
着替えて敗北感を味わいながら携帯を見てるとBYSが満面の笑顔で走って帰ってきた。
“スゲー良い波っすね。こんな波あるんですね。
セットの波乗ったら最初から最後までTUBEでした・・・。
最高・・・”
“そうなの・・・凄いね”
私の敗北感は絶望感に変わっていく。
すると見覚えのある車が隣につけた。
店長~どおっすか~でかいっすか~昨日飲みすぎて寝坊しちゃいました~早く入りましょう~よ”
今着いたのにこの男、なぜか1分もしないうちにWETの下まで着替え終わっていた。
”イヤー結構ハードだからさ。もう少しパークよりに移動しようと思って・・・向こうは若干切れてたからね。
2本乗ったんだけどこれ以上入ったら次にいけなくなりそうだから少し充電中です。”
えっ店長、もう入ったんですか?全く波チェックしてないんですけど乗れない感じっすか?
そこでBYSが今回のSESSIONでのキーとなるひと言を放つ
“イヤー良い波っすよ。最高でした。店長がいた時よりワンサイズ落ちて落ち着きましたよ”
私は考えた。このままここで入れば今日はここで終わり。台風が近づいてるのにサイズダウン?
あいつは本当にLONG TUBEで最高の波に乗ったのか?
いくつもの疑問が頭を駆け巡ったがそこでひとつBYSに聞いてみた。
“BYS~お前、なんでそれなのに上がってきたの?まだ入ればいいじゃん”
するとBYSは“もうやりつくしました。最高の波に乗っちゃったんで♥ だから今日はもういいです”
この言葉でBYSはもう入りたくないのは悟ったがなんだか無性に情けなくなり、無心でもう一度濡れたWETをまとい始めた。
確かにBYSが言う通り台風が近づいても前線やTIDEの影響で波が落ち着くことは往々にしてあり得る話。
この体力じゃそれに祈るしかない・・・。
他に行くという選択肢は完全になくなった。
仮に波が上がってたとしてももう沖に行って乗るしかない。一本決めなければ一年後悔することになるだろう。
このSESSIONはやりたいか、やりたくないか、ということではなく自分のPRIDEをかけたものになっていた。
歩道橋を歩いて海に向かう間、生き地獄を前にしてYNSは“いやだな~”と言いながらなぜかにやけ続けていたのだった・・・。
TO BE FINAL STORY



