
45が車の鍵を探しに俺の部屋に入ってきた。
寝ぼけ眼で布団から這い出でると俺の部屋には誰も寝てない布団が2つ引いてあった。
昨日何があったのか考える気にもならずに鍵がどこにあるのかだけを使い物にならない起きたばかりの頭に聞いてみる。
答えはいつも同じ。いつものようにジーンズのポケットにあるはずだ。
まさぐると今日は運がよく鉄を束ねたいい感触が手に伝わる。
掴み取ると45にほうり投げた。
両手でこぼれ落ちないように鍵の束を掴み取ると階段を降りる音と共に45は下の階に降りていった。
俺はもう一度布団を頭までかぶった。
“ダメだ。今日だけは寝る訳にいかない”
そして水の中から飛び出してありったけの空気を吸うときのように布団から這いでると体を大きく伸ばした。
やっとの思いで立ち上がりT-SHIRTSとSWEATPANTSのまま、ゆっくりと下の階に降りる。
下の大広間では大学の時にダチの家で雑魚寝した時のように男だけがむさくるしそうに何躰も横たわっていた。
旅館のサンダルを引っ掛け外に出た。
今までの旅先で、朝、起きたのにもかかわらず、もう一度眠ってしまい、何度となく後悔してきただろうか?
ここで入るのと入らないのは天と地の差。
朝のこの時間はSURFERにとってはHEAVEN'S TIME。
朝焼けに照らされた無風のうねりは時間を止めたように、いつまでも続く波を形成する。
それはまるで神の仕業のように神秘的だ。
入ったものだけが知る至福のSURFTIMEが味わえるが、堕落して布団に逃げ込んだなまけものは、その代償として起きると共に永遠と魔法のような波について聞かされるのだ。
運が悪ければその日だけではなく半永久的にこの話はREPEATされていく。
今日はLUCKYにも45が鍵を持っていなかったため、聞かされる側ではなく話す方にまわった。
あとは波があるかどうかだ。
朝の寒い空気が一気に俺の体を覚まし、頭の中までクリアに洗っていった。
歩きながら昨日の上手い刺身を思い出した。
そしてBEERの味を思い出したとき少しだけだが胸焼けがした。
3分ほど歩くと海岸沿いの道についた。
俺らが泊まった宿からすぐのところにあるこのPOINTは一般向けではない。
POINTガイドなどにも出てることからVISITORが入ってはいけないわけではないとは思うが、他の場所よりは敷居が高く礼儀のある人しか呼び寄せることはない。
前から入りたいとは思っていた場所だがそんな理由から遠慮していた。
入る資格を得るための勝手な俺の解釈がある。
まず地元のSURFERが各ピークにいないこと。
できれば誰もいない方が良い。
混んできたら速やかにあがること。
そしてなるべく近場でできるだけ、多くお金をつかうことだ。
今回は近くの民宿に泊まり、近場の酒屋で酒を買った。
CHANCEがあれば人のいない時を狙って少しだけでも水につからせてもらいたいとは思っっていたからだ。
昨日の夕暮れも本当にいい波だった。
数人入りたそうにはしていたが地元のSURFERが各ピークにひとりづつWAITしていたので俺は皆に諦めるように言った。
分かってはいるがなかなか上手くはいかない。
かねてから朝一と夕暮れのみに狙いを絞っていたため今日の朝が残りすくないCHANCEのひとつになる。
道沿いの堤防をよじ登ると波が見えた。
海の中にはまだ誰一人人影はなかった。
“LUCKYだ。ついている。”
なんとか入る権利だけは持てた気がした。
海を見るとすぐにうねりが沖からやってくる。
3角の素晴らしいAフレームの波はキレイに両サイドに筒丈にTUBEを形成し崩れていった。
一本見ただけでそのQUALITYの高さを把握した俺はスイッチが入ったように駆け足で宿に戻った。
途中でつまづいて転びそうになったがなんとか体制を立て直し宿の場所までたどりついた。
WETを剥ぎ取ると急いで裏返しからもとに戻し、かかってた誰のかわからないバスタオルを巻いてさっそうと着替えた。
俺たちに残された時間は多くはない。
ローカルが入るまでの1時間もしくは数十分が勝負だった。
車からBOARDを引っ張り出すとそのへんに転がってたWAXを10回ほど擦り付け海岸の階段を降りていった。
チェックしてから数分。誰もいなかった海にはすでに45とTMR,YR,TKOが入っている。
玉石に足を取られながらもなんとか海に入っていく。
PADDLE OUTしだすと沖からせり上がってきた小ぶりなRIGHTの波が乗ってみろとばかりに45のもとに近よっていった。

45がキッキングで波を捉える。
そして最高のSESSIONが始まった・・・