細野晴臣プロデュースの幻のお蔵入り大名盤「Linda Carriere」(1977)がついに出た | 書物と音盤 批評耽奇漫録

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長年お蔵入りだった細野晴臣氏プロデュースの幻&伝説のアルバム、リンダ・キャリエールの「Linda Carriere(1977)がついにリリースされ、本日到着しました。

 

 

 

 

これは、1977年に細野さんとアルファレコードがプロデューサー契約を結び、その第1作として発表される予定だったけど、世界戦略担当の海外スタッフの受けが悪かったため発売中止となり、当時、業界関係者にプロモーション用ラフミックスのテストプレス盤が少数配布されて、それが後にオークションとかに出されて50万とかの高値にまでなっていました。

 

しかし、この度、アルファミュージック保管のマルチテープから細野さん立ち合いの元、エンジニアのGOH HOTODA氏がミックスし、ついに録音から47年ぶりにリリースが実現したわけです。

 

さっそく聴いてみましたが、山下達郎さん、佐藤博さん、吉田美奈子さん、矢野顕子さんらがバリバリに尽力してる、実に素晴らしき大名盤でした。

 

しかしまあ、こんな凄い完璧な大名盤が長年お蔵入りだったとは、ちょっと驚きですな。

 

でも長い年月を経てよくぞ出してくれました⭐︎

 

リンダ・キャリエールは、後にR&BグループDYNASTYのメンバーになりプロデビューしましたが、このアルバムが本当のデビューアルバムです。

 

のサイトには、この度のリリースについての、細野さん、達郎さん、美奈子さん、矢野顕子さんのコメントが掲載されています。

 

https://www.110107.com/s/oto/page/LINDA?ima=0000&oto=ROBO004

 

 

 

実は、収録曲には結構聴いたことのある曲が割とあるんですけど、それはこのアルバムが1977年にお蔵入りになっちゃったので、皆さんかなり良曲、名曲を提供されていたから、勿体無くて、後に自分でセルフカバーしたり誰かに提供されたりしているので、それを先にこっちが聴いてるというわけですね。

 

収録曲は、

 

●Up On His Luck
作詞:ジェームス・レイガン 作編曲:山下達郎

 

達郎さんの見事にメロウな楽曲が洋楽的に聴ける嬉しさに満ち溢れた、まるで山下達郎お宝再発見のような名曲⭐︎


●Loving Makes It So
作詞:ジェームス・レイガン 作曲:吉田美奈子 編曲 : 山下達郎

 

こちらも達郎ー美奈子時代のメロウな楽曲センスが煌めきまくる、お宝再発見的なAORな名曲⭐︎

 

●Sunday Girl
作詞:ジェームス・レイガン 作編曲:細野晴臣

 

細野さんの作編曲だけど、妙に達郎さんの作編曲っぽい、途中の転調も絶妙な、迫力ある明るめの良曲。


●All That Bad
作詞:ジェームス・レイガン 作編曲:細野晴臣

 

坂本龍一&カクトウギ・セッションのメロウ&テクノなインスト「NeuronianNetwork」として先に聴いてる曲ですが、こちらのリンダによるヴォーカルバージョンは、当時の細野さん的トロピカルセンスが出ている中で、見事なAORの良曲に仕上がってますね。


●Proud Soul
作詞:ジェームス・レイガン 作曲:吉田美奈子 編曲 : 山下達郎

 

吉田美奈子さんがセルフカバーした「猫」として先に聴いてる曲ですが、達郎さんのアレンジとリンダのヴォーカルによって、もうちょっとタイトかつ洋楽的になってる感じがいいですね。

 

●Laid Back Mad Or Mellow
作詞:ジェームス・レイガン 作曲:矢野顕子 編曲 細野晴臣

 

笠井紀美子さんの「待ってて」として先に聴いてる曲ですが、あちらはちょっとシティポップテイストでしたけど、こちらは細野さんのテイストが色濃いアレンジで、トロピカルかつレゲエテイストな味わいですね。


●Child On An Angel's Arm
作詞:ジェームス・レイガン 作編曲:細野晴臣

 

細野さんらしいメロウさと変則的な曲調が絶妙に融合した独特な味わいの名曲。

 

●Vertigo
作詞:ジェームス・レイガン 作曲:佐藤博

編曲 細野晴臣

 

これは佐藤博さんが歌ってセルフカバーした「It isnt Easy」として先に聴いてる曲ですが、リンダが歌うこのバージョンも、そちらにかなり近いテイストですね。

 

どちらのバージョンも深みのあるAORの名曲です。


●Love Celebration
作詞:ジェームス・レイガン 作編曲:山下達郎

 

これは達郎さんがセルフカバーしたバージョンを先に聴いてる名曲中の名曲ですが、アレンジがどちらも達郎さんだからか、かなり近いテイストですね。

 

このリンダ・バージョンは達郎さんが自分のラジオ番組で何度かかけているので、先によく聴いてたんですが、やっぱりどちらのバージョンも名曲中の名曲だと思いますね。

 

この曲を学生の頃に達郎さんバージョンで初めて聴いた時、日本でも本格的なソウルミュージック&極上AORなんて曲が実現できるんだな、と思って、とても感動した覚えがあります。

 

結構、自分には"人生の一曲"的な重要な曲だったりします。

 

●Socrates
作詞:ジェームス・レイガン 作編曲:細野晴臣

 

これは大空はるみさんの「悪い夏」として先に聴いてる曲ですが、多少テイストは違いますし、こっちの方がやや明るめかもですが、どちらもかなり細野ワールド的なセンス濃厚な曲ですね。

 

 

と、全10曲、どの曲も名曲ばかりで、アレンジもヴォーカルも最高。

 

捨て曲は1曲も無しの、実に見事すぎる大名盤です⭐︎

 

参加ミュージシャンは、

 

細野さんアレンジ曲が、

DS:林立夫、

BSKEY:細野晴臣、

G:鈴木茂、

P:佐藤博、

PER:浜口茂外也

 

All That Bad」にKEY:坂本龍一、

Laid Back Mad Or MellowP:矢野顕子が参加。

 

達郎さんアレンジ曲が(Up On His Luck」以外)

DS:村上秀一、

BS:高水健司、

G:山下達郎、松木恒秀、

BVO:吉田美奈子、山下達郎

VIB:山下達郎

 

Love Celebration」にTB:向井滋春、AS:岡崎資夫、TS:村岡健が参加。  

 

Up On His Luck」のみ達郎アレンジ曲だけど、ギターが鈴木茂さんと達郎さんが交代した細野アレンジ曲のメンバー+岡崎資夫の布陣。

 

他にG:大村憲司、HOR:SolinaBVO:伊集加代子、TP:数原晋、羽鳥幸次、TB: 粉川忠範 BS:砂原俊三、STRINGS: 大野忠明

などなど豪華メンバーが参加。