今年2022年に劇場公開された映画で好きな映画ということで書こうと思います。
他にも「シン・ウルトラマン」、「きさらぎ駅」、「君たちはまだ長いトンネルの中」や、「クライマッチョ」「TITANE/チタン」「トップガン マーヴェリック」などなど傑作がありましたが、途轍もない大傑作だと思った日本映画2作が、『さがす』と『麻希のいる世界』です。
片山慎三監督の『さがす』は、指名手配犯を捕まえようとして失踪した父とそれを探す娘を描いたサイコサスペンスノワール映画ですが、この片山慎三という監督、久々に日本に、いや世界映画に現れた、ヒッチコックの再来と言えるくらいのサスペンス映画の天才監督ではないかと個人的には思っております。
確かに前作「岬の兄妹」も秀作でしたが、それを2作目で完全に上回ってきました。
だってこんなタイプの映画、これまで観たことないですもん。
確かに過去に助監督に就いたポン・ジュノ監督の作風に似ているところも少しあるけれど、まぁ影響は受けてるんでしょうけど、でもやはりこの映画のサスペンスタッチは片山監督独特のものだと思います。
前半のトリッキーな撮影が実は意味深なテーマ性に繋がっている深み。
不思議な蛇行を繰り返す、予測不能な展開のノワールミステリ映画としての堂々たる醍醐味。
人間の暗黒的な怪物性を如実に炙り出す掘り下げた描写力。
それでいてサイコパスを怪物とだけ描かず、悲しい人間としても描いている多様な深み。
その上で、そのサイコパスに利用されたか弱き人間の側の追い詰められた果ての罪の悲しさまで最後に描いています。
脚本は当然よく練られており、最後に効いてくる悲しき伏線回収も見事で、それには主役の佐藤二朗さんの普段の面白キャラの個性が巧みに逆用されています。
この映画で佐藤さんは、いつもとは正反対のシリアス演技を見せていますが、かなりの好演ですね。
そんななんとも素晴らしき大傑作です。
塩田明彦監督の『麻希のいる世界』も、塩田監督の前作で、こちらも傑作だった『さよならくちびる』をさらに生々しくしたような映画で実に素晴らしかったです。
10代の、孤独な、あまりにも孤独すぎる魂の哀しみが延々胸に突き刺さってきました。
新谷ゆづみさんの強烈な視線が滲みましたね。
その孤独な魂の彷徨と激突が、終盤衝撃的な展開を迎える、その大暗転にも驚嘆しました。
あまりにも凄い映画でしたな。
そして塩田監督は、こうした生々しき傑作を、
強烈な視線劇、
自転車の運動感=映画的な運動、
音楽室でのリアルに破裂的なライブ音、
不思議な関係性から錯綜する心理劇、
大暗転する突然の展開の妙、
無声映画的な原初性など
極めて映画原理的生々しさによって作り上げているという点も素晴らしいのです。
この二作、甲乙付け難い今年の大傑作だと思いますね。


