中原めいこのシティポップ&AOR時代11『HIGHENERGY Remixed inN.Y.』 | 書物と音盤 批評耽奇漫録

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中原めいこ、リミックスアルバム『HIGH ENERGY -Remixed in N.Y.- 』(1991年)☆

 

中原さんのアルバム『鏡の中のアクトレス』と『303E.60TH ST.』の中から、主にユーロビート調やモータウン調ポップス的な曲のみをチョイスして、ハウス系ダンスチューンにリミックスしたようなアルバム☆(MIXもマスタリングもニューヨークのスタジオ)

 

プラス、往年のノリのいいヒット曲含むラテン歌謡系の曲のノンストップメドレー「1019 Medley」と、「SEXY DANDY」のafter hours mix&Instrument mixを収録した内容です☆

 

プロデューサーは中原さんご自身☆

 

remix&post produceは(「1019 Medley」以外の全曲)中原さんのアルバム『MOODS』にニューヨークのプロダクションコーディネーターとして参加していて、この時期、マドンナのMIXを手掛けていたgoh hotoda(保土田剛=レベッカNOKKOの旦那さん)☆

 

このリミックス盤の、こちらの当時の目当てはたった一つでした☆

 

あの大好きなメロウなメロウなシティポップ系AORの名曲「SEXY DANDY」のリミックスが2曲も収録されているという、その一点です☆

 

よりによって、中原さんの数ある名曲の中でも、こちらが特に好きな、それも8年も前のアルバム『mint』収録の、シングルのA面は愚かB面にも入らなかった超名曲「SEXY DANDY」をわざわざニューヨークでリミックスしてくれたというのは、個人的にはもう、とても嬉しいことでした☆

 

原曲も素晴らしいですが、goh hotodaのリミックスに、beatrice blinkerのパーカッションとfred mcfarlaneのキーボード、richard arrigioのbreezing gitarが加わったafter hours mixも、

さらに全面的にrichard arrigioのギターがfeaturingされたInstrument mixも、

どちらも原曲の良さをちゃんと残した、とても秀逸なMIXで気に入りました☆

 

ただ、「1019 Medley」は苦手なラテン歌謡系の曲のメドレーだし、『鏡の中のアクトレス』からの「Caribbean Night」「Don't be silly」も、『303E.60TH ST.』からチョイスの「BOYFRIEND」も、正直、こちらのストライクゾーンの曲じゃないので、当時あんまり期待してませんでした☆

 

しかし、さすがはgoh hotoda、これは良い意味で裏切られました☆

 

だって、ユーロビート調ポップスの「Caribbean Night」「BOYFRIEND」も、モータウン調ポップスの「Don't be silly」も、リミックスされたことによって、まるで蛹が蝶になったみたいに、曲として完成されたものになっていたからです☆

 

これはもう、リミックスバージョンというより、曲自体の完成バージョンでしょう☆

 

聴いていると、まるでリミックスによって、曲が完成していく現場に立ち会っているような気すらしてきます☆

 

やはりこの3曲は、単なるユーロビートやモータウン調のポップス曲ではなく、リミックスによって、明確にハウス系ダンスチューンに昇華されることで完成する運命にあった曲なのだと思います☆

 

だから、リミックスにfred mcfarlaneのキーボードが加わった「Caribbean Night」(garage mix)「Don't be silly」(saint mix)も、rodney ascueのsuper bass vocalが加わった「BOYFRIEND」(red zone mix)や、その(dub mix)も、元々原曲はそう好みの曲じゃなかったのに、どれも気に入りました☆

 

remix engineerのlloyd pukkittとspike peakによる「1019 Medley」も、中原さんのラテンダンスチューン的な曲だけをチョイスして、外国人がノンストップメドレーにしたことで、ラテン歌謡の歌謡の部分が薄れ、ラテンダンスチューン的な部分が強調されているので、こちらも悪くないです☆

 

そういう意味では、元々の楽曲の良さをMIXによって引き出し、昇華している、とても意義深いリミックス盤だと思います☆