衣刀信吾『午前零時の評議室』、
これも前に書きましたように、今年の国内ミステリの力作です。
https://ameblo.jp/erroy3911/entry-12948767708.html
現役のベテラン弁護士さんによって書かれた、第28回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作です。
大学生の美帆のところに裁判員選任の案内状が届く。
被告人の名前に聞き覚えがあったが、それはアルバイト先の羽水弁護士事務所が弁護を担当する事件の被告人だった。
美帆の他、選ばれた裁判員たちは事前オリエンテーションとして担当判事に呼び出されるが、そこで異例の事態が巻き起こる。
その頃弁護士の羽水は検察側の見解を懐疑し、疑問点の謎に着目する。
被害者の靴下が片方だけ持ち去られた謎などに挑み、事件の洗い直しをするが。
"法廷×デスゲーム×本格ミステリ"
とコピーが付いてますが、
これはつまり、デスゲーム的な極限状況 の中で繰り広げられる「十二人の怒れる男」的な法廷ミステリとクローズドサークルものが渾然一体となって、驚くべき真相の本格ミステリとなっていく作品ですね。
さすが現役のベテラン弁護士さんが書かれているだけあって、法廷ミステリとしては非常に微に入り細に入り掘り下げて描かれており、それが本格ミステリの意外な謎の解明または驚くべき真相に繋がっていく作品です。
法の正義や真実の追求とは何か?ということについての深い洞察もしっかり描かれているところも秀逸です。
単なる法廷ミステリではなく、デスゲーム的な極限状況でのクローズドサークル的ミステリの醍醐味があり、さらに真相が二転、三転意外な方向に最後の最後まで緊迫してひっくり返りまくる、きちんとした伏線回収を踏まえた本格ミステリとしての面白さがある、非常によく出来た力作だと思いますね。
そんな見事な作品です⭐︎
これは是非映像化されてほしい傑作ですね。