動物によるレジリエンス (2):補助犬 | ERRCのブログ

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引き続き、動物による温かい ”レジリエンス” のお話です。

今回は、意外と知られていない、補助犬についてご紹介します。

→ 前回のお話:アニマルセラピー

 

 

補助犬たちに敬意を

 補助犬とは、盲導犬、聴導犬、介助犬の総称であり、英語では Service Dog もしくは Assistance Dogといいます。身体障がい者補助犬法に基づき、専門的な訓練を受け、認定を受けた犬たちです。日本ではこの3種類の補助犬たちが活躍し、身体的な障がいを持つ人の自立や社会参加をサポートしています。

 

 しかしながら、こうした補助犬については、まだまだ正しい理解が得られていないというのが現状でしょう。前述の身体障がい者補助犬法という法律があるにもかかわらず、お店や宿泊施設などで拒否されたりするケースがあるというのは非常に残念です。多くの人に、この補助犬たちの活躍を知ってもらい、敬意を持って見守るべきであると感じます。

 

 補助犬は、ユーザーによって適切な衛生管理と行動管理が義務付けられているため、まず人の迷惑になることはありません。認定証をつけた補助犬を見かけたら、そっと見守ることが大事です。このとき、急に話しかけたり触ったり、水や餌を与えるなんてことは絶対にしてはいけません。そういうことをしている人がいたら、注意することも大事です。社会全体で見守ることが非常に大事なのです。

 

 また、誤解している人もいますが、補助犬になる犬たちは、決して強制されたり、ストレスを感じるようなことをさせられているわけではありません。厳格な適性評価により「補助犬になることが彼らにとって最も幸せ」と判断された犬たちなのです。犬たちが喜んで補助犬になっていることを理解してほしいと思います。私たち人間が、仕事に誇りと幸せを感じられたら最高であることと同様です。

 

 また、補助犬は障がい者の体の一部であり、なくてはならない存在です。拒否することは障がい者の自立や社会参加を否定するということです。そして、私もあなたも、明日、もしかすると障がい者になる可能性があるということも忘れてはいけません。障がいは特別なことではなく、どんな人にでも起こり得ることなのです。

日本補助犬協会より

 

 

精神障がいのための補助犬

 日本では今のところ、この3種類の補助犬たちが正式に認定されているわけですが、海外での補助犬の枠組みは日本とは大きく異なります。例えばアメリカでは、精神障がいや自閉症、糖尿病など、さまざまな障がいや病に関しても、この補助犬たちが適用されています。

 

 例えば、精神障がい者のための補助犬 (Psychiatric Service Dog) は、パニック障がいや統合失調症、心的外傷後ストレス障がい (PTSD) などを抱える人たちの救世主とも言える存在です。どんな役割があるのかというと、

 

・薬などの時間を教えてくれる

・体を支えてくれる

・感情の高ぶりやパニックが起こると落ち着かせてくれる

・自傷行為や神経症性習癖などをやめさせる

・恐怖や身の危険を感じると、その場から離れるよう導いてくれる

・人混みなど公共の場所へ出かける際に付き添ってくれる

・その場が安全かどうか判断してくれる

・妄想や幻覚から現実の世界に引き戻してくれる

 

などがあります。Psychiatric Service Dog であれば、上記のすべての仕事をこなせるというわけではありません。それぞれの障がいや病に対して適切な訓練を受けています。

 

 こうした精神障がいにおいても、補助犬の助けは非常に有効です。現にアメリカを含む諸外国では、すでに多くの団体が Psychiatric Service Dog を取り入れて、大きな成功を収めています。

 

 また、アメリカの場合、ADA (Americans with Disabilities Act) という法律により、さまざまな障がいを補うためのすべての補助犬を ”Service Dog” として規定し、障がい者が公共の場所などに犬を同伴する権利を保障しています。障がいも身体や精神に関わらず、補助犬もそれに合わせる形で柔軟に利用できる仕組みになっているようです。

 

 これに対し日本の場合は、身体障がい者補助犬法により、盲導犬、聴導犬、介助犬の3種のみが補助犬として認定されており、利用者も身体の障がい者に限られる形になっています。ですから、新たに期待される、精神障がいや自閉症などに対する補助犬の適用は、今のところ難しいでしょう。

 

 補助犬をめぐる世界の動向を見ると、日本はかなりの遅れをとっています。しかしながら、昨今アメリカで横行する、Fake Service Dog (偽の補助犬) 問題もあることから、まずは補助犬に対する正しい理解を広めていくことが重要です。補助犬たちの存在が当たり前になる、そんな世の中になることを切に願います。

 

アメリカの多くの退役軍人が抱えるPTSD。

Psychiatric Service Dog は、彼らの心の傷を癒し、社会復帰を支えています。

次回に続きます。

→→ スペシャルタレントと動物

 

 

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