「風立ちぬ」ネタバレ含み | Nagatsukiのブログ

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2013年7月26日。本日、『風立ちぬ』を観てまいりました。

これ以降は、どうしてもネタバレを含んでしまうので、そういうのがお嫌いな方は、読まないでいただければ幸いです。
個人的に、どうしても復習をしなければ「観た」と言えない程度の噛みしめでしたので、こうしてブログを書いている次第です。
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さて感想は、「『風立ちぬ』を観てまいりました」。です。
なんとも言い難いのです。良いとか悪いとかではなく。奇妙な感動を覚える作品といえば良いのでしょうか。

冒頭の通り、どうしても復習の必要な作品かと思います。そして、できれば、宮崎駿の人物像そのものに対する予習も。







なぜ面白いと感じたのか。

二面性:
二郎の持つ「美しい飛行機」を作りたいという想いと、設計士という職に要求されている「強い戦闘機」という矛盾。これが語られるとき、よく言われる宮崎駿自体の兵器オタクでありながら平和好きである二面性。または、岡田斗司夫の語っていた、自然保護を語りながら「冷房のガンガン効いた部屋でアニメーションを作っているのはわかっている、わかっているんだけどー、でも」っていう宮崎駿の二面性。
そういった二面性を軸に戦争を眺めると、風立ちぬは、そのまんま宮崎駿を語る作品でもあるように見えたりもするのです。


作画:
これはもう書くまでもないことですが、改めてジブリの作画ってすごいなあと。関東大震災の揺れ。時間にして15秒とかでしょうか。あれだけ絵がぐわんぐわん動いて「うわっなんかヤバイ」感を出すというのは、大変でしたでしょうに。書いたことないからわかんないけど。汽車がよく脱線しなかったと。
群衆の戸惑い感とかもすごいですね。今回目にできた群衆の動きは、比較して良いのかわからないけど、実写の群衆よりもリアルだったと思います。しかも人多いなって。
人物描写、いつも通りの髪とか、背景の美しさはもはやいわずもがな。目の動きもすごいです。カプローニ氏の登場シーン「なんか滑稽だな」とか思いましたが、夢だったということで納得通り越して、感動しました。
婚礼の儀のシーン、もっと見ていたかったです。菜穂子さんきれいだ。



人物のキャラクター(個性):
たぶん「キャラクター」という書き方は誤解を生みますので、ちょっと定義。
「真実のキャラクターとは、その登場人物が強いプレッシャーの下でどのような行動をとるかによってあらわされる」STORYという脚本術の本を適当に訳しました。
つまり、行動ベースでその人の個性を見るということです。
そうやってみると、二郎の飛行機に対する熱、菜穂子に対する熱がよく見えておもしろいです。声をかけられても聞こえず、一心に設計図に見入る二郎。「ナオコカッケツ」の知らせに焦りに焦る二郎。設計図を大量に散らかしている様子。
二郎は、物語の初めから終わりまで、淡々とした姿勢をくずしません。それは意図されていることか、それとも庵野監督声優による功罪かは知りませんが、一貫して冷静に、ある種非人間的に振る舞っているように見えます。なんだか「2001年宇宙の旅」の主人公のようです。おそらくつまらないとする意見があるとしたら、その理由の一つに淡々とした性格が挙げられるようにも思います。ですが、行動ベースでみると意外にも熱血キャラのようにも映る気がします。
禁書の上条さんのお説教や、ワンピースのルフィの叫びや、エヴァのシンジの取り乱しの代わりに、二郎は行動で示しているという風に。



キャラクターについてもう一つ:
二郎の終始一貫した淡々とした個性について書きましたが、これを勝手に人物のキャラクターが外在化しているなんて見方もしていました。
つまり、夢についてはカプローニ氏や本庄に、戦争観についてはカストルプ氏に、愛については菜穂子や加世に語らせているように見えたのです。(まあ実際には二郎も泣いたりしてますが)




さてさて、どうも表面的なものの見方しかしてませんが、本気でやるには、今の卒論の分析手法(グレマスの行為項分析・六面体など)についてもっとくわしく勉強して、戦争について知って、という下準備が必要ですかね。
岡田斗司夫みたいな深読みがもっとできるようになれば良いのですが......






もう一度見るとしたら、前半に体力が必要なことがよくわかったので、そこを気をつけたいです。新入社員時代から七試のテスト飛行あたりまでですね。時間が毎回飛びすぎて追いつけなかったですから。





絵コンテでも買って、もう一度といわず、もう百度くらい見返さなくてはです。


ではでは。