イラスト/碧也ぴんく
1992年1月 講談社X文庫ホワイトハート
さてさて。
『エルンスター物語』本編も終わりまして、番外編の出番でございます。
番外編はふたつありまして、まずは『荒野に咲くべき花』。
本編でも大活躍(笑)のレスター王子の両親のお話でございます。
実は、わたくし、これが一番好きでございます。本編よりも、より「どうにもなりません度」が高くて。
さて、どんなお話かというと。
本編では、まわりくどい外堀の埋め方によって、リリアンをゲットしようとしていたレスター王子様の親世代のお話です。
本編より25年くらい前の話? レスター王子が生まれる前の話なので。
つーか、レスター王子って何歳なんだろ。23、4くらいでいいのかしら。
まあ、それはおいておいて。
主人公は、シタの王様ダーハル。25歳独身です。
彼はエルンスターの首都アーロンを包囲し、そんで聖王家のお姫はんを一人もらって嫁にしようと計画してます。
なんでか言うと、先代の王(ダーハルの父)が死んで以来、後見人として彼を手の平でごろごろさせている叔父から権力的に独立するため、何かでっかい偉業を成し遂げねばならんからです。
しかも、聖王家の姫を嫁にして子供をこさえとくと、聖王家の王位継承権がシタにもいくらか回ってくるという、一粒で二度おいしい計画です。
ですが進軍中、シタとエルンスターの国境にある標高の高い山脈で、ダーハルは毒を盛られて卒倒。時間と資金をかけまくった計画をあやうくご破算にされかけます。
でもまあ、なんとかかんとか回復して、アーロンを包囲。国を占領&略奪する代わりとして、お姫はんをもらいます。
それが、レスター王子の母であり、リリアンの伯母でもあり、エルモア女王の姉でもあるサラです。
このサラは美女ではあるんですが、どーしよーもなく気性が荒い(笑)。
なので、ちっともダーハルに心を許しませんのです。
サラにしてみれば、自分の意思関係なく、デーン神のご神託によって戦利品みたいにして引き渡されたんだから、仕方ないっちゃー仕方ないんですけども。
あとこのひとは、シタに引き渡される前に、「戦利品」の価値を下げようと、好きでもない幼馴染の男と寝ようとするんですね。
それが彼女のできる唯一の抗いというのが切ないです。ちなみに未遂に終わって、追ってきたル・シュトーに捕まります。
本編でもあったように、ル・シュトーはサラに惚れていて…、でも、敵王に渡さないといけなくて、神託受けたの自分でって……、
ほんとにもうどうにもなんねー!!(笑)
大好きよ、こういう話!!
んで、シタに帰国。
毒を盛った犯人探しを始めますが、上手くいかない。
それどころか、先王が死んだときに起こった反乱以来ダーハルの側に仕えていて信頼しまくっているルーファスという金髪イケメンが、どうもその犯人に関わりがあるのでは、というタレコミもあったり、その反乱のときの残党がウロウロしているとか、まーなんやいろいろあって大変です。
とにかくこの人、味方がいない。敵を作ってしまう本人が悪い感じですが。
なので、サラに癒しを求めようとするんだけども、そうはいかんざき!(何だって?)
側近のイケメンはイケメンで、反乱時の残党と組んでるんじゃねーの?!的な疑いも濃くなります。ダーハルはもーへろへろになってしまいます。
でも、そんな彼に、次第にサラは心を寄せてくれるようになります。
サラとは初夜(これがすごい)以来、ずーっとビミョーな関係だったんですが、やっぱり疲れた男の背中というものは女に効くんでしょうかね(笑)。
で、結局毒を盛った犯人は分からないんだけども、サラとは心が通じ合ってきたし、ダーハルはご機嫌です。
でーすーがー。
彼女の部屋に行くと、サラは早速、若い医者とベッドの上でごろごろと浮気してます(笑)。
「なんじゃそりゃー!」とダーハルはカンカンですよ(そりゃそーだ)。
サラをごろごろ死体にしようとしますが、実は妊娠していたことが発覚。
サラを殺さずに置いておきますが、もう触れることはないだろうと。
このシーン、これがもう…どうにもなんねー!!
大好きよこういう話!!(もう一回言う)
「もう、バカなんだからあんたたち!」といいたくなります。
ほんとにねー、もう。「どうにもならないこと」に抗って、ますますどうにもならなくなっていくのでございますね。
以上、終わり。
ほんとにねーこのひと…。サイラス、ユーリア、コンドラ王とあわせて、むくわれない四天王ですよ。
でも、3人は理解してくれるリリアンやリカードがいたけども、ダーハルはな~、いろんな意味で涙がとまりません。
フツーだったら、「ウフフ、わたしのかわいい子ウサギちゃん。今日も一日頑張ったわね、偉かった偉かった」って頭なでなでしてくれるよーなキャラを配置するとか、もしくはサラがそうだとか、「いやー、今の僕は叔父さんがいてくれてこそですよエヘ!」とか言えるオトナなキャラにするとかなんでしょうけど、そうはいかんざき!!(??)なのが、日野流なのでしょう。
ダーハルもサラも、オトナになりきれていない子供なんですよね。マダオ(まるでダメな王様(男))とマダオ(まるでダメな女)同士で。
そういうのが、サラの初恋相手が二次元キャラというか(笑)、物語の登場人物だとか(「初恋が二次元じゃ駄目ですか?!」だ)、ダーハルの愛妾が、ボヨヨンボヨヨンな豊満年上女だとか、そういうところに出てるんだなあと。
情況を受け止めて、それからなんとかしてクリアしようとしたリリアンのほうがオトナです。
リリアンはかっこいいわ、うん。
つーかダーハルって、本編で何やってるんだろ~。サラは、レスター王子が「物心つく前に死んだ」と本編で言ってますが。
レスター王子は「王子」なんだから、王様は健在なはずなんですけどね。




