日野鏡子作品まとめ(エルンスター物語以降)-デーンの娘


イラスト/碧也ぴんく


1991年4月 講談社X文庫ホワイトハート




さてさて。



『エルンスター物語』は、本編5冊、番外編2冊で構成されてます。



どんな話かと簡単に申し上げますと、リリアンという女の子が、悪い国に自分の国を滅ぼされたり、身内を失ったり、血筋のせいで、大して好きでもない王様と結婚するはめになったり、悪い国の悪い王子様にしつこく言い寄られたりするというお話です。

ほんまに簡単に言うと。



1巻は、『デーンの娘』というタイトル。



どっかの世界のどっかの大陸には、5つの国がありまして、北にはバドリジアという国がございます。

そこの第二王女なんですよ、リリアンは。

物語開始時で、年は十六歳。



リリアンは、亡き夫の跡を継いで女王になったお母さんと、お姉さんと妹とで仲良く暮らしてたんですが、あるとき、南側に位置するシタってゆー、日ごろから評判の悪い国が急襲をかけてくるんですわ。



そこからはモー、ものすごい勢いでバドリジアは滅亡していきます。


刺されたお母さんは、リリアンに謎の短剣を託して死に、可愛がってくれてた親衛隊長は死に、乳母は死に、姉はシタに拉致、妹は行方不明、宮殿は火ーつけられて燃やされるわ、宝物殿は荒らされるわ。

これがわずか30ページくらいの間に繰り広げられるんですよ。

昔読んでたときは「フーン」くらいでしたが、今再読してみると、慣れ親しんだ人やものを不可抗力で失っていく辛さが、やたら胸をキュンキュンさせます(涙)。年をとると涙もろくなるっていいますが、それって優しくなるってことやと思いますよ、うん。



まあ、おいておいて(おいておくのか)。



リリアンは一人、東側にある国ブロニジアに逃げ延びます。そこは、お母さんのお姉さん、つまり伯母さんが女王として統治してます。



伯母であるエルモア女王はリリアンのお母さんと同じく、大陸の南にあるエルンスターという国から嫁いできた他所の人間だからか、臣下には反女王派みたいのもおります。

代表が、王弟夫人。

こいつらがモー大変。リリアンをシタの間者じゃねーの?!と疑ったり。



さっそく敵は多いですが、女王をはじめ、王弟夫人の息子ローリーやその従妹ジャクシィ、護衛係のマホバ将軍たちは、リリアンを受け入れてくれます。


そしてそのほか、サイラスという青年にリリアンは出会います。

なんか知らんけど、カッコイイ兄ちゃんです(多分)。

そしてなぜかケモノ耳。なぜ。



このサイラスは、約6年前、狩りの途中で刺客に襲われた先王を身を挺して守ったとして、養子として王宮に迎え入れられます。


実はこのサイラス、先王が若い頃手をつけた平民の娘の子供、つまり先王の隠し子じゃねーの?! というウワサ。

刺客の件も、彼を手元に置くための狂言じゃねーの?! とも。


当時、先王とエルモア女王にはシャスールという娘がいたんですが、どうやら彼女とサイラスは義理の兄妹としてだけではなく、恋人同士としても仲むつまじくなっていった様子。


しかし、先王に続き、シャスールも一年前に死亡。

しかもその死に方が尋常じゃなかったので、誰かが毒殺したんじゃねーの?! というウワサが。

一番の容疑者は王弟夫人。

でもマホバ将軍は、サイラスを疑います。


実はこのシャスールとリリアンは見た目がそっくりなんですね。


そのせいか、サイラスとリリアンは急接近します。

しかし、サイラスは自分にシャスールを重ねてるだけなのでは…、そしてシャスールを殺したのはサイラスなのだろうか…、とリリアンの心境は複雑。


そうこうしているうち、ブロニジアの北の海にある島の砦に、シタ軍がいるとの知らせが。

リリアンの姉のカナリーが、卑劣にも塔に幽閉されているらしく、シタの出城となっているその島を攻めることになります。


サイラスに剣を教えてもらっていたリリアンも、行く! と艦隊に乗せてもらいます。


そんで、カナリーを無事救助、サイラスとともに砦を逃げ回ります。

でも、全然兵はいないしなんかサイラスの様子も変だなと思っていると、悪の大国シタの王子様、レスターが満をじして登場!! 

ヒーローは遅れて現れるッッ!!!(何この興奮)



実はサイラス、レスター王子の小姓でスパイだったのだ!!(ななななんだってー!!)



さて、このレスター王子、お母さんがリリアンのお母さんの姉なので、いとこ同士でもあります。



なんか知らんけど、預言によるとエルンスターから嫁いだ姫から、「創世の力」というものを操れる娘が生まれるとかなんとかで、同じく創世の力を持つレスター王子はその娘を探してたんですって。

その娘を嫁にして、世界征服かなんか企んでる、のか? よくわからんけど。

それとも合体したいのか?(創世なだけに)



最初はシャスールかと思い、サイラスを使って調べたんですが、違ったんでサイラスに殺させます(うわあ…)。

おまけに、サイラスはシャスールを愛してたわけでもなんでもなく、むしろ母親を捨てた男の娘と言うことで憎んでいたとかなんとか、衝撃の真実つき。



残るは、バドリジアの3姉妹なので、ちゃっちゃーと滅亡させて長女をかっぱらうもこれも違う。

んで、サイラスに「創世の力」に反応する石を使わせて、リリアンがそうなのかどうかを確かめさせるとビンゴ。
姉のカナリーをエサに、リリアンを砦におびき寄せるも大成功、という次第。


いやー、信頼していたサイラスが、悪の手先だったとは…。

しかも、サイラスは王子に呪い的な力で操られて、リリアンの眼の前にも関わらず王子にちゅぱちゅぱされるがままのやおい商店街です。

うわあ…。ホンマこの王子すごいわー(ドン引き)。



リリアンはヘンタイ王子の手から逃れるため、お母さんから託された剣を抜きます。


それこそが、「創世の力」に反応する「アイリーンの剣」だったのだ!!

アイリーンの剣でレスター王子に傷を負わせて、サイラスとともに逃げますが、途中、彼は追っ手の矢によって死にます。



恵まれない生まれで、ヘンタイ王子に拾われて手先にされ、義理の妹を殺さねばならない羽目になったり、そんな壮絶な人生を送ったサイラスが、ただのどうでもいい兵士に、なんでもない沈みかけの小船の上で、一本の矢によって簡単に死んでしまうっていうのが、この『エルンスター物語』の真髄を語ってると思います。



以上、こんな感じで『デーンの娘』終わりです。



うーん、おもろいのは、サイラスのシャスールに対する感情ですね。愛なのか憎しみなのか?!みたいな。

番外編では、その辺のこととか書かれてあります。


年を経て再読すると、いろいろ楽しいですね。うん。レスター王子のヘンタイっぷりは、当時は素通りだったもんなあ…。



さて。
こんな誰の役にも何の役にも立たない紹介ですが、これからも続きます(多分)。

もし、読んでみたいなあ、と思った奇特な方がおられましたら、古書店か電子出版サイトでどうぞ。