スンスン。
「ん〜っいい香りです♡新しいお花が咲くと季節を感じられますね♪」
「どれどれ?僕にも嗅がせて」
「はい♡」
ベルナルダンさんは私が手に持ったラーミラのお花に顔を近づける。
「ん〜ほんとだ、いい香りだね〜。ずっと嗅いでいたいな〜」
「ふふっ……っ!(ハッ!!顔が近い!!)」
ベルナルダンさんとの距離の近さを急に意識してじって体が固まってしまう。
「っ」
目が合ったと思ったら更にベルナルダンさんの顔が近づいてきて咄嗟に目をつぶった。
スン────。
「んっ……」
首元にベルナルダンさんの鼻先がかすかに触れた気がした。
「でも一番いい匂いがするのはマリリンちゃんかな」
「っぁ、ありがとうございますぅ!!///」
ベルナルダンから離れて頭をふるふると振る。
(だめですよマリリン!心を鎮めるのです!今はお仕事中!職権乱用はいけません!!)
「おーい、マリリンちゃん??」
ベルナルダンさんはゆるふわ奏士です(^^)
マリリンは内心キャーキャーとときめいてる事でしょう☆

お昼休憩にランチに出かけました。二人してサラダを頼んで奇遇だね、なんてお話をしながら…♡♡
「あっそうそう、この間とってもうれしいことかあったんです」
「え〜気になるな〜教えて教えて」
「ふふっ♡えっと・・・・」
この間起きたうれしい出来事をベルナルダンさんに報告です♪
────ツンツン。
「っ??」
スカートを引っ張られて後ろを振り返ると、そこには小さな女の子がいました。
「こんにちは」
「こんにちは♡」
もじもじしている女の子が可愛くて自然と頬が緩んでしまいます。
「あの、おかーさんが、おねーさんにごあいさつしてきなさいって」
「えっ?」
「わたし、バベット・べドフォードです」
「まあっ…!!あなたがバベットちゃん!?」

一年前、出産のお手伝いをさせてもらったママの実家のべドフォード家に生まれた女の子。一歳のお誕生日にわざわざ会いに来てくれたのです。
「会いに来てくれてありがとう!バベットちゃん、大きくなりましたね〜♡」
「おねーさんがいてくれたかはわたしが生まれたっておかーさんが言ってたよ。だから、ありがとう」ぺこり
「そんなっ、私の方こそありがとうっ!」ぺこっ
「またお家にあそびにきてね」
「うん!遊びに行かせてもらいますね♡」
「♪♪」
バベットちゃんは私を夢に導いてくれた存在で、あの日があったから私は今こうして奏女でいられる。彼女は私の恩人でもあるのです。
「へ〜っ初めて出産に立ち会った子が会いに来てくれるなんて感動ものだね〜」
「はい♡とってもうれしかったです。大きくなったバベットちゃんの笑顔を見て、この道に進めたことを幸せに思いました。この仕事をやってみて改めて神職は素晴らしいお仕事だなって実感してます」
「僕から見てもマリリンちゃんは巫女に向いてると思うよ〜。あ、恋人だからとか贔屓目なしで見てもね?」
「ふふっ、ありがとうございます♡そのお言葉ありがたくちょうだい致しますね♡」
それに、こうやってベルナルダンさんと出会えたから。なにか神のお導きがあったのだと思えてならないのです。
「マリリンちゃんが奏女になってからのんなに楽しく仕事しちゃっていいのかなってたまに心配になるよ〜(ってマルグレードさんが聞いてたら怒られるちゃうかなぁ)」
※マルグレードさんは前任の奏女の方。
「私も同じです!本当に毎日幸せで怖いくらい…♡♡」
ベルナルダンさんも同じ気持ちでいてくれてとってもうれしいです♡♡
ある日のこと、巫女のアンジェル様が神殿にいらっしゃった。
「お疲れ様です。ベルナルダン、マリリン」
「お疲れ様で〜す」
「っお疲れ様ですアンジェル様!」
普段忙しくなかなか会えないアンジェル様のあとを急いで追いかける。
「もう、様はいらないって何度言ったらいいのか…」
「何度言われてもアンジェル様は憧れの巫女様ですから」
「ふふ、マリリンはしっかりしてるわね。ふわふわしたベルナルダンといいコンビだわ」
「え〜何か僕の話してますかぁ?」と向こうからベルナルダンさんの声が聞こえてきて二人でくすっと笑い合う。
「アンジェル様、私が初めて出産のお手伝いをさせてもらった山岳兵のべドフォード家のこと覚えていますか?あの日生まれた子がこの間私のところに挨拶に来てくれたんです」
「まあ…もう一歳になったのね。よかったわねマリリン。うれしかったでしょう」
「はいっ!あの日があったから夢に近づけたので…。それで、改めてアンジェル様にもお礼が言いたくて…あの時お手伝いさせて頂いて本当にありがとうございました」
私が頭を下げると、アンジェル様は微笑んでゆっくりと首を振る。
「あなたは本当に律儀ね、私はなんにもしてないわ。感謝の気持ちを伝えるのも大切なことだけれど、自分を褒めてあげるのも忘れてはいけないわ。今こうしてここに立っているのは他でもないあなたが頑張ってきたおかげ。たまには自分を甘やかしてもいいのよ」
アンジェル様は巫女としてでなく人としても人生の先輩として色んなことを教えてくださる。マリリンの憧れの人です。

「そうそう、これ昨日作りすぎちゃったのよ。ベルナルダンと二人で食べてちょうだい」
「わっ美味しそう!ありがとうございますっ♪」
たまにはお母さんのような顔を覗かせるところもキュートで大好きなのです♡
今日は仕事が早く終わったので二人でデートです♡
「フンフンフーン♪♪」
早速ラーミラのお花で作った香水をつけてご機嫌なベルナルダンさんがとってもかわいい♪
ベルナルダンさん早速の職権乱用!(笑)
「ちょっと遠いけど、運動も兼ねて水源の滝なんてどう??」
「いいですねっ行きましょう♪私っ行くの久しぶりです!いい運動になりますね♡」
「そうだね〜普段全然体動かさないし職場は徒歩0刻だもんな〜。ギリギリまで寝てられるのは魅力でもあるんだけどさ〜」
「ふふっ♡ベルナルダンさんは朝弱いですもんね♡」
修行中の身でありながら、仕事終わりのこのデートが一日の一番の楽しみなのは内緒です…♡♡
奏士らしい専門的な会話wwこのは二人にとって自分ちの庭のようなもの(っていうか実際に庭笑)ですもんね(笑)
シズニ神殿に帰ってきました。デートが出来る日でも出来ない日でも二人でこうやって花々を見ながらその日にあった出来事や他愛もないお話するのが日課になっています。
「次に咲くのはフランの花ですね。今から楽しみです♡」
「そっか〜マリリンちゃんは春にここに来たんだもんね。初めて見る花ばかりで新鮮でしょ〜」
「はい♡なので新しいお花が咲く度にうれしいんです♡そういえば、ベルナルダンさんはいつ頃からこちらへ?」
「僕は去年の冬に来たから、もうすぐ一年になるのかぁ…早いな〜」
「そうだったんですね!それじゃあ今度お祝いしませんかっ?祝一周年の!!」
「アハハ、ありがと〜」

「ベルナルダンさんと一緒に同じ季節を過ごせることがうれしいです。これからもずっと、二人一緒にいられたらいいなぁ…」
「・・・・・」
「ベルナルダンさん??」
「……シズニの神よ、ごめんなさい」
返事のないベルナルダンを不思議に思って見上げたのと同時に肩を抱き寄せられた。
「───っベルナルダンさんっ…」
神殿でこんなことをしていると悪いことをしているようで落ち着かない。
(いろんなドキドキが混ざって心臓が壊れそうっ……)
ぐっと抱き寄せられると体の触れている左側がベルナルダンさんの体温で途端に熱くなる。
「僕は悪くないよ、神には謝ったし、それに今はプライベートな時間だし」
顔が近づきベルナルダンさんの吐息が耳に残る。
「マリリンちゃんがすごく愛しくなったんだ。早く僕のものになればいいのに…」
「っ………」
ベルナルダンさんの思いに胸が締め付けられて、目をぎゅっとつむることしか出来ない。

「神殿でこんなこと…困らせてごめんね」
「っいえ…」
名残惜しいようにベルナルダンさんの体が離れていく。
「少し冷えてきたから帰ろうか」
「はぃ…」
まだ余韻から抜けられない私はベルナルダンさんに手を引かれるがまま歩く。

「今日もありがとうございました。また明日ですね」
なんだかいつもと違うベルナルダンさんにドキドキしまって少し他人行儀になってしまう。
「…ん、また明日。おやすみマリリンちゃん」
「っ??おやすみなさい…」
少し間の空いた返事が気になりつつも、引き止めるのも彼に悪いとそのまま見送る。
その答えは、次の日になってようやくわかるのでした。
──────────
その日は出産のお手伝いがあり家を早く出たのでベルナルダンさんと会えずじまい。帰りは夜刻過ぎ…部屋に帰る前にベルナルダンさんのお部屋に向かいました。
「ベルナルダンさんっマリリンですっ、夜遅くにごめんなさいっ(どうしても顔が見たくって…)」
「へっ??」
「えっ??」
目の前にいるはずのベルナルダンさんはそこにはいなく、代わりにニコニコと笑う青年が。
「あっもしかしてお隣の奏女のマリリンさんですか〜?僕、新人奏士のロサーノです!よろしくお願いしまーす☆」
「あっ、マリリン・ブオナロティと申します、よろしくお願いします……ってそうじゃなくって、あのっ!ベルナルダンさんは…っベルナルダンさんは奏士を辞められてしまったんですか!??」
「はい☆それがなにか?☆」けろっ
「っ!!(マリリンショック…!!!)」
こちらの事情を知らないロサーノさんは変わらずニコニコと笑っている。
「今朝早くにベルナルダンさんが僕の家にやってきたんです。僕も奏士になれるか不安だったんですけど、奏士のベルナルダンさんに憧れてたから思い切って決断しましたよ僕!でも案外こうやって制服着てみれば意外とイケてるなって♪どうですっ?マリリン先輩☆」
「…ええ、よくお似合いですけど…」
「へへっ♪これでベルナルダンさんに少しは近づけたかな♪ベルナルダンさん、さっきまで引越しの手伝いをしてくれて、引越し祝いにこれもらっちゃいました!」
「っ」
『じゃ〜ん☆』とうれしそうに私の前に差し出したものは…いむぐるみでした。
「ほら…この部屋、ひんやりしてて怖くないですか?なんだかオバケが出そうで…僕、一人暮らし自体初めてだし、夜眠れるか心配だって言ったら『これをお守り代わりにしたら怖くないよ』って。ベルナルダンさんもかわいいところありますよね♪」
「それっ……」
奏女になって初めての夜。ひとりぼっちでいるのが怖くて、私はいむぐるみを持ってベルナルダンさんの部屋に駆け込んだ。
「…ロサーノさん。私もここに暮らし始めた当初は同じように怖かったんです。でも、ある先輩が教えてくれて────」
ここに眠っているのは私達のご先祖さま。その方達が怖いオバケのはずなんてないと…。今思い返すと、神に仕える者として未熟さを思い知らされます。
「へ〜!その話聞いたらもう全然怖くないや☆ご先祖さま、ありがとう!今日はぐっすり眠れそうだ〜♪おやすみなさい、マリリン先輩☆」
ロサーノさんはベッドに寝転がるとすぐに寝息を立て始めた。
「まぁっ…もう眠っていらっしゃる…ふふっ」
あの日も、こうやってベッドに横になるベルナルダンさんの寝顔をずっと眺めていました。初めて恋に落ちて、毎日ベルナルダンさんを追いかけた。
(不思議…あの日の出来事が、ついこの間のこのよう)
ロサーノさんの寝顔が、あの時のベルナルダンさんと重なる。
(ずっと一緒でしたね。朝起きて一番に挨拶を交わして、同じお仕事をして、時間を見つけて二人でお出かけして、同じところに帰って、また挨拶を交わして一日を終えて……)
でもここにいるのはもうベルナルダンさんではない。
(それだけ時は経っているのですね)
明日、ベルナルダンさんに会いに行こう。そう心に決めて、ロサーノさんを起こさないようにそっと部屋を出た。
☆☆☆
ロサーノくんなんだか濃いキャラになってしまいましたが今回限りの登場です〜(笑)初めて見た時にお花咲かせていむぐるみ持ってたもんでこんなキャラになってしまいました(´ー`)
ありがとう!ロサーノくん!←







