朝一番のお務めの時間。
花を摘み終わったらベルナルダンさんに会いにいきましょう。
(たった一日会ってないだけなのにもうずっと会っていない気がする…)
これまでどれだけベルナルダンさんと同じ時間を過ごしていたか身に染みる。
「マリリンちゃん」
「───っ」
この声は・・・・・
「っベルナルダンさん!」

振り返った先には青年服に身をつつんだベルナルダンがいた。
「っベルナルダンさんっ!私っ、このあと会いに行こうと思っててっ……!!」
慌てて早口で話す私にベルナルダンさんは少し気まずそうに微笑んだ。
「昨日は急にいなくなってびっくりさせちゃったよね…ごめんね」
「っ…いえ…、びっくりしなかったっていうと嘘になりますけど…でも、こうやってまたベルナルダンさんと会えてうれしいです」
「っマリリンちゃん…。一日会ってないだけなのになんだかすごく長く感じたよ」
目の前に優しく微笑んでくれるベルナルダンさんがいる。それだけで幸せだった。
「っ私も同じです!……その服、すごくお似合いですね。ずっと奏士の制服を着られていたので新鮮です」
「ありがとう。久しぶりに着たらちょっと照れくさかったよ」
「ふふっ」
くすくすと笑っているとベルナルダンさんの視線に気づく。顔を上げると、ベルナルダンさんは真剣な顔をして私を見つめていた。
「…マリリンちゃん。僕が奏士を辞めた理由がわかる??」
「えっ…?」
ベルナルダンさんが奏士を辞めた理由。
ベルナルダンさんは奏士を長くやられていたから、もう勉強する必要がなくなったから??
そのことを聞こうと今日会いに行こうと思っていた。
「…僕は、君と結婚したいと思ってる」
「────っ」
「僕と結婚してくれませんか??」
女の子なら誰しもが夢見る大好きな人からのプロポーズ。
(ベルナルダンさんと結婚…きっと、これ以上好きになる人と出会えないわ)
頭の中ではすでに答えが出ているのに、ふっと一つの疑問が湧いてくる。
(───でも、私は神に仕える者。勉強中の身でありながら自分の幸せを優先してしまっていいの???)
小さな頃から巫女になることが夢だった。

「っベルナルダンさんっ…ごめんなさいっ…」
「っ!」
「ベルナルダンさんのこと大好きですっ、他の人なんて考えられません。でも…私っ、奏女としてま信が持てなくって…まだまだ勉強するべきことがあるんじゃないかって思うんですっ…本当にごめんなさいっ……」
気づいたらベルナルダンさんに頭を下げていた。そうすることしか出来なかった。
「……マリリンちゃん、顔を上げて?マリリンちゃんが神職に対してどれだけの思いをかけているかわかっているつもりだよ。軽い気持ちで始めた僕とは比べてはいけないくらいに」
「っ……」
ベルナルダンさんの声があまりにも優しくて、ゆっくりと顔を上げる。
「そんなひたむきなマリリンちゃんだから好きになったんだ。マリリンちゃんの納得のいくまでこの仕事を続けてほしい。僕はいつまでだって君のことを待っているから。だから、そんなに謝らないで。ね?」
「ベルナルダンさんっ…」
私を安心させるようにベルナルダンさんは優しく微笑む。私も、こんなに優しいベルナルダンさんだから彼に惹かれたのだと思う。

「あの…この子、私が持っていてもいいですか?」
「それは??」
「昨日ロサーノさんから聞いたんです。ベルナルダンさんからこれを頂いたって…」
「ああ、ロサーノが夜さみしくて寝られないなんて言うからさ。マリリンちゃんの受け売りだけど、それをプレゼントしたんだ」
シズニ神殿に来た初めての夜、いむぐるみを持ってベルナルダンさんの部屋に飛び込んだのがついこの間のことのよう。
「えっと…ベルナルダンさんと離れて生活するのは私もさみしいですし…この子をベルナルダンさんだと思ってそばに置いておきたいというか…///っあ、ロサーノさんにはちゃんと聞いてから頂きましたよっ?」
「っふふ!ありがとうマリリンちゃん。きっとその子も君の側にいる方が幸せだと思うよ。僕からもお願いするよ、君のそばに置いてくれる?」
「はいっ!♡」
また会いに来るね、と言ってベルナルダンさんは帰っていった。
「ベルナルダンさん・・・」
いむぐるみを抱きしめながら、ベルナルダンさんの背中が見えなくなるまで見つめる。
ベルナルダンさんを悲しませてしまったのは事実。彼は奏士まで辞めて決意してくれたのに…。
(あとは私の問題…。自信を持てるようになるまで、もっと仕事に向き合わなくっちゃ!)

「お疲れ様です。マリリン」
「っお疲れ様ですアンジェル様!」
ある日のこと。巫女のアンジェル様が神殿にいらっしゃった。
「なんだか浮かない顔してるわね?体調でも悪い??」
「すっすみません!体調は悪くないです、元気です!(いけないっ、ここのところ寝不足だったからっ…)」
「謝ってほしい訳ではなくて…何か無理してるように見えるわ。ベルナルダンが奏士を辞めたことと関係があるのかしら?」
「っ……」
「浮かない顔をしている人が目の前にいるのなら、この国の巫女として放っておけないわ。それが気心の知れるあなたなら、同じ女性としてなおさらね」
「アンジェル様っ…」
私を落ち着かせるように微笑むと、少し間を空けてからゆっくりと話し出す。
「奏女になって勉強することは、なにも聖書を読むことだけではないわ。たくさんの人や物事に触れて知識や心が育っていくの。あなたは自分にはまだ修行が足りないと思っているけれど、そんなの当たり前よ。完璧な人間なんていないもの。私だってこの歳になってもまだまだ勉強中の身よ」
「そんなっ…アンジェル様はいつどこで見ても完璧ですっ」
「そりゃあね。あなたよりどれだけ長く生きてると思ってるの?年の功ってヤツね」
アンジェル様はおどけて笑ってみせる。
「…ねぇマリリン。あなたに愛する人がいて、共に生きていくことを互いが望んでいるのなら、答えはひとつじゃないかしら?」
「っ」
私、少し難しく考えすぎていたみたいです。アンジェル様と比べて私なんてまだたった数年しか生きていない若輩者。アンジェル様に並べるよう頑張ってきたけど、それは違っていた。同じ年月をかけて追いかければいい。
アンジェル様が私の心を軽くしてくださった。
「アンジェル様…私、ベルナルダンさんと結婚したいと思っています。彼と一緒に過ごした時間はかけがえのないものでした。これからもずっと、ベルナルダンさんと一緒に歩んでいきたいです」
ベルナルダンさんと家庭をつくり、妻となり、やがては母にもなりたい。ベルナルダンさんの隣で色んなことを一緒に経験していきたい。
「その言葉をあなたの口から聞けてうれしいわ。結婚式には是非呼んでね」
「はいっもちろんです!アンジェル様、お話聞いてくださってありがとうございました。アンジェル様はやっぱり私を導いてくださる方です」

「あの、アンジェル様…。私が巫女になりたいと思ったのは、ナトル学舎時代にアンジェル様の授業を受けたことがきっかけなんです。私の夢の始まりは、アンジェル様なんです」
「ありがとうマリリン。あなたの目標でいられるように私もまだまだ頑張らなくてはいけませんね」
「そんなっ、そしたら私、永遠にアンジェル様に追いつけなくなります〜っ」
「ふふ。私を見失わないように気をつけることね」
「はっはいぃ!」
アンジェル様、今日は本当にありがとうございました。

「すみませんベルナルダンさん!お待たせしました!」
「大丈夫だよー。お仕事お疲れ様」
今日はベルナルダンと待ち合わせをしていました。
「あの、今日はプレゼントがあって……これ、よかったら受け取ってくれますか?」
「なになに?わっキレイ!」

神殿でとれたお花で花束を作りました。
「ありがとうマリリンちゃん!ん〜この香り、懐かしいなぁ…。帰ったら部屋に飾るね!」
「そうしてくださるとうれしいです♡この間のいむぐるみと交換ですね♡」
「はは、そうだね〜。僕、この香りを嗅ぐとマリリンちゃんを思い出すんだ」
「っ私も同じですっ♡」
神殿の花を私に教えてくださったのはベルナルダンでした。一緒に過ごした幸せな時を思い出します。

「明日は星の日だね〜。仕事が終わったらデートしない?」
「あっごめんなさい、明日は大切な用事があるんですっ…」
「えっ・・・(ガーーーーン)」
ベルナルダンさんと一緒に過ごしたいけど、明日は我慢です。絶対に外せない、大切な用事です。
もう少し、待っていてくださいね。
──────────────────
「マリリンさーん!」
「パーシスちゃん!ごめんなさい、星の日に呼び出してしまって…」
「全然いいですよー!ほら、この間言ったでしょ?ワタシ、この間振られちゃったってー。しばらくは恋愛はこりごり。仕事に励むって決めたんです!」
「そう言ってもらえると私も安心して任せられます。ありがとう、パーシスちゃん。それと、いつでも相談に乗りますからね!仕事のことも恋愛のことも───」
「ハイハイお気遣いありがとうございます!それより早く行きましょーよ!今日はせっかくの星の日ですよ?儀式をちゃっちゃと終わらせて、早く彼氏さんのところに行ってあげてください!」
「ちゃっちゃとなんて、神聖な儀式ですよ?わっ!パーシスちゃん急に背中押さないでっ…」
「レッツゴー!」

そう。今日は奏女引き継ぎの日なのです。
神殿で佇んでいたパーシスちゃんに声をかけ互いの話をしているうちに、奏女の仕事に興味を持ってくれて是非と立候補をしてくれた。
「わーすごい!なんか神々しい!」
「しっ。パーシスちゃん、神殿の中では大きな声を出してはいけません」

自分の引き継ぎの時のことが蘇ってくる。あの時はこのあと結婚する人と出会うことになるだなんて思ってもいなかった。

「わっ、すごー、ワタシ奏女になっちゃった!」
奏女の制服に身を包んだ彼女を見て、改めて自分が奏女でなくなったことを実感する。
「パーシスちゃん。あなたは勘違いされやすいところもあるけれど、私はあなたの明るさや優しさを知っています。勤めを果たしたその先にはきっとパーシスちゃんの望む幸せが待っているはずですよ。パーシスちゃん、これからよろしくお願い致します」
そして、どうか彼女に神の御加護がありますように。
「マリリンさんっ……ぐすっ泣かせないでよー!っもうっほら、早く出てった出てった!彼氏さんが待ってますよー!」
「わっ、押さないでっ…それに大きな声出してはいけませんっ…わわ!」
「───マリリンちゃん??」
「えっ?ベルナルダンさん??」
神殿を出るとベルナルダンさんが立っていた。
「水色の髪をした子にマリリンちゃんが呼んでるから来てって言われていて……あれ?マリリンちゃん、奏女のマークが・・・」
「あ…ついさっき、奏女の引き継ぎが済んだんです。なんの相談もなしにごめんなさい」
「マリリンちゃんっ……。ねえ、急だけどデートしたい?」
「えっ?はい」
「デートっていうか、すぐそこだけど!」
「っ」

「ありがとうございますベルナルダンさん。私からもお願いしてもいいですか?私をベルナルダンさんのお嫁さんにしてください」
「答えはイエスしかないよ!マリリンちゃん、ありがとう!一緒に幸せになろう!!」
「はいっ…ベルナルダンさんっ…♡待たせてしまってごめんなさい…」
「ううん、いいんだ。これからずっと一緒に生きていくんだもの。その時間に比べたら全然…」
頬を伝う涙を拭ってくれるベルナルダンさんの手を両手で包んだ。
「ありがとうベルナルダンさん…これからもずっと愛していますっ…」
「僕もずっと愛しているよ…これからもずっとずっと・・・・」
思い出の詰まったこの場所で、お互いに吸い寄せられるようにキスを交わした。

「ふぅ〜っなんだか肩の荷が下りたな〜」
「ふふっなんだか昔のベルナルダンさんに戻ったみたいで懐かしいです」
「うん、ここのところずっと緊張してたから…マリリンちゃんは緊張してる僕の方が好き??」
「う〜ん、やっぱり出会った頃のベルナルダンさんの方が安心します。男らしいベルナルダンさんもカッコよくてどっちも素敵なんですけどね♡」
「そーお?マリリンちゃんと付き合うまでは自分でもこんな自分がいるって知らなかったしな〜。また父親になったら変わるのかな〜」
(ベルナルダンさんが父親…ドキドキ)
星の降る夜に、私達はこれからずっと共に歩んでいくことを誓いました♡
☆☆☆
ついにマリリンとベルナルダンさん婚約!!(ここまでが長い、長すぎすぎるっ…^_^; )
奏士とか奏女の人が辞めるとそろそろ結婚が近いのかな〜ってドキドキしちゃいますよね(*´`*)
それにしても今回限りの登場のパーシスちゃんのキャラが好きすぎる。まだプレイしてたらまた登場させてただろうな〜。やっぱりプレイとブログは同時進行がいいですね。



