★☆☆☆☆:該当作品無し

★★☆☆☆:該当作品無し

★★★☆☆:伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」 石田衣良「スローグッドバイ」 小川洋子「ブラフマンの埋葬」 恩田陸「三月は深き紅の淵を」「エンド・ゲーム-常野物語」 辻仁成「海峡の光」 本田孝好「FINE DAYS―恋愛小説」 山田詠美「ぼくは勉強ができない」 よしもとばなな「デッドエンドの思い出」

★★★★☆:乙一「GOTH リストカット事件」金城一紀「対話篇」 三浦しをん「むかしのはなし」 森博嗣「魔剣天翔」 よしもとばなな「キッチン」「TUGUMI」

★★★★★:安部工房「人間そっくり」 石田衣良「アキハバラ@DEEP」 はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ」 

海峡の光 辻仁成「海峡の光」
 

著者:辻仁成(つじ・ひとなり)
価格:380円(文庫版/税込)
出版社:新潮社
評価:★★★☆☆

粗筋:刑務所に法務官として任務についている斉藤。その刑務所にやってきた新しい受刑者の中に、かつて自分をどん底にまで陥れたクラスメイトが名前を連ねていた。

感想:中学校の時塾で読んだ文章の一つで、それは彼らが少年時代だったときの本のひとかけらだけでした。だから、主人公が刑務所で見張りをしてるとか、そういう事は知る由もなく、吃驚してしまいました。
結局、主人公の中から花井が消える事はなくて、主人公は、「法務官」と「受刑者」という関係を入れても、彼に対して優越感を得られませんでした(一瞬得られたけど)。それだけ、幼い時の花井という人間の大きさを感じます。ほんとに実際いたら嫌だな……。
最後まで花井が何を考えているのか分からなくて、それが不安でした。もう一度入る事になったときも、それが花井の意志だったような気がします。でもそれがよかったのだと思う。
文章は洗練されていて思ったより読みやすかったです。芥川賞だというのは読んでいる途中で気付きました。

デッドエンドの思い出 よしもとばなな「デッドエンドの思い出」
著者:よしもとばなな(よしもと・ばなな)
価格:1200円(税込)
出版社:文藝春秋
評価:★★★☆☆

粗筋:ほんの小さなタイミングで、幸せになったり不幸になったりする。それは私だけじゃなくて他の人も同じ。それによって生まれる物語5つを収めた短編集。

感想:ばななさんの何がすきって、文章というか、それが生み出す空気というか、そういうものの色々です。実は、この本をとりにくかったのは矢張りこのタイトルで、人が死んだりする話は余り得意ではない私はこれを避けていたんだけど、でもやっぱり優しいお話でした。状況を考えると、とても不幸だったりするんだけど、主人公の優しさとか、主人公が周りから受けた優しさとか学んだ事とか、そういうものがふわりとその事象を包んで柔らかくしています。こういう風にいくこともそんなに無いと思うけど、でも、そうでありたい、とも思うのです。
「デッドエンドの思い出」「おかあさーん!」「幽霊の家」がすき。ふと冷静になって考えてみる事って大事だと、この人の話を読むとつくづく思います。よしもとさんは、この「デッドエンドの思い出」という話がそれまでの中で一番好きなお話だそうですが、私もこのお話が一番すきです。
ただ、ともちゃんのしあわせと、あったかくなんかないよ、は、ちょっとだけ苦手だったので、星は三つ。