魔剣天翔 森博嗣「魔剣天翔」

著者:森博嗣(もり・ひろし)
価格:730円(税込)
出版社:講談社
評価:★★★★☆

粗筋:保呂草は、仕事でエンジェル・マヌーヴァと呼ばれる魔剣について探る事に。今は関根朔太という画家が持っているという。一方、小鳥遊練無は、友人で朔太の娘である関根杏奈に呼ばれ、飛行機のアクロバットを見に行く事になっていた。そんな中、飛んでいる飛行機の中で殺人が起きる……。

感想:れんちゃんは、今まで結構大人で、どちらかというと宥めたり、他のキャラクターをじっくりと観察しているタイプのキャラクターだったけれど、今回はれんちゃん自身が書かれていたのが新鮮でした。しこさんも段々れんちゃんの方が気になっているみたいで。彼と彼女については今回大きな一歩だったかも。後、七夏さんが出ずっぱりでしたね。彼女の人間らしいところは可愛いと思うし、そして魔女みたいな紅子さんはやっぱり魅力的です。彼女の性格については他のキャラクターがじっくりと解釈しているし(というかしきれてないけど)、それがしっくり来る。アレ以上の言葉で彼女を説明する事はできないし、それが魅力だと思います。
という訳で、やっぱり森ミステリはキャラが凄くいい。西尾維新みたいに、たちすぎるぐらいたってなくて、それでもやっぱり魅力的。関根朔太そのものに関する云々も読んでいて心地がよかった。
そういうキャラ同士のやり取りだけでもとてもよかったと思うけど、本筋のストーリーもとてもいいと思う。森先生にしては案外正当というか、古典的ながら、でもやっぱりこういうほうがいいです。


都会のトム&ソーヤ④ 四重奏 はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ④ 四重奏」

著者:はやみねかおる(はやみね・かおる)
価格:998円(税込)
出版社:講談社
評価:★★★★★

粗筋:世界一のゲームを作り上げると夢見る創也と、その夢を共有するサバイバル少年内人。今回は、映画を届けようと奮闘したり、資金調達の為に堀越ディレクターと館に突入したり……。

感想:はやみね先生の最近の作品の中では断トツに面白かった気がします。というか、主人公に騙されるというか、あっといわされる事が最近凄く多い気が……。内人君には完全に油断していました。そういう意味での吃驚もあったり、そして本編の謎解きの方もびっくりだったり、どっちも大脱走だったり。そして、夢の中を楽しむ卓也さんは、とてもかわいそうでそして可愛かったです。創也に、絶対になれない宣言をされていますが、彼はどうなるんでしょう……?おまけの方も秀逸でした。そして、次巻への伏線というか展開をバッチリ織り込んで、次が待ち遠しくなる一冊です。


エンド・ゲーム―常野物語恩田陸「エンド・ゲーム-常野物語」
著者:恩田陸(おんだ・りく)
価格:1575円(税込)
出版社:集英社
評価:★★★☆☆

粗筋:古くから「あれ」と、「裏返す」か「裏返される」かの恐怖に常に晒されていた拝島親子。しかし父親は数年前に失踪し、母親は急に意識不明となってしまった。残された何も知らない娘・時子は、残されたメモを頼りに状況を打開しようとするが――。

感想:恩田陸のお話は、いつも有耶無耶な感じに話が終わってしまっていて(こう書くと聞こえが悪いんですが)、まあなぞめいた感じな話が多いのですが、今回は結構きっちり分かってよかったです。それでもやっぱりふわふわとした感じは残っているんだけど。感情移入した登場人物に裏切られる、というのは、逆に爽快な感じで、そしてストーリーを分かりにくくしている一因でもあります。又、逆に、なぞめいた感じの人が逆に騙されたり、裏をかかれたりするのは、「麦の海~」でも同じ感じでしたね。
しかし、これがシリーズ物の一環だからなのか、やっぱり最初の方は説明不足過ぎてとてもモヤモヤしていました。