(山田)

ベンダーロックインについて伺います。

「ベンダーロックイン」とは,ソフトウェアの機能改修やバージョンアップ、ハードウェアのメンテナンス等、情報システムを使い続けるために必要な作業を、それを導入した事業者以外が実施することができないために特定のベンダーを利用し続けなくてはならない状態のことを言います。

2022年に公正取引委員会が調査を実施し全体の98.9%もの自治体が「情報システムの保守、改修、更改等の際に既存ベンダーと再度契約することになった事例がある」と回答し、多くの自治体がベンダーロックイン状態に陥っているのではと指摘がされました。

本市のベンダーロックインの有無を確認しようと、電算関連業務の随意契約の状況を見てみました。

こちらを御覧ください。

令和3年度から5年度の随意契約数と額、その内随意契約数が一番多いA社の随意契約数と額の表です。

そもそも随意契約は例外中の例外、なのですが、令和5年度で325件、総額約53億1785万円。一番契約数の多いA社は93件、総額20億5994万円と全体の38.7%の額を占めています。

その契約内容は改修業務が多くみられ、かつ特定事業者への偏りもあり、本市もベンダーロックインに陥っている状態と感じますが総務企画局長に見解を伺います。

 

(総務企画局長)

いわゆるベンダーロックインについての御質問でございますが、

本市では、既存のシステムに対する改修や機能追加、保守の委託につきましては、知的財産権やシステムの安定運用の観点から、委託先として開発ベンダーを選定しておりますが、情報システムの新規導入や再構築にあたりましては、競争入札による調達を行い競争性を確保しております。

 

(山田)

特定ベンダーから抜け出せないわけではないのでロックイン状態ではないとの答弁でした。勿論、電算関連業務では随意契約にならざるを得ない事はあると思います。

だとしたら、ベンダー管理を徹底せねばなりません。

そのためには、「契約や仕様内容の精査」「外部監査の実施」そして市民への「随意契約の理由公表」が重要と考えます。

「契約や仕様内容の精査」は随意契約時の見積り額の妥当性や市場において容易に取得できるオープンな標準的技術又は製品を用いることを定められないか検証し、システム障害の責任も定めること。

昨年5月前述A社システムバグによって起きた「コンビニにおける証明書誤交付」において横浜市は「契約約款等違反」で足立区は「契約履行上の事故」として指名停止処分としましたが、本市は契約に定めがないため契約違反とはならず、事務事故の認定にも至らなかったので特段の措置をしませんでした。

本事案に鑑みてもベンダーとの契約内容の精査は必要と考えます。

「外部監査」は成果物のレビュー有無、システムの議事録は存在確認、品質テストの回数の妥当性、といった第三者による健全性の確認があげられます。

「随意契約の理由公表」は、現状は理由公表しておらず、ブラックボックス化していることから市民に正当性の説明を果たすことは必要です。

これらの見解を財政局長に伺います。

 

(財務局長)

随意契約についての御質問でございますが、

契約方法や仕様内容の精査につきましては、透明性や公正性を確保するため、各発注部局において指名選定委員会に諮り、随意契約の妥当性について審議した上で、その適否を判断しているところでございます。

次に、情報システムの外部監査につきましては、総務企画局におきまして、対象システムを選定し、情報セキュリティ監査を実施しているところでございます。

次に、契約理由の公表についてでございますが、工事請負契約や、障害者支援施設からの物品購入等における随意契約つきましては、法令や国の方針に基づき、随意契約の相手方を選定した理由等の公表を行っているところでございます。

一方、性質や目的が競争入札に適さない場合に適用される業務委託の随意契約につきましては、その件数が膨大であり、選定理由等の公表にあたりましては、契約実務に係る効率的運用の検討が必要なことから、他都市の事例等を参考にしながら、今後研究してまいります。

 

(山田)

随意契約の妥当性の審議は当然として、そもそもの契約内容の精査や情報セキュリティ監査だけではなく適正な工程作業かの監査の必要性はあると感じますのでこの点、ご検討をいただければと思います。

ベンダーロックインに関しては、随意契約内容の徹底的な精査、妥当性、健全性を様々な手立てで担保する取組が必要です、市長に見解を伺います。

 

(市長)

随意契約についての御質問でございますが、

特定の事業者に依存することなく、適正に業務を実施することが、市民サービスの向上に資するものと認識しておりまして、これまでも可能な限り競争性を確保しつつ、委託業務等を進めております。

今後もこうした考えのもとで、効率的で効果的な行政運営を行ってまいります。

 

 

(山田)

ありがとうございます。

業務影響が大きいからという事でベンダーに措置や処分をしづらい、という事は絶対にないようにしてください。

前述A社に対しては、コンビニにおける証明書誤交付を含む報道発表に至るシステム障害を令和5年度中に4件発生させたことに対して、改善策を提出し対応していたのにも関わらず、本年2月16日に通信機器の不具合に伴う障害を発生させたという事で3月1日に文書警告を出しましたが、足立区は1件の事案で指名停止です。

重さの捉え方が違うように感じます。

なお、昨日報道発表された「納税通知書における公的年金からの特別徴収税額等の記載誤り」の市税システムの運用保守委託業者はA社です。

どの様な対応をするかによっては改めて議会で取上げさせていただきますので、ベンダー管理を徹底していただきますよう要望します。