(山田)

はじめに不登校児童生徒支援について伺います。

令和3年第2回定例会においても本課題はやりとりさせていただきましたが、その際にご答弁いただいた「民間施設との情報共有の仕組や連携について」「情報発信における教育委員会ホームページのトップに不登校に関するリンク集の設置について」、それぞれ検討の進捗を伺います。

 

(教育次長)

民間施設との情報共有や連携につきましては、7月に民間施設等に通う不登校児童生徒について、全市立小中学校に調査を実施し、185名の小中学生がゆうゆう広場を除く28の民間施設等へ通級していることを把握したところでございます。

 その結果をもとに、比較的多くの児童生徒が通っていた5施設に対して児童生徒への情報提供を依頼し、そのうち提供を受けた2施設を、9月に行われた「不登校児童・生徒、高校中退者等のための不登校相談会・進路情報説明会」において紹介したところでございます。今後も、他都市の取組を参考に連携の在り方を検討してまいります。

 また、不登校に関する情報発信につきましては、川崎市教育委員会ホームページのトップページに、新たに「教育相談のご案内」というリンクを設定したところでございます。

 

(山田)

ご対応ありがとうございました。

次に、各種相談の体制について伺います。

不登校児童家庭から「数年前に会ったっきりそれ以降特にやりとりしていない」「頻繁な担当変更があり引継ぎができていない様で毎回一から経緯を説明している」という声を聞きます。

そういった事が生じてしまう原因は何か、また課題を伺います。

 

(教育次長)

スクールカウンセラー等が交代する際には、担当ケースを次の担当へ引継ぎを行いますが、新しい担当者が現在の相談者の状況などを把握し、相談を丁寧に進めるため、これまでの経緯をあらためてお聞きする必要がございまして、そのことが保護者にとっては、引継ぎが十分に行われていないと受け取られてしまう懸念がございます。

今後につきましては、引継ぎの徹底に努めるとともに、担当者が交代した際に引継ぎを行っている旨を保護者等へお伝えするなど、更に丁寧な対応に努めてまいります。

 

(山田)

今後、徹底いただけるとの事、ありがとうございます。お願い致します。

次に、別室登校について伺います。

別室登校をしたものの、特に何か対応をしてもらうでもなくただその場で過ごすだけ、という実状があるという事を聞きました。

もちろん、そういった対応を望んでいる児童もいるでしょうし、疎外感となる児童もいる様です。

本市の「別室登校」の現状の対応と課題について伺います。

 

(教育次長)

各学校では、不登校等長期欠席傾向のある児童生徒の状況に合わせ、本人や保護者と相談をしながら別室での対応を必要に応じて行っており、児童支援コーディネーターや支援教育コーディネーター、生徒指導担当教諭等が中心となって、一人ひとりに寄り添った支援体制づくりを進めております。

各学校では、限られた職員体制の中でやりくりをしながら別室での学習に寄り添うとともに、新たに配備されたGIGA端末を活用し、教室と別室をオンラインで結ぶなど、工夫をしながら進めているところでございますので、今後も学習支援の更なる充実に努めてまいります。 

 

(山田)

各学校の職員体制等、状況によりその支援内容に差が生じてしまうのも事実かと思います。民間や地域の方等、外部人材の協力もご検討いただき、充実に向けたお取組みの程、お願い致します。

次に、ギガスクール構想について伺います。

不登校児童支援におけるギガスクール構想の重要性は、市長の公約や教育長から前回いただいたご答弁からも感じている所です。

まず、不登校児童家庭のギガ端末の活用について、現状を伺います。

 

(教育次長)

不登校児童生徒の家庭での端末活用につきましては、あらかじめ児童生徒本人と家庭、学校で、支援について十分協議の上、希望にあった家庭を対象に、児童生徒の状況に応じてビデオ会議システムを活用した学習支援、健康観察、教育相談等を行っております。

 こうした取組により、児童生徒が学校や同級生とのつながりを感じ、学習や人間関係についての不安軽減につながっているとの報告が上がっております。

 

(山田)

ギガ端末を配布されることを知らなかった、希望をしても受ける事ができていない、というケースも見受けられます。

前向きな報告があったというご答弁の通り、有効な支援と考えますので、その周知と活用について今後も更なるお取組の程、お願い致します。

オンライン参加の出席扱いや成績への反映について、現状を伺います。

 

(教育次長)

不登校児童生徒の出席の取扱いにつきましては、円滑な学校復帰に繋げるために、ゆうゆう広場や民間施設、ICTを活用した学習について、学校長が有効・適切であると判断した場合は出席扱いとしているところでございます。

 またオンラインでの学習につきましては、回収したプリントや学習の振り返り等を基に、学習状況を適切に把握し、児童生徒が自らの学習改善につなげることができるように一人ひとりに応じた適切な学習評価を行っております。

 なお、評定への反映につきましては、学校長が十分に学習内容が身に付いたと判断した場合には評定に取り入れることも可能となっております。

 

(山田)

ありがとうございます。そういった判断もなされる事は各家庭に認識してもらい、不登校児童の学習意欲に繋がる様、お願い致します。

現在本市はオンライン配信を行う場合、各家庭に意向確認書を取っています。

それにのっとり、不登校児童がオンライン参加を望む場合、「やむを得ず登校ができない児童生徒がオンライン参加を希望しているので動画配信をしても良いか」という意向確認書を当該児童以外の生徒家庭に取るケースもあると聞きました。

この対応について、私は非常に課題と感じています。これでは抵抗を感じオンライン参加を諦める不登校児童がいて当然です。

ギガスクール構想における不登校児童支援促進の弊害となりえます。

例えば、年度当初の各家庭への「動画配信の意向確認」を「臨時休業の対応として」「やむを得ず登校できない児童生徒が配信を希望する際の対応として」といった、包括的に確認を取る方法での適用はできないか、と考えます。見解を伺います。

 

(教育次長)

オンラインによる授業の配信を行う際に、肖像権の観点から、全ての家庭から同意を得る必要がございます。

 教育委員会では、本年3月に全教職員に配布したハンドブックにおいて、「教育活動において制作した動画の配信やオンライン指導」について、包括的に意向を確認する文例を各学校に示したところでございます。

 しかしながら、保護者には肖像権に関しましては、多様な考えがあり、包括的な同意を幅広く得ることが難しい学校もあったことから、緊急事態宣言下など限定された条件で同意を得た学校もございました。

 このような学校は緊急事態宣言解除後に動画配信を引き続き希望される家庭にも対応するため、あらためて意向確認書を取ったケースも想定されるところでございます。

 今後につきましても、年度当初に包括的な意向の確認を行うことを基本としながらも、包括的な意向確認に不安を感じる方に対応するなど、丁寧な対応に努めてまいりたいと存じます。

 

(山田)

今後は包括的な意向確認が不登校児童のオンライン参加も充分適用となるように、その内容や方法についてご検討いただきますよう、要望します。

不登校児童支援におけるICTを活用した学習支援について、これはゆうゆう広場利用者や家庭訪問相談登録者に「スタディサプリ」を用いた学習支援ですが、ギガスクール構想の進展に伴い充実をはかるべきと考えますが、見解を伺います。

 

(教育次長)

スタディサプリは、主にゆうゆう広場や不登校家庭訪問相談の登録者を中心に紹介をしておりますが、年度初めには各学校にも案内を行い、登録者以外にも必要に応じて、アカウントを貸与しているところでございます。

 また、GIGAスクール構想の進展に伴い、端末を活用して、課題を配布・回収することや、ドリルソフトによる学習、オンラインを通じた

教育相談など、新たな取組が進んでおりますが、動画教材もあわせて取り入れていくことで、学習効果が高まるものと考えておりますので、今年度中に新たに全ての小中学校にスタディサプリのアカウントを貸与し、活用方法について研究を進める予定でございます。

 

(山田)ありがとうございます。宜しくお願い致します。

次に、私立に通う児童への支援について伺います。

フリースクール運営の方と意見交換をした際、私立に通っていたが不登校となる子どもも増加傾向にあると感じているそうです。

令和3年第2回定例会での質疑で本市は私立に通う児童の不登校について実態把握はしていないとの事でした。

私立に通っていても、その児童は市民です。

本市が整備している様々支援がその家庭にも届く様努めるべきですが、私立に通う不登校児童への対応について見解を伺います。

 

(教育次長)

相談室での来所相談、電話相談をはじめ、ゆうゆう広場や不登校家庭訪問相談につきましても、川崎市内全小中学生を対象としており、実際に私立学校に通う児童生徒からの相談も比較的多く寄せられております。

 今後につきましても、市のホームページで相談窓口を周知するなど、広報に努めてまいります。

 

(山田)

各種相談の体制について、別室登校の対応について、ギガスクール構想について、質疑をしてまいりました。

やりとりにおいて感じましたのは、学校によって、各種相談の担当者によって、不登校児童支援の充実度や、やれる・やれないの対応があまりにもバラバラという事です。

そこには学校体制の課題や不登校児童への理解度といった様々要因が絡んでいると考えられます。

ともすると、不登校児童が再び社会と繋がれるようになれるのか否か、はそういった環境の運・不運に左右されてしまう状況にあります。

どの学校にいても、どの地域にいても、変わらない安定した不登校児童支援の体制を構築すべきですが、教育長に見解を伺います。

 

(教育長)

登校を希望する児童生徒が学校に通えないでいる状況は、本人にとっても家族にとっても辛く苦しいことであり、その状況の改善は大変重要な課題であると考えております。

 本市におきましては、今までに様々な取組を進めてきておりますが、不登校の要因は多様かつ複雑であり、福祉・医療・保健等の関係機関とも連携しながら、個々のケースに応じて、必要な支援につながるようきめ細やかな対応をしているところでございます。

 しかしながら、様々な要因から状況の改善に向かわないケースもありますことから、今までの取組を改めて見直し、教員一人ひとりが不登校への理解を深め、より適切な支援を行えるよう、資質向上に努めるとともに、ICTを活用した学習支援や教育相談体制のさらなる充実に努めてまいります。


(山田)

今までの取組みを見直し、教員の不登校理解促進と資質向上ならびにICT学習支援や教育相談体制の充実に努めていくとのこと、ありがとうございます。

学校の体制状況によっては民間活力等も検討しながら、今後もお取組みの程、お願い致します。