(山田)
はじめに不登校児童生徒支援について伺います。

まずは本市の市立小学校・中学校不登校児童生徒数ですが、

こちらをご覧ください。

 

 

平成27年度には合計1,273人だった数字が、令和元年度には2,089人と毎年増加傾向となっています。

これは市立小・中学校の不登校児童生徒数という事で、本市在住で私立や国立等市立校以外の在籍で不登校になっている児童生徒数は把握できているのか、伺います。

また、2,089人の中で適応指導教室にも民間施設等にも通っていない子達は何人いるのでしょうか、伺います。

(教育次長)

文部科学省による調査において、毎年、市立小・中学校の不登校児童生徒の状況を把握しておりますが、私立や国立等の学校につきましては、本市を通さず調査がなされており、把握をしておりません。

 また、令和元年度調査における不登校児童生徒2,089名のうち、ゆうゆう広場や民間施設等に通っていない児童生徒につきましては810名でございます。

 

(山田)

ありがとうございます。

私立・国立校在籍の児童生徒数の把握はされていないとの事で、本市の現状ですが、把握できている2,089人という数字以上に、苦しむ子ども達がいるのは事実です。

まずは、不登校で悩んでいる子ども達の実態把握を要望します。

本課題は全国的な喫緊の課題です。

それもあり、令和元年10月に文部科学省より「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知が出されました。

これはかいつまむと、こちらをご覧ください。

 

 

☑「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す必要があること

☑フリースクールでの受入れなど、様々な関係機関等を活用し社会的自立への支援を行うこと。その際、フリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し、相互に協力・補完することの意義は大きい。

☑そのために、教育委員会においては、日頃から積極的に情報交換や連携に努めること。

☑教育委員会は、積極的に、福祉・保健・医療・労働部局等とのコーディネーターとしての役割を果たす必要があり、各学校が連携しやすい体制構築をする必要がある。

☑家庭への支援として、訪問型支援による保護者への支援等、保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要。

という内容です。

それら観点で、以降、伺います。

まず、民間施設やNPO等との連携について伺います。

過去の不登校児童生徒支援に関する議会答弁では民間のフリースクールと連携しているとおっしゃっていましたが、実態は市内2団体以外の民間施設との連携はないとの事で大変残念なのですが、文部科学省の通知でも相互に協力・補完することの意義は大きいとされていますから、こちらは是非積極的に進めていただきたいのですが、本市の不登校児童生徒支援における民間施設の把握と連携について見解を伺います。

(教育次長)

令和2年4月に、不登校児童生徒がフリースクール等、民間施設において相談・指導を受ける際に留意すべき点を、ガイドラインとして取りまとめ、各学校での取組に役立てているところでございます。

 本ガイドラインに基づき、学校は児童生徒のフリースクールでの活動状況等の把握や連携に努めているところでございますので、教育委員会といたしましても、児童生徒指導連絡会議等を通して、学校と情報を共有するとともに、「県学校・フリースクール等連携協議会」において、県内のフリースクールと情報共有を行うなど連携に努めているところでございます。

 

(山田)

ありがとうございます。現状、民間施設をリストアップ等把握されていないとの事ですので、今後より一層の連携充実のため、まずは把握をしていただく様、要望します。

民間施設の方々同士で繋がってもらうことも非常に重要です。情報や課題の共有が子ども達へのより深い支援に繋がります。フリースクール等協議会を実施している市もあり、非常に有効と考えますが本市の見解を伺います。

(教育次長)

現在、ガイドラインに基づき、学校においてそれぞれの児童生徒が支援を受けている、さまざまな民間施設の把握や連携に努めているところでございます。

 そうした民間施設同士の連携につきましては、大変重要であると考えておりますので、今後、情報共有を行う仕組み等について検討してまいりたいと考えております。

 

(山田)

ありがとうございます。仕組づくりの程、お願い致します。

連携する民間施設はどこでも良いという事はないので、本市における「連携する民間施設」の定義と連携内容の整理も必要と考えます。それは連携基準や出席扱いとなるガイドラインだったり。また市立学校と民間施設間での生徒状況の情報共有も、子どもをサポートしていく上で重要です。生徒状況の情報共有は、文科省通知においては、自治体解釈にゆだねられていますが、個人情報保護上は問題ないとの見解です。

本市における連携する民間施設の定義の整理と連携内容について見解を伺います。

(教育次長)

市のガイドラインにおきましては、実施主体は、法人、個人を問わず、不登校児童生徒に対する相談・指導等に関し深い理解と知識または経験を有し、かつ社会的信望を有しているものとしており、その他、事業運営や相談・指導の在り方、スタッフ、施設・設備、学校との連携協力等について定めているところでございます。

 また、本市では、児童相談所やひきこもり支援センター、警察、フリースクールなどの関係機関等で構成される「不登校対策連絡会議」を開催し、不登校の現状や対策等について情報交換を行っているところでございますが、今後、さまざまな民間施設も含めた連携の強化について検討してまいります。

 

(山田)

不登校対策連絡会議ですが、フリースクールからの参加は現状連携されている2団体のみとのことですが、今後はこの会議体にも様々な民間施設の方にご参加いただき、情報交換の活性化、連携強化の取組をお願いします。

連携は子ども達の選択肢が増える、という事に繋がります。

民間施設を運営してらっしゃる方がおっしゃっていたのですが、その子のタイミングを感じたら市立学校に戻れように促しており、子ども達にとっては、公教育のレールにまた乗れるのが一番良い、と思いながらフリースクールをやっている。との事でした。

実際、市立学校に戻れた子、受験をし高校からまた学校に行けるようになった子、たくさんいるそうです。

2089人、実数はそれ以上の子ども達を教育委員会だけでその支援をあつくしていくのには限界があると思います、是非、連携を強化していっていただきたいです。

次に、家庭への支援について伺います。

まず、当事者や保護者が情報を得る機会や方法がとにかく不足していると指摘せざるを得ません。

不登校児童生徒支援に関する情報がバラバラでまとまったネット上のページがありません。保護者向けパンフレットもないです。

保護者は不安を感じたら、まずは調べます。

そういった時に、本市ではどんな支援や機関があるのか、どのように理解し関わっていけばいいのか、情報を得ることができたら初期段階の行動の一助になります。

不登校児童生徒支援に関する情報公開の充実について見解を伺います。

(教育次長)

市のホームページでは、保護者や本人が相談窓口や支援機関について情報を得ることができるように、必要な情報を公開しているところでございますが、今後は、教育委員会のトップページに不登校に関するリンク集を設けるなど、より分かりやすい情報発信に努めてまいります。

 

(山田)

ありがとうございます、ご対応の程、お願いします。

保護者は、同じ悩みを共有することで理解や関わりの促進に繋がります。

市内支援団体と連携し、保護者の相談会や意見交換会の実施も重要と考えますが見解を伺います。

(教育次長)

毎年、不登校児童生徒・高校中退者等に向けて、県及び市教育委員会、フリースクール等が主催する「不登校相談会・進路情報説明会」を県内各会場で開催しております。

 川崎会場では、実際に不登校を経験した生徒等やその保護者の体験談をパネルディスカッション形式で共有するとともに、現在不登校に悩んでいる児童生徒や保護者が、個別に相談できる機会を設定するなどの内容で開催されているところでございます。

今後につきましても、不登校や進路に悩む児童生徒や保護者が悩みを相談する機会は大変重要であると考えておりますので、登校再開や社会的自立につながるよう、開催内容の充実に努めてまいります。

 

(山田)

支援団体の方々は地域に根付き本市当事者の目線で寄添った相談対応ができる方々です。是非手を取り合っていただき、市主催でも開催いただく等、内容充実の程、お願いします。

他都市では不登校で家庭にひきこもりがちな児童生徒に対し、心理の専門家等の指導のもと、大学生・大学院生等を家庭に派遣し、子どもの状況に寄り添いながら一緒に過ごす訪問支援を実施しているところもあります。お兄さん・お姉さんにあたる世代である学生等とのふれあいを通して、自主性や社会性を育んでいくことが目的との事ですが、そういったアウトリーチ型支援も有効と考えますが本市の見解を伺います。

(教育次長)

本市では、不登校家庭訪問相談を実施しており、家庭訪問相談員が相談のある御家庭を訪問し、子どもの状況に寄り添いながら、支援をしているところでございます。

訪問支援につきましては、豊かな見識や経験等が必要でございますので、退職教員等を相談員として配置しておりますが、不登校児童生徒の支援をおこなっている「ゆうゆう広場」では、大学生や大学院生が「メンタルフレンド」として相談や支援に協力しているところでございます。

 

(山田)

ありがとうございます。メンタルフレンドの仕組を家庭の状態に応じてアウトリーチ型の訪問支援としても実施する等、より充実した仕組となるよう要望します。

次に、教育委員会の役割について伺います。

こちらをご覧ください。

こちらが教育委員会でお示しいただいている、現在の関係各位の相関図です。

 

ここをもう少し、文科省通知の通り、

 

 

このように積極的に、福祉・保健・医療・労働部局等とのコーディネーターとしての役割をしていただき、各学校、関係機関、民間施設等が連携しやすい体制構築をする包括的ハブ機能になっていただきたく、見解を伺います。

(教育次長)

各学校では、不登校対策の中核となるコーディネーターや生徒指導担当等の教員を配置し、担任だけではなく、学校全体で課題を共有し、必要に応じて区教育担当をはじめとする関係機関と連携しながら、支援に当たっているところでございます。

 また、区教育担当は、各区役所の地域みまもり支援センターに配置されており、日常的に福祉・医療・保健等の関係機関との連携を図っておりますので、不登校対応につきましても、個々のケースに応じて必要な支援につながるようきめ細やかな対応をしているところでございます。

 

(山田)

ありがとうございます。ご答弁の中では、「民間施設」「市民支援団体」というワードが出てきませんでした。区教育担当の方におかれましては、民間施設や市民支援団体とも連携していただき、より包括的に対応をできるよう要望します。

今回の文科省の通知ですが、私は「子ども達が再び社会とかかわるための選択肢を増やす」、ということだと解釈しています。

不登校になった、ゆうゆう広場もなじめなかった、それからの民間施設、という流れだとその時点で重症度は高くなっている可能性もあります。最初の段階から、選択肢を提示し包括的支援体制を構築していただきたいです。

そして、黄色信号のSOSを見落とさないで欲しいです。

「中学生死亡事件に係る庁内対策会議報告書」においても「児童生徒が学校に来ないということ自体がシグナルであると受け止め、早期からの支援につなげていく」旨あります。

黄色信号を見落とさないための対応について見解を伺います。

(教育次長)

教育委員会では、各学校が児童生徒一人ひとりの変化を早期に発見し、個々に寄り添った対応を図るため、リーフレット「一人ひとりの子どもを大切にする学校をめざして」や「不登校ハンドブック」等を指導資料として取りまとめ、校内での対応方針の共有や、教職員自らの指導の振り返り等に活用しているところでございます。

 また、「児童生徒指導連絡会議」をはじめ、教育相談研修会や児童支援コーディネーター研修等のさまざまな機会を捉えて、不登校児童生徒等への理解と校内の支援体制づくりを推進しております。

 今後につきましても、児童生徒一人ひとりの日常の小さな変化を迅速に探知し、不登校の未然防止や、さらなる早期発見・早期対応に向けた校内支援体制づくりに努めてまいります。

 

(山田)

ありがとうございます。

先日、保護者から、子どもの登校渋りが続き、休みも目立つようになってしまい学校に相談をしたら「来るようにさせてください」と言われた、と相談を受けました。

先生方や関係の皆さんの「不登校・ひきこもり」に対するアンテナ感度をより上げていただきたいです。また、指導資料ですが、その内容は民間施設運営者や保護者にとっても有用な情報となりますので、整理いただきますホームページにも掲載いただきたく、要望します。

最後に、本市の不登校児童生徒支援充足の必要性について、教育長に伺います。

(教育長)

子どもたちにとって、学校は、安心して自分らしく過ごしながら、学習や遊びを通して心身が成長し、社会性が育っていく重要な場所であります。

 その学校に通えない不登校の児童生徒が年々増加していることは、大変憂うべき状況であり、学校・教育委員会が今まで取り組んできた様々な方策に加え、御指導のような新しい視点や、GIGAスクール構想によるICT技術の活用なども視野に入れて、不登校児童生徒の学習を支援し、人・社会とのつながりを意識できるようなサポート、そして将来の社会的な自立につながるようなサポートが必要であると考えております。

 また、未然防止、早期対応のためには、何よりも一人一人に寄り添う児童生徒理解と、組織的な対応が重要でございますので、今後も、学校内外での研修を通して、教職員の不登校対応への理解が深まるよう努めるとともに、関係機関とのより一層の連携を図ってまいります。

 

子ども本人だけでなく、親、兄弟、祖父母といった周りの家族を含めると把握されている実数の何倍もの方々が苦しい日々を過ごしています。

本市の子ども達みんなが夢や希望を笑顔で語れる街になりますように、今後もお取組の程、お願い致します。