涙がでたはなし | 羊毛フェルトで紡ぐ不思議へんてこなものがたり♠︎アトリエ.バニラ

羊毛フェルトで紡ぐ不思議へんてこなものがたり♠︎アトリエ.バニラ

バニラのつくる、
不思議とヘンテコな世界。
羊毛フェルトや刺繍。
アンティークな素材でつくる、猫や動物、いろんなもの。
其々に
ひとつひとつの、
ものがたり。

ワタシは「〇〇の日」を忘れる。

うーん、忘れがちだ。


何かの折に偶然知ったり、

思い出す
タイミングが合って

喜んで貰ったりすることも
すきなのだけれど

忘れてしまっていることも多い。
(悪気はないのです)

だから、時々
突然何かしてみたりもするし、
何にもなかったり。





10月のころ。


今年のバニラの誕生日、


他の事にアタマが行っていたので
その日の朝まで忘れていた。

そして、今年はシュジンも
忘れていたようだ。

なので
向こうからのアクションも無く
昼間が過ぎた。


『そういえば』
ひと月も何も入れてなかった
キノコのことを
幾つかポストに入れよかな、と

よっこらInstagramを開いて。

その時に
あ、
ワタシ誕生日だったんだー、と
思い出した次第である。





思い出してしまうと
突然、

朝、何にも言われなかったなー…
と、うらぶれたよな気持ちになる。
(今の今まで、自分も忘れてたくせに)


自分とて忘れているのだから、
そんな年もあるのだ。


まあ
そんなに深く傷つくよなことでも
あるまい、と
このことは
軽い感じで終わった。


夕飯の支度でも始めようか、と
いうころに

『いつもお世話かけます』と、
母がおめでとうを言いに
オカズ2品と共にやって来た。

ありがたく、頂いた。

そして、夕飯時には
自分から
一応、
「おめでとう」と言ってくれ、と
オットに半ば強要し

「おめでとう」と言ってもらって

まるで何かの「儀式」のように
でも、何かしら笑ったりして
今年の誕生日が過ぎていった。





それから、少し経った。

友人が「手紙を出したよ」と、
雑談中に教えてくれて。

そうなんだ、
手紙を書いてくれたんだ。と、

素直にうれしかった。


メールもラインも勿論。
素早く伝えられるし、
今、という時にやり取りできる。
すごく、嬉しい気持ちだってもらえる。

便利だし、
もう無くてはならないので
それが嫌なのではなく。

それでも
「手紙」
やっぱり、すてきな響きだ。

余談だが
本でも「紙の本」がすきだ。




さて
その日は用があり、出かけていた。

帰ってから
いつもの仕草でポストをあけた。


「手紙」はちいさな包みだった。

ボーッとしたまま
それを手に家に入り、
冴えないアタマで
「あ」
やっと、合点がいく。


少し遅れたけれど、の
言葉とともに。




優しい、馴染みの手書きの文字。


急いで文字を打つ。


文字変換がどんどん違う方へ。

消したり打ったり。
ほんと、変換って
便利なんだけども
おかしなことになる。

違っていることばかりだ。
もう、多少のことはスルーして欲しい。
(英字なども途中が抜けたりと
要注意だ)
言ってるそばから
「英字」も「英二」になりかけた。
(誰、それ)


驚いたこと、
いろんなきもち。
伝えながら、やり取りしながら。

なんでだか、涙がでた。


あの
ほんのちょっとの
「うらぶれた」きもち。

ささくれみたいに、
チクッと痛んでいたのだ。

そんなつまんないことで?と
自分でも思っているのだ。

ホルモンのせいに
したりもしている。


人の感情はクルクルと変わる。




あの時に

友人が遠くから
そのささくれを
パチン、と切ってくれた。



ありがとうね。

ここに来たのが
「あの日」のブローチだったことも。

お2人に「ここにいるんだよ」と
いつかそっと驚かせようと。






「雪の女王」のカイとゲルダ。
涙が、鏡の棘を溶かしたんだっけ。



涙が、手紙。

10月の出来事。