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『沈黙家族』
小池昌代
なかなか口に出せない言葉というものが人それぞれにあると思うが、なにしろ口に出せないので、
そのひとにとってのそれが何であるか、なかなかわからない。
言えないということの理由のひとつに、言う習慣がないので、言えないということがある。
友人に、信州の農家出身の男性がいるが、おもしろいことに、彼の家には、「いってらっしゃい」
とか、「ただいま」という言葉を家族でかわす習慣がなかったということだ。
学校へ行くときも、すーっと出て行く。帰ってきたら、あ、帰ってきたなと黙認しあう。
そしてそれは少しも詰めやいというかんじではないらしい。
しかし挨拶をしない家族がいるといううわさは、いつもまにか広がり、やがて教師が
聞きつけるところとなった。
在る日のこと、「挨拶は基本」とばかりに、当時担当のK先生が、彼の帰るあとをつけてきて、
玄関の横に立ち、彼が「かだいま」というまで、じっと待っていたという。
中学生だった彼は、顔をまっかにしながら、仕方なく、横を向いて「ただいま」と言った。
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物凄くはずかしかったそうだ。
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それを実演した三十年後の彼のイントネーションは、どことなく変だった。
いまだに言い馴れないのかもしれない。
それも、あいかわらず、まっかになりながら。
そのとき、みたこともないような、まあたらしい「ただいま」が、過去から現在に至る長い産道を抜けて、
すぽんとこの世に飛び出してきたように思った。
ことばの発生。。。。。。わたしは、なぜかうやうやしい気持ちになって、「ただいま」の
出てきたあたりに眼をこらす。
内圧がかけられて、止むにやまれず出てきたことば。
一瞬の光をあびて、ことばじしん、どんなにまぶしかったことだろう。
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。。。
朝、バス停で、見知らぬ女性と目が合って「おはようございます」と
ご挨拶を交わした事があります。
そのひと声で、とても心が和みました。^^
ご挨拶って大事ですね。
皆様には体調不良でご心配をお掛け致しましたが、すこしずつ回復に向かっております。
どうぞ、暑い日が続いております。体調にはくれぐれも気をつけてお過ごしくださいませ。
*長期のお休みを頂き、8月からお仕事始動です。^^
それでは「いってまいります。」。^^
その間、こちらが多々、お留守になりますが、どうぞ、ご了承ください。