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『文藝春愁』以外は、お借りした本です。^^
 
今回の文藝春愁は、芥川賞受賞作の朝吹真理子著「きことわ」と西村賢太著「苦役列車」の
 
二作が全文掲載されていましたので、迷わず、購入致しました。
 
その前に直木賞受賞作家の道尾秀介の『背の眼』と続編ともいえる『骸の爪』(むくろのつめ)
 
を読みましたが、受賞作の『月と蟹』より好きな作品かもしれません。(笑)
 
『背の眼』は、ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した道尾氏のデビュー作です。
 
真備(マキビ)&道尾シリーズ第1作目となり、その後、『骸の爪』、『花と流れ星』と続きます。
 
。。。。児童失踪事件が続く福島県白峠村に出向く事になった、ホラー作家道尾。
 
そこで、不可思議な霊の声を聞き、大学時代の友人霊現象探求家の真備(まきび)を訪ねる。
 
そこで見せられたのは、被写体の背中に人間の眼が写り込んだ4枚の写真。
 
いずれも白峠村周辺で撮影され、全員が撮影後に自殺したという。。。。。
 
『骸の爪』 真備&道尾シリーズ第2弾。
 
。。。。ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房(ずいしょうぼう)
という仏所を訪ねる。
 
道尾はその夜、口を開けて笑う千手観音とこの世のものならぬ声に恐れおののく。
 
その翌日、仏師が一人消え、闇の中で撮った写真には、血を流す仏像が写っていた。。。
 
『背の眼』では、浮世絵が、『骸の爪』では、仏像が重要なモチーフとなります。
 
謎解きの演出が随所に施され、ミステリー好きの私には、面白く読めた2作品でした。^^
 
きことわ』  朝吹真理子
 
貴子(きこ)は、葉山の別荘の持ち主の娘、永遠子(とわこ)は別荘の管理人の娘。
 
二人は子どもの頃、その別荘で共に夏を過ごし、姉妹のように遊んだ。
 
そして、貴子8歳、永遠子15歳の夏から25年後、貴子の母が亡くなり、その別荘は
 
処分することになった。
 
二人は後片付けのために再会する。。。。
 
 
「きことわ」いうタイトルには、二人の女性の背中合わせ、、夢と現実、現実と過去を
 
あらわしているようです。。。
 
本文書き出しの二行が印象的です。
 
「永遠子(とわこ)は夢を見る。貴子(きこ)は夢を見ない。」と。。
 
別荘の片付けをしながら、二人の25年前の記憶と現在が交錯するのですが、
 
その凝った構成で、どちらがどちらなのか区別がつかなくなりそうになります。(笑)
 
(少々描写にリアリティーが感じられない。。)
 
一度、途切れた二人の関係が、25年後、別荘の解体で再会することになり、
 
そしてその別荘がすっかり更地になった現在、捨て切れなかったものひとつなく、
 
二人の新しい関係が始まりかけた?。。という感じなのでしょうか。
 
朝吹真理子調と言えそうな文章のリズムと吟味された言葉、その感性の豊かさを
 
今後の作品に期待します。^^
 
 
『苦役列車』 西村賢太
 
西村氏の青年時代が投影された私小説。
 
父親の猥褻事件が発端で、両親が離婚し、その事件の噂を避けながら母親と姉とで各地を
 
転々とした生活を送り、中学を卒業した時点で家を出る。
 
19歳になったばかりの主人公、貴多は、なんとか日雇い仕事で生計を立てていたが、
 
所詮、性犯罪者の息子、そんな引け目もあってか何事にも真面目に取り組めない。
 
普通の生活がしたいが、自分には友達も、恋人もいない、、なにひとつ手にすることが
 
できない、、。
 
「人生は不合理で、不公平で、不条理だが、それでも人は生きていかなければならない。」
 
と、いう村上龍氏のことばが苦役列車の主軸のように感じます。。。
 
「きことわ 」に対比してかなり濃い作品です。短時間で読了してしまいました。
 
西村氏の確かな文章力と独特の生な私小説世界が読者を惹き込みます。
 
ただし、貧困と性欲と酒びたりの生活、物事がうまく進まないのは全て親や身近な他人のせい、
 
そんな人間の卑しさや浅ましさを前面に押し出した自虐さに少々、辟易してしまいました。(焦)
 
結果、その先には何も見えませんでした、、、。
 
「きことわ」と共通するのは、文章の技術はあっても、その作品のテーマが見えず、
 
何となく曖昧さを感じてしまいました。
 
 
。。。。ですが、あくまでも、個人的な感想ですので、よしなに。。。^^
 ご勘弁くださいね。