
天童荒太『悼む人』(いたむひと)を読みました。
『永遠の仔』『あふれる愛』を読んでから、次回作をずっと待っていました。
その最新作が7年の年月を経て、、直木賞を受賞した『悼む人』です。
。。。。全国各地、事件や事故でひとが死んだという情報を得ると、そのひとが
生前誰に愛され、誰を愛し、どんなことでひとから感謝されていたかを周囲のひとびとや
関係者に聞き、その死の現場に赴いて、「悼む」という独特のポーズをとって死者を祈る
青年、静人(しずと)。
そうして全国を放浪する彼をいつしか人々は「悼む人」と呼ぶようになる。
元警察官の蒔野、母親の巡子、そして悼みの現場で静人を見かけ、一緒に旅をする事になった倖世。。
それぞれの視点でストーリーは進ん行きます。
。。。。正直、、読後感想、行き詰まりました。。
ここに登場する人々は、複雑な家庭環境であったり、愛されずに育った人だったり、、と
その後の人生に深く影響を受けている人が多く、確かにその心理描写は読み応えがありました。
特に、感情移入してしまったのは、静人の母、巡子のガンとの闘病とその家族たちのパートです。
涙しました。。。
実は、物語の半ばあたりから、私は、自分の周りで亡くなったひとたちのことがしきりに
思いおこされ、日々に生きることがせいいっぱいで、亡くなったひとたちをゆっくりと
見送る時間が少なくなってしまったことに気付かされました。
亡くなったひとを思い出すことや心との語り合い、、そういう共生する感覚は、
かつては日常であり、生きてゆくうえで基本的な文化だったはずでしたが、
それを段々と遠ざけてしまっていたのではないかと。。。
死を身近に感じていることが、生きいくことの充実感につながっていくのではないかと思いました。
しかし、「悼む」という行為については、なんとなく矛盾を感じています。
なぜ静人が「悼む人」になってしまったのか、、、その経緯も語られ、なるほどとも思えましたが。。
天童さんは、いつの頃からか、世の中の死に対する扱い方が何か違和感を感じる自分がいて、
それは、今でもずっと続いていると語っています。
そして、人の死をしっかり考えることが人を殺めずにすむ道筋かもしれない。。と。