~ユノside~
夏休み練習の残り4日間だけ、とお願いされれば、断るほどの事でもないし。
ソヨンと2人、中庭で弁当を広げた。
「ほら?おかずも食べなきゃ。おにぎりだけじゃ栄養が偏るでしょ?」
唐揚げをつまんでニコリと笑うソヨン。
「ん、美味しいよ。」
そう言えば、本当に幸せそうに微笑むから。
アイツのおにぎりの具が唐揚げだったり、焼き肉だったり、・・海苔の代わりに薄焼き卵で巻いてあったり、そんな事をいちいち思いだしてる自分がいて。
────情けない気持ちになる。
「ごめん、ちょっとトイレ。」
たまらなくなって思わず立ち上がる。
少しだけ気分を変えたかった。
結構な噂になってた、と。
聞いたのはつい最近。
俺、・・浮かれてた?
ソヨンとの一件もすぐ噂になって、きっと一番傷ついたのはアイツ。
目立つことが嫌い、と言ってたのに。
噂の的になって女子達のヒソヒソ話、集まる視線。
簡単に近づくことさえ出来ない。
───毎日のようにシウォンに連れ去られるその背中に、こんなにも苛つくのに。
校舎の脇を通り過ぎたら、ちょうど影になる柱にもたれた男2人。
うつむき加減に少しだけ首を傾ける仕草。
楽しそうにその肩が揺れていて、隣の男はさらに笑わせようと大げさにおどけてみせる。
観念したように肩を竦めてガサガサと。
取りだしたのは、今俺が一番欲しいもの。
何を思ったのか、自分でもよく分からないけど。
無言のまま大股で歩いていって、
「え?・・ユノヒョン?」
───今日初めて合った視線。
忌々しいシウォンのヤツから奪ったそれを、バクッと一口。
「あ、・・///////。」
「ちょっ、ユノさんっ!」
焦って騒いでるヤツなんて知るもんか。
そのままバクバク食ったら、今日の中身はツナマヨ。
なんだよ?俺の好物じゃん。
なんたって特大だからそんなにすぐには食べきれなくて、言葉なくジッと見つめるチャンミン。
シウォンは呆れたようにポカンと口を開いて。
最後にペロリと親指を舐めとった。
「ユノさん!ちょっと何やってんですか!ソヨンさんと弁当食ってたんじゃないんですか?」
シウォン、・・コイツは中学からの後輩で、家が近所らしいソヨンとも昔から仲のいい生意気なヤツ。
絶対俺より老けてるし。
濃すぎるんだよ、顔が。
チャンミンを独占してるというだけで、ヤバいな俺、悪口しか出てこない。
「・・ユノヒョン。」
久しぶりにチャンミンと向き合って。
見つめられればやっぱりこの気持ちは本物だと自覚する。
「チャンミナ、・・大丈夫?」
うまくフォローしてやれなくてごめん、そんな思いで口にしたのに。
「・・大丈夫じゃないです。おにぎり2個づつしかないのに、シウォニヒョンの分食べちゃって。」
ふてくされたように睨んでくるけど、でもごめん、今日はお礼のパンもないや。
「シウォン、じゃあ俺の弁当の残り食う?」
「お?やった!ソヨンさんの手作り弁当!」
ガッツポーズまでしてるヤツに場所を説明しつつ、チラッとチャンミンに目線を向ける。
・・気まずい?
苦笑いのまま緩く首を振るコイツを。
ただ俺が一緒にいたいだけの理由で、
「行くぞ。」
強く腕をひいて、強引に連れて行く。
───そんな顔するな、チャンミナ。
それは、口に出すことなく飲みこんだ言葉。
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いつも読んでいただきありがとうございます!
ただ今、分岐点にきています。
本編はこのまま進んでいくのですが。
高校生の不器用で淡い恋心。
周りの好奇の目、彼女の存在。
いつもコメントをくださるにらいさんの《10年後の再会》という言葉に激しく萌えたmomokoさんが、自分の気持ちを自覚することなく離れてしまった2人の再会をテーマにお話を書き始めてくださいました。
10年後の麗しく成長したチャンミンはクライアントという立場でユノと再会をはたします。
どのように物語が進むのかは私にも分かりません^^;
こちらから枝分かれしたanather story《cheering》です!
第1話がこちらの18話のコメント欄から見ていただけます!
momokoさんは大変忙しい方なので不定期更新になり、コメント欄では700字が限界という制約もある為、のんびりになってしまいますが。
私の大好物リーマン神起(//∇//)ぜひ覗いてみてください!
えりんぎでした♪